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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第四章 悠久のニライカナイ、黄昏の空を飛び続ける天龍【第一部4】

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4-8 チートスキル:『マーラの渇愛』の付与

 ニライカナイの探索を開始する前に俺は自分の装備を確認する。危険性がないとはいえ、一応いつでも道具は取り出せるようにしたほうがいいだろう。


「あれ、M9がない」


 所持品を確認していると俺はすぐに愛銃が無い事に気が付いた。弾数無制限かつ最強のバステ攻撃を放てるM9は生存に必要不可欠なのに。


 だけどマップで調べると祠らしきものの前に落ちているM9を発見した。ふう、ちょっとひやひやしたけど無くさなくて良かったよ。


「あったあった。でもなんであんなところに……ん?」


 俺が不思議に思っていると全身が葉っぱだらけの小さな魔物が祠に近付き、パイナップルらしきものを置いて祈りを捧げる仕草をした。


 なるほど、おそらくあの魔物が俺のM9をお供えしたのか。お供え物にしては随分と物騒だけどおかげで無事に回収が出来そうだ。


 砂浜から道路に出た俺は周囲の景色を眺めながら祠へと向かう。


 海沿いには朽ちた赤瓦屋根の家が並び、風よけの石垣は日本でありながら日本を感じさせず不思議な趣があった。


 南国という土地柄、元々は暑さ対策のため風通しの良さを考慮して建てられたのだろう。


 長い年月を経て石垣も屏風ヒンプンも崩落が進み、伝統的な家屋はあばら屋同然になっていた。


「うまうま」

「ブヒブヒ」


 しかしあばら屋だとしても現在の住民にとってはあまり関係がなかったらしく、木の葉の魔物とブタの魔物は楽しそうにおしゃべりをしながら島バナナを食べていた。


「だれ?」

「よう」

「よー」


 木の葉の魔物は俺に近付き物珍しそうに眺め、俺が手を上げて挨拶をすると真似をした。


 牙は尖っているが恐ろしさは微塵も感じられず、向こうも異邦人を全く警戒している様には見えなかった。


 魔物はあまり他では見かけない個体が多かったけど、沖縄ではこういう妖怪をマジムンって言うんだっけ。どれもこれも愛嬌があり、好奇心旺盛で人懐っこい奴らばかりだ。


 禁足地というくらいだからニライカナイは魔王の島の様にさぞかし物騒な場所かと思っていたけれど、平和な楽園そのものだ。


 やはりこの場所にも朽ち果てた軍用ヘリが転がっていたが、内部ではイリオモテヤマネコらしき猫マジムンがすやすやと眠っている。


 戦争が始まる前の沖縄もこんな感じで穏やかな時が流れていたのだろうか。人類がいなくなった事で安寧の時をようやく取り戻したらしい。


 空も、海も、風も。俺は血なまぐさい戦時下の沖縄しか知らないが、ありのままの沖縄はこんなにも美しかったのか。


 物悲しい気持ちになりながら祠に辿り着き、俺はひとまず手を合わせてからM9を回収する。


 元々は俺のものだがお供え物を持って帰るので、一応そのあたりはきちっとしなければならないだろう。


 沖縄の土着の神を祀る祠は中国っぽい不思議な見た目をしていた。文化的な考察とかちゃんと調べればそれだけで本が一冊書けそうだ。


(一応壊れていないか確認しておくか)


 見た感じ少し汚れているだけだが、念のためM9に異常がないか鑑定スキルで確かめる。うん、特に問題ないな……?


「『マーラの渇愛』? なんじゃこりゃ」


 しかし俺はいつの間にかM9に覚えのないスキルが付与されていた事に気が付いてしまう。


 よくあるスキルが進化したとかそういうアレだろうか。


 だけど『マーラの渇愛』って。この世界を滅ぼしたとされる魔王の名前を冠するスキルって一体何なんだろう。


「なになに、催淫バステを……うぉ、ランク高っ!?」


 ひとまず内容を確認すると俺はそのスキルに驚愕する。


 簡単に言えば『マーラの渇愛』は今までも使っていた魅了バステを強化したものだが、特筆すべきはそのランクの高さだった。


 今までは強い相手に対しては効果がなかったが、これがあれば大抵の相手を魅了させ操る事が出来るだろう。


 しかし強力なのは間違いないが俺は強すぎる力に恐怖してしまう。異能系では常々催眠系が最強とされるが、果たしてこんな代物を安易に使ってもいいのだろうか。


 もしもこれがあれば俺は権力者を意のままに操り世界を支配する事が出来るだろう。異世界ハーレムも夢ではない。


 だがそれは英雄がする行いではなく、紛れもない魔王の所業だ。その辺りも考えて気を付けて使わないと。


「―――――」

「っ」


 俺は悍ましい気配を察知し背後を振り向く。


 しかしそこには誰もおらず、忘れ去られたロボット兵器の残骸が転がるだけだった。


 なんだろう、背後に不敵な笑みを浮かべる痴女がいた気がするんだけど……気のせい、だよな?

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