公国への旅路-2
セリ達は、距離が充分離れた平野で野営していた。
焚き火で周辺を灯して、全員で火を囲んでいた。
荷台に置いてあった、根菜と塩で雑多なスープを使って、それを手に今後どうするかを話し合っていた。
「あの様子だ。街全体がアンデット化しているだろうな」
そう御者の男は呟いた。
「異常事態なのは間違いない。ロ・ランブルに戻ってこの件を報告するべきだ」
一人の男がそう言った。
他の面子も、納得したように頭を縦に振った。
「セリさん、どうしましょうか?」
そう耳元でセリに呟いたのは、フィリアだ。
「このまま、ロ・ランブルに戻ったとして、ギレア公国方面の馬車は暫く運休になると思います」
確かにそうだろう。
町一つを飲み込むほどのアンデットの大量発生だ。
それどころか、その近隣地域の往来が制限される可能性がある。
ロ・ランブルまで引き返したとして、最悪徒歩で向かうことになるかもしれない。
それならば、ここから歩いて行ったほうがかなり近道だ。
「私達は、どうしてもギレアに行きたい。もし戻るなら、ここで馬車を降りる」
その発言を聞いた御者の男は、苦い顔をする。
「帰りの護衛として、お嬢さん方がいると嬉しいんだがな」
「ごめん、それはできない。私はどうでも先に行きたい」
「まぁ、仕方がない」御者はそう言うと、大人しく引き下がった。
だが、一人食いついてきた者がいた。
「な、なぁ、そこをどうにかならないものか? 帰りにまたアンデットに襲撃されたらどうすればいいんだ!?」
食いついてきたのは、先ほどの商人だった。
「そんなの知らない。私にそこまでの責任はない」
「そ、そんな薄情な!!」
商人は、一緒についてくるようにと何度も懇願してきたが、セリとフィリアは無視した。
そこまで付き合う義理は微塵もない。
「商人さん、少ししつこいぜ」
あまりにものしつこさに、御者が商人を引き離す。
それ以降、流石にしつこいことを自覚したのか商人が話しかけてくることはなかった。
それから、特に会話もなく夜はふけていった。




