表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

535/549

4-24 情報交換という名の茶話会

 改めて異世界チームと現実世界チームが合流し、俺達はサーターアンダギーを食べながら情報交換という名の茶話会を開催した。


「とまあ、そんなわけで私達は異世界転移しちゃったんだよ」

「ふぅん、でもまさかあの我那覇総督が反乱を起こすとはねぇ」


 ヒカリによると連合軍の英雄でもあり、沖縄防衛軍の総督を務めていた我那覇ゴードン総督が旧希典派と手を組み反乱を起こしたらしい。


 それは明智光秀が本能寺の変を起こした様な、あるいはブルータスがカエサルを裏切った様な衝撃的なニュースだった。


「謝花はよくわからない所があったから旧希典派になったとしてもある意味納得だけど」

「ジャハナってどんな奴だゾ? 何か前にもそんな名前出てきたような気がするけど」

「あー、あの時……あっ」

「んゾっ」


 謝花という言葉に反応したキーアは、素顔を見られた時に俺が思わず謝花と呟いた事も思い出したらしく、恥辱の記憶が蘇り顔を真っ赤にしてしまった。


「俺の同級生で両足が義足の特待生……ええとかなり強かった奴だよ。何度か絡んだ事はあったけどどうにも不愛想で感情が読めない奴だったな」


 俺は気まずい気持ちになりながらも謝花について説明した。ヒカリいわく旧希典派のハロウィンと一緒にいた事から彼女は内通者だったと考えるのが妥当だろう。


「でもそうか、鉄兵が……それに校長先生も」

「……うん。山田と當間はなんとか生き残ったけど。あの襲撃に謝花が関わっていたかどうかわかんないけど」


 しかし謝花の事はこの際どうでもいい。


 復興支援地域に向かっている際出征船がダーゴンやディーパに襲われ、鉄兵を含めて多くの同級生が亡くなってしまったという事実は少なからず衝撃を与えた。


「別にいいさ。どうせ遅かれ早かれ全員死ぬだろうって覚悟はしていたし、ヒカリだけでも無事に生き延びてくれて嬉しいよ」

「うん……」


 俺は口ではそうは言ったものの友人の死に内心まあまあ堪えていた。だけど仕方がなかったと割り切るしかないのだろう。


「まったく、ひどいゾンビもいたものだネェ」

「ですがディーパのゾンビですか。泥が擬態したものだそうですけど」

「なんかゴメンナサイ……」


 ディーパが俺の友人たちを殺したと知り、同じディーパのリンドウ一家は筋が通らないとはいえ申し訳なさそうな顔になってしまう。


「あ、き、気にしてませんから。私は別に、はい」


 けれどそれが必要のない罪悪感なのは明らかであり、ヒカリはしどろもどろになってフォローをした。


「うーん……?」


 だけど彼女は訝し気にリンドウさんを凝視し彼女はうん? とヒカリに尋ねた。


「どうしたんダイ? オバちゃんの顔になんかついてるのカナ?」

「い、いえ。船であなたとよく似た半魚人っぽいゾンビに助けてもらったって言いますか。でもあれはもっとぐにゃぐにゃしてたので別人だと思います」

「そうカイ、ディーパ族は他の種族からすれば見分けがつきにくいからネェ。よくある事だヨ。でもヒカリちゃんを助けてくれたそのディーパには感謝しないとネ」


 自らにトラウマを植え付けたディーパと異なり、彼女が人畜無害だとすぐに理解したヒカリはそれ以上あまり気にする事はなかったが、会話が続かず沈黙してしまう。


「えと……」


 仲間も重苦しい空気にどう言葉をかけていいのかわからず黙り込んでしまう。


 こういう場合はモリンさんが何かをしてくれるけど、彼女の癒しの母性をもってしても流石にどうする事も出来なかったらしい。


 けれど長い沈黙が流れる中マタベエが机の上によじ登り、金平糖の瓶を差し出した。


「マタベエ?」

「これあげるからげんきだしてー?」


 どうやらマタベエは泣いている子供に飴をあげる感覚で励まそうとしているらしい。


 ウン百年前の消費期限切れの物を食べるには勇気がいるが、この優しさを拒絶出来る程俺は非情ではなかった。


「ありがとな」

「えへへ」


 俺はデミウルゴスの箱に入っていた金平糖をポリポリと齧ると、ほんのり笑った顔を見てマタベエは幸せそうな笑顔になった。


 星のかけらという名前の金平糖は大昔の物とは思えないくらい美味しく、噛み砕くと上品で優しいサラッとした甘さが口の中に広がる。


 たった一粒の金平糖でこんなにも涙が出そうな程幸せな気持ちになれるだなんて。マタベエは本当に人を幸せにする天才だ。


「はい、ヒカリちゃんにもあげるー」

「……うん、ありがとう」

「みんなにもー、はい」

「ありがとうですポ」

「ありがとネェ」

「ぶも」

「ぷひ」


 マタベエはヒカリにも金平糖をプレゼントし他のメンツにも一粒ずつ手渡していった。しかしデンジャー先輩は少し躊躇しており、チラチラとマタベエと金平糖を見比べる。


「食べても問題ないよ。ただ貴重だから一粒くらいにしてね」

「う、うん」


 けれどノミコがにゅい、と影から現れ優しさと消費期限の狭間で葛藤していた彼女の背中を押した。


「ふわあ」

「この金平糖美味ぇな。流石はアンジョの遺産だ」


 恐る恐る齧ったデンジャー先輩はすぐにとろけそうな笑顔になり、気品のある甘さは舌の肥えたザキラのお眼鏡にも適ったらしい。


「つってもこれ消費期限切れなんだよなあ。大丈夫か?」

「まあいいんじゃない。砂糖だし」


 しかしやはりリアンは食べる事に躊躇しておりなかなか金平糖を口にしなかった。


 けれどヨンアまでもが特に気にせず金平糖を食べ、皆が食べるのを見てようやく噛み砕く決心がついたらしい。


「分析結果を見る限りは問題ないね。解析出来ない成分もあるけど僕も食べたかったなあ」

「いや食ってから言うなよ! 解析出来ない成分ってなんだよ!?」


 唯一機械のチクタ君だけは食べる事が出来なかったが、彼はなかなか恐ろしい事を言ったのでリアンは恐怖してしまう。


 もしかすると昔の物だし変な着色料を使っているのかもしれない。まあ腹を壊したら回復弾を使うか希典先生に頼めばいいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ