4-20 男の娘の宝石箱やー
昔の親友、ヒナを思わせる雰囲気の少女は寂しげな表情から普通の表情に戻り、名も無き少年兵とチクタ君に告げた。
「というわけだから大体察してね、ニア、チクタ君」
「いやどういうわけでござるか?」
「ええと、敵じゃないって事? わかった」
名も無き少年兵改めニアとチクタ君は言われた通り武装を解除する。その言葉だけですぐに信じるなんて強い信頼関係で結ばれているらしい。
「随分とあっさりしてるでヤンスね。オイラ達は一応お尋ね者でヤンスよ」
「拙者も訳アリでござるし、周りにも基本的にそういう人間しかいないでござる。官憲に追われる身だとしてもいちいち気にしないでござるよ」
「そうだったんでヤンスかー」
サスケも変わり身が早いもので殺し合いをしていた相手と親しげに話していたけれど、それ以上にニアのほうが凄まじく、目を輝かせて彼女に詰め寄る。
「それよりも! クナイといい忍刀といいその身のこなしといい、サスケ殿はガチの忍者でござるか!? モノホンの忍者でござるか!?」
「え? 一応クウガ忍軍って所に所属はしていたでヤンスが」
「フォオオオ! まさか異世界で本物の忍者に会えるだなんて感無量でござる!」
「ど、どうもでヤンス」
どうやらニアは見た目からわかる様に忍者好きらしく、彼女の圧の強さにサスケは照れながらたじたじになっていた。死闘を繰り広げた事で絆でも芽生えたのかな?
「でもごめんね、いきなり襲い掛かって。怪我はない?」
「大丈夫大丈夫。にしてもお前なかなかいい身体してんなー。どういう素材だよ」
もう一人、リアンもナーゴ族の先祖と因縁があるチクタ君と親睦を含めていた。
厳密にはリアンは自称ナーゴ族なので以下略だが、やはり工業系としてロボットは無条件で好きになるらしい。ましてや彼の様に心優しいロボットならばなおの事だろう。
「なんか締まらないなあ。いいのかこんなノリで」
さっきまで争っていたのに和気あいあいとした空気になり、俺は脱力しつつも幸せな気持ちになってしまう。
「いいんじゃないかな? 殺し合うよりは」
「う、うん。それもそうだよな」
大人びた鳳仙はいたずらっ子の様な笑みを浮かべたけど、彼女の笑みはヒナと見分けがつかない程そっくりだったので俺は不覚にもドキッとしてしまう。
「あれ、どうしたのさ、なんかニヤニヤして」
「なんでもないから」
もしかしたらヒナと酷似した彼女とも特別な関係になったりするのかな。九州男児の俺としては節操なく惚れるなんてチャラい事はしたくないんだけど。いや出身は関西のあたりだけど。
「トモキさんをたすけるんダー!」
「とおー!」
「おわ!?」
「ん?」
けれど仲良く鳳仙と談笑していた時、逃げていたニイノとマタベエが戻って来て俺達を助けるために攻撃を仕掛けてしまう。
俺は慌てて鳳仙を護るための行動を取ろうとしたが何も出来ず、彼女は一歩後退して釣竿ランスの攻撃を回避した。
ふわっ。
「あ」
「アラ」
しかし彼女は完全には攻撃を捌けず、釣竿の針がスカートを釣り上げてその下にあった黒いスウィートを露わにしてしまう。
けれど黒いスウィートの下には禍々しいマーラ様が潜んでおり、俺とニイノは意表をつかれポカンとしてしまう。
「もう、せっかちさんだね」
鳳仙は何事もなかったかのように釣り針を外し、小悪魔スマイルを浮かべほんのり恥ずかしがる。
「あのぉ、鳳仙さん? なんか見えてはいけないものが見えた気がしたんですが……」
そしてしばらく思考が停止していた俺は恐る恐る彼女に尋ねた。それはきっと知ってはならない真実なのだろうけど……。
「フフ、もっと詳しく見たい? 君になら見せてもいいよ。男の娘の宝石箱の中身をね」
「のぉーん!?」
彼は残酷な真実を告げ、あわよくばな展開をほんのり期待していた俺は膝から崩れ落ちて絶望してしまう。
うん、これはきっと神様が節操のない俺に罰を与えたんだろうな。今後は誰それ構わずそういう目で見るのは止めよう。




