陰陽コミュニケーション 伍
二人の魔法少女が倒れ伏す、影の魔法少女の呟いた微かな言葉は誰の耳にも届かなかった。
「【起き上がる前にさっさと殺すか。】」
腹部の打撃による内臓損傷、呼吸困難で苦しむ光にとどめを刺さんと足を挙げた。
「【うん?】」
だが蹴り下ろすはずの足はピクリとも動かない、自分ではない、何者かによる干渉。
「愛しい人を傷つけるのは誰?」
声が聞こえた、聞こえることのない倒れていた者の声、放っておけば死ぬだろうと思っていた魔法少女。
「【なんだ?】」
顔を覗く、血の混じった黒髪、間違いなく致命傷だった。
「グッゲホッ、エイ……ナさん……?」
だが異様な姿だ、全身影で覆われている、顔半分が仮面のように、頭は包帯のように纏わりついている、いつもと違う。
「【どんな姿だ、死にかけのはずだが。】」
その少女は小さく笑う、場違いなほど純粋に、可憐な笑みを浮かべている。
「大丈夫?」
悠々と歩いては、光の目の前に来て声をかける、誰も止められない、困惑、警戒、迂闊に動けない。
「【……もう一度死んでくれ】」
「いいえ?」
意を決しての仕掛けには明確に否定を返す。
「【無反応と言うより効いてないのか?これはまずいか。】」
その僅かなやり取りで言伝のマジルガは力量差を察知する。
「【魔法命動に似ているが違うか、出力が段違いの魔法に包まれてそもそも届いていない。】」
「死んでしまっては守れないでしょう?魔法少女ですから。」
「【これはもう計算外だな、軌道修正するにはあれしかないな。】」
そう言って言伝のマジルガは引き、詠唱を始める。
「【世界に響くは言葉、人に、万物に平等に囁く。】」
魔法の真髄、大魔法。
己の魔法の行き着いた先にある魔法の極致、これを持つ者は例外なく己の魔法に答えを持っている。
「立って下さい、光さん。」
「エイナさん!それよりあれを!」
何よりも肌身で感じれるヤバい魔法の気配に焦る。
「落ち着いて下さい。」
それさえもエイナは諌める。
「【きっとここまで来たならば、伝えられる言。】」
「もう止められないし、覚悟を決めましょう。」
エイナはヒカリに肩を貸して、立ち直させる。
「それに光さんとなら、乗り越えられます。」
「……そうですね、きっと大丈夫です。」
「【繋がる世界】」
送られる伝言、世界中に届く言葉。
「【ああ言った手前こんな事するのも悪いが全身全霊を持ってお前達を殺させて貰う。】」
徐々に、気配が増えてゆく、三つだけだったのが十、百、千、万に迫る無数の気配。
言伝のマジルガのSOSに答えたマジルガ全てがここに集結した。
最終局面
もうちょっとで終わる
明日更新




