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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-17 現代チームと異世界チームの邂逅

 ――聖智樹の視点から――


 パン――ッ!


「ッ!」


 マタベエを助けようとした時に生存本能が危機を告げ俺は咄嗟に前に転がり、放たれた弾丸によって太い樹木の幹に穴が穿たれる。


「わわっ!?」

「わー?」


 ちょうどマタベエも脱出に成功したが、銃声に驚いてしまったニイノは驚いて尻もちをついてしまった。


「二人は下がれッ!」

「は、はい!」


 ニイノとマタベエは突然の事に何が起こったのかわからなかったらしく、俺は安全な場所に隠れる様に指示を出す。


 しかしこの状況ではどこにも安全な場所はないので早急に脅威を排除すべきだろう。どこだ、どこからだ! 相手はどこから撃って来た!?


「アニキ、姐さんッ!」

「敵襲か!?」


 戦いの始まりを告げる号砲に本職の二人もすぐに戦闘態勢に入る。やはり決して足を踏み入れてはならない禁足地というだけあってお気楽モードとはいかないか。


(だけど銃って……)


 敵は今確かに銃を撃った。もちろんこの世界にも銃はあるにはあるが決して数は多くない。


 それに感覚でわかる、相手もプロであると。


 相手は的確に人間の急所である頭を狙ったので完全に殺すつもりだったはずだ。つまり敵は明確に俺達と殺すべき敵と認識している。


 ゴルイニシチェ兵士や機動戦車ヴィイと戦った時と違い、この場に希典先生はいないので何かがあっても彼は決して助けてくれない。


 つまり今俺はチュートリアルではない本物の戦場にいる。その事を自覚した俺は恐怖で気が狂いそうになった。


 だけど今は耐えなければ。皆で生き残るために……!


 数秒の思案の後ガチャンと機械が跳ねる音がし、胸元に大正時代の時計の様なギミックがある機械仕掛けの魔人が空から現れ、落下と同時に大地が激しく揺れる。


「対象を確認。殲滅するよ」


 機械仕掛けの魔人は少年の様な可愛らしい声でそんなえげつない事を言い、頭部のモニターには顔文字の様な愛嬌のある顔が表示されていた。


「何だこいつ、神代のロボット兵器ってわけでもなさそうだが……」


 見た目こそ可愛らしいが頑丈な装甲や、ガトリングやランチャーと言った武装はこいつがロボット兵器である事を否が応でも理解させてしまう。


「時計って……まさかこいつチクタクマジンかッ!?」

「チクタクマジン?」


 だがリアンはこの機械仕掛けの魔人の正体を知っていたらしく、ああ、とひどく怯えながらチクタクマジンについて語った。


「オレ達のナーゴ族のご先祖様でもある英雄ドーラが戦った化け物だ。なんでもキヨウに封印されていた最強最悪のロボット兵器らしい」

「そうなの? へー」


 けれど彼女が説明をした時、俺よりもチクタクマジンのほうが驚いている様だった。


 モニターに映る顔文字の様な顔は愛嬌があり、とてもではないけど神話に出てくる最強最悪のロボット兵器には見えない。


「神話の怪物と戦うだなんて荷が重すぎるでヤンス! もう一人は……ッ!?」


 もう一人の襲撃者がいる事に気付いていたサスケは二発目の狙撃をジャンプして回避、木の上に移動して素早く相手の姿を捉えた。


「え?」

「あいつは……?」


 だが彼女はその襲撃者の姿を確認し思考が停止してしまった。


 けれどすぐに密林に潜んでいた名もなき兵士を敵であると認識、忍刀を構え態勢を立て直した。


「気配を消していたのに気付くとは。かなりの手練れとお見受けいたしますぞ」


 密造カラシニコフを得物とする襲撃者の中学生くらいの少女は、迷彩服に有名なアニメの忍者の鉢金を額に巻くという奇妙な装いをしていた。


 また夜更かししてゲームでもしていたかの様な眠たそうな目には一切の恐れがなく、命を奪う事への躊躇が全く感じられない。


 だけど一体彼女は何歳なんだろう。かなり幼いけどサスケと同い年くらいだろうか。


 きっと彼女は少年兵として戦場を渡り歩き、俺なんかよりもずっと修羅場を経験しているのだろう。


「君は……どこかで……」

「うむ? 拙者とは初対面のはずでござるが」

「……そうでヤンスね」


 ただサスケはそれ以外の何かを少女から感じ取ってしまう。しかしそれ以上は気に留める事はなく、戦いに集中する事にしたらしい。


 でも相手は敵意を剥き出しにしているけど悪意は感じられない。もしかすれば説得の余地があると考えた俺は戦う前に話し合いを試みる。


「一応聞くが、俺達は何で襲われてるんだ? お前たちは何者だ?」

「この前漂着した船を漁ってたらお主らの顔写真と名前が書かれた資料を見つけたでござる。それだけ言えば十分でござるか」


 忍者っぽい少年兵の少女は淡々と答える。おそらく彼女は異世界軍の難破船から俺達がお尋ね者だという情報を入手したのだろう。


「……おいリアン」

「なんだよ、俺のせいか? トモキだってまあまあ極悪人だからな」


 俺はジト目でリアンを睨みつけたが、正直あまり他人の事は言えない事に思い至ってしまった。


 名前の知れた強盗殺人犯に武力行使をしたテロリストが一緒にいる。確かにこれでは言い訳のしようがない。


 リアンに関しては極力殺さない様にしているし、実際にムゲンパレスのレーザーを使用したのは希典先生だけど、確かにこんな凶悪犯がやってきたら普通は脅威と認識するはずだ。


「何者か、という質問に関してはいわゆる異世界転移的なアレでござる。拙者達もよくわかっていないので大体の感じで理解してほしいでござる。何も盗らずに島から出て行ってくれるのなら見逃してあげてもいいでござるよ」

「異世界転移……マレビトか」


 また少年兵達も現実世界からこちらに迷い込んだマレビトだと判明した。


 銃口を向ける彼女は無用な戦いを避けるための妥協案を示したが、だからといって素直に頷く事は出来なかった。


「ごめんね、こっちも皆を護らないといけないから。君達はちょっと問題があるみたいだしこの先には通せないなあ。集落には病気のお年寄りや子供もいるわけだし」


 チクタクマジンは申し訳なさそうに武装を展開し、凶悪犯から無辜の人々を護る守護者としての役割を果たす。


 彼がロボット兵器である事はわかっていたけれど、もしもロボットにも魂があるのならば彼はきっととても清らかで高潔な魂を持っているのだろう。


「仕方ない、やるしかないか。殺すんじゃないぞ」

「……はいっ!」


 しかし事情が分かった以上方針は決まった。俺がそう告げるとサスケは微かに震えながら目の前の少女達と戦う事を決意する。


 もしも血も涙もない相手ならばいざ知らず彼女達は決して敵ではない。まずは何とかして無力化して誤解を解かないと。

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