第八話 「ダメ!ねぇねはルーナのなの!」・・・チーン
・・・王太子殿下がいらっしゃったわ。メアリーも一応朝から張り切って薄い黄色のドレスに、同じ色のリボンで髪を結ってくれましたけど・・・。
王太子殿下は前世の婚約者の方と大層仲がよろしかったですわ。王太子殿下は友達だ、と言っていましたけれど。
ため息をつきながら考えていると、メアリーが部屋に戻ってきて
「王太子殿下がいらっしゃいました。お迎えを」
と言います。そう!ルーナちゃんも!ルーナちゃんを!あの腹黒王太子殿下の前にお父様は晒す、とおっしゃったのです!
・・・なんということを・・・!
「はあ。お嬢様。行きますよ」
「・・・ええ」
そうして出迎えた王太子殿下。
煌びやかな金髪に白い衣装。・・・顔は非常に好みですわね。パトリック様のような騎士系とは正反対の、まさに「王子」「文官」のような顔立ちですわ。
昔は騎士系の顔立ちが好きだったのですけど・・・。パトリック様のおかげで好みが反転いたしましたの。
お父様とお義母様にならってカーテシーをしてチラリと王太子殿下を見上げます。
「ようこそお越しくださいました、王太子殿下」
「堅苦しい挨拶は良い。・・・其方がルミナス嬢か。妹の溺愛っぷりはかなり有名だぞ」
はあ?わたくしと同い年のあなたに、そんなこと言われる筋合いはございませんわ!何より、可愛らしくて、まさに地上に舞い降りた天使を溺愛しない理由はどこにありますの?!
と言う本音はちゃんと隠せますのよ?
「・・・まさか王太子殿下のお耳に入るとは。ごくごく一般的かと存じます」
「さて、どうかな。私は其方と話すことを楽しみにしていた。私との茶会を断ってまで妹と遊びに出かける令嬢は、どんなものかと、ね?」
ま、まさか!わたくしたちに密偵でもつけていたんですの?なぜ、お茶会当日にルーナちゃんと子供が好きだと有名な場所に連れて行ったことを知ってるのよ!
「おうたいしでんかは」
「ああ、其方がルーナ嬢か。どうした」
ああ!ルーナちゃん!喋っちゃだめー!ルーナちゃんの可愛さは誰にも伝わってほしくないのにぃー!特にこの腹黒王子には!
「ねぇねがほしいの?」
ルーナちゃん!なんて率直な疑問を!ていうか!こんなやつを婚約者にするほどわたくしは困っていませんわ!・・・多分。
「ははっ!・・・ルーナ嬢、それはどうなるかはわからない。だがしかし、前回の茶会で気に入ったものがいなかった故、確かにルミナス場のことは気になっている」
・・・なんですの、この男。ちゃんとルーナちゃんと目を合わせてお話ししていますわ。ていうか!わたくしのルーナちゃんと目を合わせるなんて!・・・立派な犯罪ですわ!
「・・・ダメ!」
ん?ルーナちゃんの様子がおかしいですわ?わたくしに抱きついてきましたわね。はぁ~、可愛い・・・!
「何がダメなんだい?」
「ねぇねはルーナのなの!」
「・・・」
「・・・愛されているね、ルミナス嬢。・・・ルミナス嬢?」
「・・・」
・・・
わたくし、もう天に召されるのかしら。




