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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-16 元少年兵、エヴゲーニアの責務

 ――エヴゲーニアの視点から――


 ビルに隠れていた私達は物陰に隠れ、可愛らしく網の中で揺れるマタンゴさんを眺めた。


 野生化したヒカリを捕まえるために罠を仕掛けたけれどこうなる可能性は予見出来た。やはりそう上手くはいかないらしい。


「ありゃりゃ、これじゃあキノコ虐待だって炎上するでござる。でもあれは……」


 ただあの人畜無害な不思議生命体はいいとして、周囲には明らかに人間っぽい連中がいた。


 普通に考えれば私達と同じ様に異世界転移して来た沖縄の人だろうけど、もしも新希典派の連中ならば少しばかり困った事になる。


「変わった格好だけど……銃も持ってるし素人じゃないでござるな」


 その甚平を着たタヌキっぽい見た目の少年はこの世界ではアンジョと呼ばれている人間であり、自衛隊で使われていた9ミリ機関けん銃を持っていた。


 この世界にも近代兵器はあるにはあるけれど多くは骨董品で使い物にならないものばかりだ。さっきも見かけたけれど一体彼は何者なのだろう。


「待って、ニアちゃん」

「どうしたでござるか、チクタ殿」


 けれどチクタ君はモニターに難しい顔を表示してしまう。もしかするとロボットの彼にしかわからない何かに気付いたのかもしれない。


「この間異世界の斥候部隊が乗っていた船の残骸からいろいろ回収したでしょ。その時のデータと照合したけど、あの人達こっちの世界じゃ指名手配犯みたいだよ」

「ふむ、罪状は?」

「あの男の子は聖智樹って言って、情報が秘匿されてるけどとにかく最優先で捕まえろって指示が出ているお尋ね者みたい」

「秘匿って。特殊指名手配犯みたいなものでござるか?」


 分析をしたチクタ君はなかなか穏やかではない事を言った。


 島から出た事がない、もとい出られないのでちゃんとした異世界の事情は分からないものの、危険な相手ならば十分に警戒すべきだろう。


「あっちの猫耳パーカーの女の子はリアン・ミャオって言って、子供の頃に人を殺してそれ以外にも何件もの強盗や殺人をしてるみたいだよ。犬耳の子はサスケって言って彼女の相棒みたいだね」

「ふーむ、お尋ね者が三人もいるわけでござるか」


 話を聞く限りは限りなくクロの連中ばかりだ。


 元武装勢力の自分もあまり人の事を言えた義理ではないものの、彼らは招かれざる客と認識したほうがいいだろう。


 もしも彼らが民間人なら躊躇っていた。けれど相手が既に犯罪者だとわかっているのならば話し合いはリスクでしかない。


「やられる前にやるしかないでござるな。他の皆も招集してほしいでござる」

「わかった」


 もしかしたらこの判断は間違っていて、取り返しのつかない結果をもたらすかもしれない。


 けれど自分の手はとっくの昔から血みどろに汚れている。大切なものを護るために今更躊躇する理由などなかった。


「恨まないでくだされ。今の拙者には失うものが存在するのでござる」


 感情に左右されず機械的に相手の命を奪う、それが軍人という仕事だ。


 私には非情な決断を下してでも戦わなくてはいけない責務が存在する。


 私は愛銃を構えタヌキっぽい少年の側頭部に銃口を向ける。結局のところ私はそうやって生きていく事しか出来ないのだから。

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