4-11 弟分改め妹分のサスケの加入
んで。
「ぐすん」
「まあ、うん……犬に噛まれたと思いなよ。噛まれたのは俺だけど……」
服を着たサスケは家の奥に隠れてすすり泣き、事案野郎の俺は清々しい青空を眺めながら彼女が泣き止むのを待っていた。
「ええと、そのぉ……サスケって……女の子だったんだな」
「逆に何でアニキは今までオイラの事を男の子と思っていたんでヤンスか」
「いや、サスケって俺達の世界じゃ普通男につけられる名前だから」
ボーイッシュな彼女の性別はどちらとも解釈出来るが、俺が少年と思ってしまった最大の理由はサスケという名前だった。
だけどジュン、ミカ等、現実世界でも国が違えば男女につけられる名前の傾向も変わる。ましてや異世界ならばなおの事であり、俺はすっかりその事実を失念していた。
「サスケって名前はクウガ忍軍にいた頃に襲名しただけで本名じゃないでヤンス。っていうか見れば大体わかると思うでヤンス……」
「ああうん……それもそっか」
そういえばユキチも男っぽい名前だったから違和感を抱いたけど、あれはクウガ忍軍なる組織の風習だったのか。
俺はクウガ忍軍の事をよく知らないが、その名前は真田十勇士の猿飛佐助に由来するのかもしれない。
「別にいいでヤンスよ。変なのはマカミ族なのに恥ずかしがるオイラのほうでヤンスから」
「ええと、サスケは人間に育てられたからその辺の感覚が人と同じなんだっけ」
この世界では異なる種族を基本的に異性として認識せず性欲の対象にもならない。だけど俺は少し前に聞いた彼女の過去を思い出した。
「五番目の子犬がどうたらこうたらで……いや、ごめん」
そしてユキチと戦った際に捨てられたという話も。俺は次第に意気消沈し、気まずさのベクトルは重苦しいものに変化してしまう。
しかし寂しい気配を察知したのか、泣いていた彼女は飼い主に寄りそう様に俺の下に戻って来た。
「まったく……気にしないで欲しいでヤンス」
「なんかごめん」
やれやれ、弟分にこんな顔をさせたら駄目だな。
いや、これからは妹分か。
性別が変わった所で関係性はそんなに変わらないだろう。でもそっか、サスケは実は女の子で、そんな彼女に俺は今まで……。
「ぬおおおお!?」
俺は今までとんでもない事をやらかしまくっていた事を猛省する。いや男の娘だとしてもあの変態行為はアウトだったけども。
「どうしたんでヤンス、アニキ?」
「サスケ、俺は変態か」
「今更気付いたんでヤンスか? 変なアニキでヤンス」
しかしその絶望したリアクションが面白かったのか、サスケはクスクスと笑いようやく機嫌が直ってくれた。予定とは違うけど結果オーライという事で。
「アニキ。散歩でもしながらお話するでヤンス」
「?」
サスケは優しくそう告げ、俺は言われるがままその場を離れて廃墟の町へと向かう。
俺は空気を読んでシリアスモードに戻り、風情ある沖縄の伝統的な街並みを眺めながら彼女の話を聞く事にした。




