4-19 ヒナとよく似た少女との運命の出会い
足首に絡まった鎖によって釣り上げられ、逆さまになった俺は空中で完全に無防備な状態になってしまい一切の抵抗が出来なくなってしまう。
まさかトラップがまだ残っていたのか――死を覚悟したその時、俺の目の前に彼女が現れた。
「ごめんね、真剣勝負の最中に無粋かと思ったけど割り込ませてもらったよ」
「え……? ヒナ……?」
その少女はかつて小児科病棟にいた頃の親友で、俺の恩人でもあるヒナの面影があった。
髪の毛の色は黒っぽかったけど、きっと彼女を成長させてドSにしたらこうなるに違いない。
まさか彼女もまたヒナが異世界転生した存在だというのか。もしそうだとするのならこんな最悪な形で再会したくなかった。
けれど彼女は俺の絶望を察し、少し寂しそうに笑ってこう言った。
「僕の名前は荒木鳳仙だ。君の友人である久遠鳳雛とは……まあそのうち関係性を教えるよ。取りあえず敵じゃない事は約束するから」
「そ、そうか」
荒木鳳仙という少女の素性はわからないが雰囲気はヒナとかなり似ているし、もしかしたら親族とかそういう関係なのかもしれない。
「鳳仙殿、降ろしてほしいでござるよー」
「ごめんごめん」
名も無き少年兵も彼女と知り合いなのか文句を言って、鳳仙はスカートの下から伸びる鎖を緩めさせゆっくりと全員を地面に降ろした。
どういうギミックかはわからないが、一瞬で全員を縛り上げて無力化するだなんてかなりの強者らしい。
荒木というありふれた苗字だけではわからないけど、こんな芸当が出来るなんてまさか彼女は希典先生の関係者なのだろうか。
「って、カツラが」
逆さ吊りにされた時カツラが落ちてしまった事に気付いた俺は慌てて魂の分身を探したが、すぐに鳳仙が両手で持っているのを発見して安堵する。
「すまない鳳仙、返してくれるか」
「……………」
だけど鳳仙はカツラを切なそうに見つめていたので、俺は伸ばした手をそっとひっこめた。
このカツラにはヒナの命が宿っているのでもしかしたら鳳仙は何かを感じ取ったのかもしれない。ならばこの語らいを邪魔してはならないだろう。
「ごめんね。はい」
「ああ」
しばらくしてから鳳仙は俺にカツラを返してくれたので、俺は丁寧にセッティングする。
彼女とヒナとの関係性はわからないが、きっと鳳仙にとって大切な人だったに違いない。この寂しそうな目が何よりの証拠だ。




