表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/40

第38話 新しい扶助台帳

事件の処理が一段落すると、私は新しい扶助台帳の様式づくりに着手した。


 今回は最初から、消しにくい形で作る。


 受益者欄には本人確認日を併記。停止・変更は理由書添付必須。月末には公会堂で読み上げ、写しを公証室と修道院に二重保管。倉庫鍵は修道院長と受益者代表が一本ずつ持つ。


「代表は私たちで選んでいいの?」


 マルタが驚いた顔で訊く。


「あなたたちの生活の台帳です。選ぶのも当然です」


 受益者たちは相談の末、マルタとブルーノを共同代表に選んだ。成年で、字が読めて、何より黙らない二人だ。


 私は新しい帳簿の一頁目へ、アーデルハイト伯爵夫人の設立趣旨を転記する。


『扶助は生活の再建を支え、沈黙を買うためのものではない』


 その横でフリーダが小さく笑った。


「最初からこう書いてあれば、変な実務家が嫌がりますね」


「嫌がらせるために入れるの」


 答えると、皆が少しだけ笑った。


 正しい仕組みは、派手ではない。


 けれど一度整えば、誰か一人の善意に頼らずとも回り続ける。


 私はインクが乾くのを待ちながら、ようやく胸の奥の重みが少し軽くなるのを感じていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ