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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-18 VSエヴゲーニア&チクタクマジン

 邂逅を済ませた名も無き少年兵はその場をチクタクマジンに任せ、密林地帯となった市街地に戻っていく。


 戦場の基本はハイドアンドシークだ。


 本来はずっと隠れたまま攻撃し続けるのは普通だけど、問答無用で殺さずちゃんと話をしに来て逃げるチャンスを与えてくれた辺りいい子なのだろう。


 チクタクマジンは凶悪な武装を大量に保有していたが、廃墟の中で怯えている魔物をちらりと見た後、まずはリアンに狙いを定めて腰を深く落とした。


「皆を怖がらせちゃうし早めに片付けるか。ていッ!」

「おおっと!?」


 彼は物々しい武装を使わずロボットらしいシンプルな大振りのパンチを連続で繰り出す。


 それはチクタクマジンの攻撃で最も弱い攻撃だったはずだが、それでもサビた車が軽々と吹っ飛んでしまうものだった。


「うひゃー、流石は世界を滅ぼしかけた神代の兵器のチクタクマジンだな! 半端ねぇよ!」

「僕はチクタ君だよ。でもそっかあ、やっぱり僕は戦争の道具だったんだね」


 攻撃を回避したリアンはあまりの破壊神っぷりに恐怖よりも感動が勝ってしまったけれど、彼は自分が兵器だったという真実を知ってしまい少しだけ落ち込んでいる様だ。


 リアンは牽制にニードルガンを乱射し、チクタ君は避ける事無く全ての攻撃を受け止める。やはりこんな攻撃は意味を為さないらしい。


「けど教えてくれてありがとう。ならせめてこの力を誰かを傷つけるんじゃなくて、皆を護るために使う事にするよ」


 しかしよくよく見るとチクタ君の背後にはお昼寝をしていたマタンゴさんがいて、戦闘行為が行われている事にようやく気付き慌てて逃げ出してしまう。


 もしかすると彼は住民の魔物を護るためにあえて避けなかったのだろうか。


 ミサイルやガトリングを使えば簡単に制圧出来るのに、そうしないのは巻き添えを恐れての事なのかもしれない。


 連合軍は民間人がいようが全くお構いなしに空爆をするのに、ロボット兵器がちゃんと配慮をするだなんて人間とは大違いだ。


 これがただのプログラムだとしても、やはり人工知能はあらゆる面で人間を凌駕してしまっているのかもしれない。


「そこだッ!」

「おっとっと」


 一方サスケは些細な気配から名も無き少年兵の居場所を察知しクナイを投げて攻撃する。接近された相手は一瞬動揺したがすぐにCQCに切り替え応戦した。


「せいッ!」

「むぐぐ」


 名も無き少年兵は接近戦が苦手らしく、身体能力が高いサスケへの対応に苦慮していたがどうにか食らいつく。


 その格闘技はロシア軍のコマンドサンボがベースとなっており、見た目もスラヴ系っぽいのでもしかしたらゴルイニシチェの関係者なのかもしれない。


(今なら……!)


 俺はM9の銃口を名も無き少年兵に向ける。相手は生身の人間なので睡眠弾でも催淫弾でも撃てばそれだけで無力化可能だ。


 けれどお互い激しく動き回っているのでなかなか狙いが定まらない。M9の命中精度は元々あまり高くないしこれでは誤射してしまう可能性がある。


「じー。てい!」

「うわっ!?」


 しかし名も無き少年兵だけに意識を集中させているわけにもいかない。チクタ君は仲間を助けるためにメガトンパンチを繰り出し、俺は急いでその場から離れた。


 図体がデカいチクタ君はブースターで移動をしているとはいえ決して速くはなく、攻撃も大振りなものばかりで典型的なパワータイプだ。


 対して名も無き少年兵は素早い動きで撹乱し、離れた場所から的確な援護をしている。


 きっとそれなりの期間バディを組んでいたのだろう、二人の連携は非の打ちどころがない程完璧だった。


「これはどうでござるかッ!」

「ひゃっ!?」


 苦戦していた名も無き少年兵はわずかな隙を見て催涙弾を放り投げ、マカミ族のサスケは鋭い嗅覚が仇となり致命的なダメージを受けてしまう。


「しまった!?」

「サスケッ!」


 彼女が戦闘不能になった事で均衡していた戦況は崩れてしまう。


 俺はすぐにサスケを助けるためにM9の銃口を向けたが、同じタイミングでリアンも義手をかざしていた。


「駄目だリアンッ!」


 俺は叫んで止めようとしたが、その言葉はもう彼女には届かず鋭い針が射出されてしまう。


 自衛のために応戦する事を選んだ相手に悪意がない以上、この戦いはお互いが全員無事で初めて勝利となる。


 けれどリアンは舎弟を護るために決断を下してしまったらしい。


「ッ!?」

「のお!?」

「うわ!?」


 だがその時予想だにしていない事が起きる。突如として足に何かが絡みつき、天地がひっくり返って俺達は全員逆さ吊りになってしまったのだ。

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