第六話タバコは番号で言ってください
森の洞窟から歩いて一時間ほど奈々子とアインツはドラゴンに襲われた場所まで戻ってきた。
「これは…」
「うっ…ひどい」
地面は焼け焦げていてその周辺には金属の甲冑が溶けた騎士達の亡骸があった。
「護衛騎士の数と亡骸の数が一緒ですので残念ですが生存者はいません」
「そうですか…。
彼らは勇敢なのですね。
私はドラゴンを目の当たりにして逃げることしかできませんでした。
しかし彼らはアインツさんを逃す為にと誰一人として逃げずに最後まで立ち向かったのですね」
実際ヤンキー時代ではイキったことを言っていたヤンキーも相手の力や戦力が上だったらビビって逃げ出すことなんてよくあった。
痛いことや死ぬことは誰だって怖い。
でもこの世界の人は死が身近にある分覚悟が違うのかもしれない。
「せめて彼らを埋葬したいので少し待っていてくれますか?」
「私も手伝います」
「…ありがとうございます」
それから二人で穴を掘り全員を埋葬できた頃には日が落ちかけていた。
「手伝って頂きありがとうございました」
「いえ…彼らの死に私も関係しているかもしれませんので」
「…と言いますと?」
「先ほど話した通り私はドラゴンに追われていました。
私は何とか逃げることができましたがそのせいでアインツさんたちの方にドラゴンの標的が移ってしまったんだと思います。
私が違う方向へと逃げていたら誰も死ななかったのかもしれないと思いました」
自分のせいで死人を出してしまったと思い苦悶の表情で答える奈々子。
「それは違います。
まずナナコさんは我々がいるのを知ってこちらの方に逃げたわけではありません。
それに死にたくないと思うのは当たり前のことです。
ナナコさんは生きる為に必死だったのです。
それに文句を言う人がいればその方が間違っています。
それにあなたは私を助けてくださいました。
襲われているところを見なかったふりだってできたはずなのにです。
ドラゴンに襲われて恐怖があったはずなのにあなたはドラゴンのいる場所に出ていき助けてくださいました。
だから胸を張って生きてください」
「…ありがとうございます」
人の死を初めて目の当たりにし、それが自分に原因があるのではないかと考えていた奈々子にとって救われる言葉だった。
「それでは気持ちを切り替えて野営の準備をしましょうか!
幸いにも荷馬車が一台無事でしたので食料や野営道具はあると思います!」
「はい!」
二人で野営の準備をした。
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