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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-186 地獄のマラソン第二幕

 二人の忍びは互いの護るべきものに戦い、激情が伝わったのか火山は再び噴火し噴石が降り注ぐ。


「ッ!」


 灼熱の黒煙は凄まじいスピードで広がり、巨大な岩石が雨あられの様に降り注いだ。あんなの掠っただけでも人間は死んでしまう。


「サスケ! 一旦退くぞッ!」

「は、はい!」


 これでは勝負どころではない。俺とサスケはユキチとの勝負を中断してコースの外に避難する。


 本来はこうなる前に避難所ゴールに辿り着く予定だったが仕方がない。マップ機能を使いつつ、少しでも安全なルートを選ばなければ。


「そうだ、ユキチは!」

「『銭猫』ユキチがこのくらいで死ぬはずがないでヤンス!」


 俺は逃げ遅れたユキチの身を案じてしまったが、彼女は普通に降り注ぐ噴石を避け、それだけではなく落下する岩石から岩石へ飛び移り、空中を移動しながらショートカットするという離れ業をやってのけていた。


「……みたいだな」


 この世界には人外しかいないのだろうか。ヒョウスベさんに黒騎士カムナなどなど、基本化け物としか遭遇していない気がする。


 あるいは人間基準で考えるから異常だと思ってしまうのだろうか。こんな連中が一斉に蜂起したらこの世界に残っている人間は一瞬で絶滅してしまうだろう。


 マラソンコースの外側もやはり悪路だったがこちらも比較的走りやすかった。


 よく見ると壊れた矢印の看板も設置されていたので、ここはひょっとすると使われなくなったマラソンコースなのかもしれない。


「うぉう」


 しかしこちらは安全性がより確保されておらず、うっかり足を滑らせたらそのまま滑落して死ぬ断崖絶壁の道なき道だった。


 左側の山肌からは地面が揺れるたびに黒い石がパラパラと転がり、右側は奈落の谷底でもしも落ちたのならばひとたまりもない。


 車が一台通れるくらいの幅はあるもののこんな場所を好き好んで走りたくない。


 ただ車で走るのは無理だとしても徒歩で移動する分にはさほど問題ないだろう。


 火山は絶え間なく噴火しているし何よりも化け物、いや化け猫が追いかけてくるのであくまでも道幅に限ってだけど。落石や道の崩落には気を付けないと。


「とにかく避難所まで走るぞ。人目に付く場所ならあいつも簡単に手出しは出来ないはずだ!」

「了解でヤンス!」


 俺がサスケと共に走り出すとユキチもまたすぐに追跡を開始、デスマラソン大会は第二ラウンドに突入した。


 ユキチは切り立った山肌を駆け抜け、攻撃の届かない場所からクナイを投げつける。一応忍者なので忍者っぽい攻撃も出来るらしい。


 意外とショボい攻撃だな、と一瞬思ってしまったが地面に着弾したクナイは爆散、崩れかけの道は大きく抉られてしまう。


「おわ!?」


 崩落が進んだ道はわずかな衝撃で崩れてしまい、俺達が先ほどまで立っていた場所は剥ぎ取られるように地面ごと奈落の底に吸い込まれてしまう。


「無茶苦茶やりやがるな!」


 どうやら直接手を下さず崖崩れに見せかけて殺すつもりの様だ。こうすれば遠距離から一方的に攻撃出来るし正しい判断だろう。


「せいッ!」


 サスケは懸命に手裏剣を投げるが牽制にもならない。高低差もそうだけど、元より力の差があり過ぎ掠りもしなかったからだ。


 仕方ない、俺も少しくらいは反撃を――と考えM9を抜こうとしたがすぐにやめた。


 彼女はほぼ垂直な山肌を走っており、バステ弾だとしても命中してしまえば滑落し死んでしまう可能性があったからだ。


 しかし攻めあぐねていた時救世主が空より颯爽と現れる。


 それは救いをもたらす天使にしては随分と荒々しかったが、俺にとってはモンスの天使の如く頼もしく見えた。


「トモキ、サスケェッ!」

「ザキラ!」

「ザキラさん!」


 二丁のフロストガトリングを携えたザキラは銃弾の雨を降らせ、剣山の様に尖った山肌は瞬く間に凍り付いていく。


 伝説の忍びも近代兵器には叶わなかった様でユキチはひたすら逃げに徹していた。そりゃガトリングを走って避けれるのもそれはそれで大概ではあるのだけれど。


 だがこれだけでは足りない。あと一つ決定打になるものが欲しい。それはなんだ、考えるんだ――!


「ユキチ、止めるんだッ!」

「「ッ!?」」


 けれどその思考は突如として現れたアマビコの必死な叫びによって遮られる。


 その場にいた誰もが固まり、何が起こったのか理解出来なくなってしまった。


 それはユキチも同じだった。


 ほんの一瞬、ほんの一瞬ではあるけれど、彼女の心は動揺してしまったのだ。


「ああ!?」

「ユキチ!?」


 心が乱れた彼女は被弾し足を踏み外してしまう。俺は背後を振り向くが彼女はピクリとも動く事はなかった。


「アマビコ!? いやあいつは……!」


 そしてそこにいるはずがないアマビコはニマニマと笑いながら泥に変化、地面に潜って消えてしまう。


 ……やっぱり希典先生だったか。


 彼は幼女に変身出来るくらいだし知っている人間なら誰でも擬態出来るのだろう。


 余計な事をしたあのアル中教師にはあとで説教をしておくとして、ひとまずユキチを助けないと。


 敵だとしても、この場所は危険すぎるので放置する事は出来ない。

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