なにする?どうする?冬休み
ぱちりと、目が覚めて見えるのは豊かな双丘……とヒカリの顔。
記憶を振り返ればあまりに情けない気絶の仕方をした、魔法少女として始めてあった時もこんな事になっちゃった気がする。
今は会話もきちんとできるがそれでも意識するとオタクとしてのおれが顔を出してくる、落ち着け、おれはもう憧れていた彼女達と同じ魔法少女、だから何も慌てることはない、よし。
「起きました?」
頭に当たる柔らかな感覚は太もも、まあ分かるよ?この光景は膝枕だ、綺麗に寝かされている。
「わっ!」
すかさず体を起こして飛び退く、もう恥ずかしくて気絶なんて真似しないからな!
ヒカリはなぜあんなおれを揺さぶる事をするのか、距離感おかしくないですか本当に。
「近づかないで下さい!」
威嚇を兼ねて着ているコートを脱ぎ広げて大きく見せる、これ以上の接触はおれの心臓と情緒の為に控えさせて貰う。
「いきなりレッサーパンダの威嚇の真似をしてどうしたんですか。」
きょとんとした顔で見てくる、ヒカリには分からんだろうがおれにとっては死活問題だ。
「恥ずかしいんですよ!」
「恥ずかしくて気を失うのは心配ですけどね。」
苦笑するヒカリはおれの前に立つ、なにをしようと言うのか。
「ごめんなさい、エイナ。」
そっと優しく頭を撫でられる、あまりに自然な流れで抵抗する間もなくおれの頭に触れられた。
「あのあのあの。」
子供をあやすが如く扱われるとプライドというものがあるんですけど、おれの事をなんだと思っているのか。
「何ですか?」
「恥ずかしいんですけど。」
全く撫でるのをやめてくれない、恥ずかしいって言ったよね、おれは確かに恥ずかしくて近寄らないでとアピールしたはずでは。
「嫌ですか?」
「ぐっ。」
……ズルくない?恥ずかしいかなのに嫌かどうか聞くのは反則じゃないか。
嫌な訳がない、むしろ嬉しいよ?ヒカリに撫で撫でされるなんて全人類の夢と言っても過言ではないだろう。
「……嫌じゃ、ない、です。」
何もしていないから撫でられるままで、恥ずかしいけど手を除けるのも名残惜しくて、そっぽ向いて曖昧な返事しか出来なかった。
「可愛いですね。」
「んぐっ。」
カワイイ、この四文字におれの心は惑わされる、どう反応すればいいか分からないけど気恥ずかしくて、自分の顔良さなんて知らないが、ヒカリに言われるとただ嬉しくなる。
「エイナ成分が溢れています。」
「そんなもの無いです!」
あってたまるか!
「冗談もこの辺にして冬休みの予定を立てましょう!」
あんまり冗談には聞こえなかったけど、さも当然の様に話を進める。撫でるのは続行するんだ。
「何するんですか。」
さっきも言っていたが冬休みの予定、おれは特になにも思いつかない、人は自由だとかえって何をするか決めかねるものだな。
「それを一緒に考えるんですよ!時間はたっぷりあります。」
ワシャワシャと大雑把に撫でられては頭を差し出す、もうコートを脱ぎ落としてされるがまま。
「マジルガ退治しましょうよ、一ヶ月なにもしてませんし。」
「あー、それはですね……」
何かヒカリは言い淀む、遊びほうけるのもなんだしマジルガを倒せば暇を潰せば一石二鳥ではないか、何か駄目なのか。
「夜神さんに止められられているんですよね。」
「え?」
ちゃんと止められていた、なぜだろうか。
「頑張り過ぎは良くないと言われまして……」
困ったように眉を下げて悲しむ、そりゃ自分で進んでやっているのに止められては悲しい。
「上の魔法少女は頑張ってるレベルじゃなく働いてますけど。」
「私もそう言ったんですけどね、にべもなく駄目と言われてしまいました。」
ヒカリも同じことを思ったようで言っていた、三等星の人は毎日マジルガ討伐するの人も多い。
「じゃあ何をしますか?」
止められてしまってはマジルガ退治に行くわけにもいかず、かわりに何かできるだろうか。
「マジルガのパトロールついでに良く遊びにいってましたから外に遊びに行くのも良いですね、エイナはどこか行きたい場所はありますか?」
すごくアウトドア派のヒカリは目を輝かせてこっちを見てくる、そんな目で見られてもなあ。
「あんまり外に出たことないので思いつかないです。」
「エイナはインドア派でしたね、ゲーセンは行きましたし……私の行きたい所でも構いませんか?」
「ヒカリと一緒ならどこでもいいです、楽しいでしょうから。」
ゲーセンもこないだ一緒に行ったのが始めてだったし、魔法少女のリサーチに忙しく外に出ることなどまるで考えなかったおれだが、ヒカリと一緒なら断る理由もない。
「ボウリングはどうですか?コツを掴めば案外ストライク出せますよ!」
「始めてやります。」
存在は知っているがやった事がない、ヒカリはスポーツ全部強そう。
「アスレチックもいいです、アクティビティで汗を流すもの気持ち良いですね!」
「楽しそうです。」
体を動かすのもいいものだ、健康的で爽快な運動はしたことないな。
「カラオケはどうでしょう、声を出すとかなりスッキリします!」
「タンバリン叩いてみたいです。」
経験が無いから言えないが友達とカラオケはさぞ楽しいだろう。
「こういうことはエイナって興味ないですか?」
「はい?」
ヒカリが心配そうな顔で見てくる、そんなことあるかな。
「だってこの話になってからなんにも表情変わってないですから。」
そんなことあるらしい、気づかなかった。
「ヒカリと一緒ならなんでもいいです。」
「じゃあ私がいなかったらボウリングもアスレチックもカラオケも楽しめますか?」
「それは……どうなんでしょう?」
自分でも分からない、おれは魔法少女を抜けば何もない人間ではある、人生経験というものを捨てているから知らないことばっかりだ。
「そう言うとこありますよねエイナ。」
「本当ですか。」
「自分に無頓着と言うか、趣味がないと言うか。」
「人生の九割が魔法少女で出来てますよ。」
幼少期魔法少女に救われてからおれの人生は魔法少女に魅入られてしまった、別に後悔はしていない、何もない道に彩りを与えてくれたのは魔法少女だからだ。
「魔法少女以外に好きなものは?」
「食べるのは好きですよ。」
いまいち思いつかないが日々美味しいものが食べたいと思っている。
「良い顔して食事しますよね、その他は?」
「さあ?」
特にないかな。
「本は?」
「読みません。」
「音楽は?」
「聞きません。」
「ゲーム等も?」
「やりません。」
「本当に魔法少女一本ですね。」
「それで十分じゃないですか。」
今まで憧れた魔法少女を追って、知っていってより好きになり、なんの因果か魔法少女にまでなりヒカリと一緒にいる、これ以上は贅沢だ。
「全部失って、魔法少女であることだけが残されて、ヒカリと一緒に居るのに、過ぎたことは望みません。」
そういうとヒカリのなでるてつきはやさしくなって、あんしんするようにほほにふれる。
「もっと幸せになっていいんですよ、魔法少女に憧れたこんなに優しい子が辛い目にあって終わりじゃ納得出来ません、うんと幸せになってみんなを喜ばせましょう、そうしたら私も……家族も笑顔になるはずです。」
そういえば、ヒカリにはふろばでむかしばなしをしたきがする。
「冬休み、ずっと一緒にいましょう、家でじっとしておくのも悪くありません、まずはエイナのやってみたいことを探しましょう、一旦お休みなさい、エイナ。」
ヒカリのことばがとおくになって、おれはめをつむってねむりにおちた。
毎日更新とは言えない何か
一日三十時間生活により投稿時間が終わり散らかしている
寝る前に基本更新しているはずですけど?
明日更新




