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襲撃者-6



最初に行動に移したのは、セリだった。




火級ファイアーボール




炎の塊が、デスタに直撃する。




だが、デスタは燃え盛る火炎を切り分けて、無傷で姿を現す。




炎槍ファイアーランス




セリは炎の槍を投擲する。



デスタはそれを短剣で弾き返す。




何度も何度も炎槍を投擲するが、デスタはそれを弾いて距離を詰めてくる。




間合いが迫って来ると、セリはすかさず背後に後退する。




だが、デスタはそれに追従し、一瞬のうちに間合いを詰める。




神盾イージス!」





セリはすかさず、結界を展開してデスタの斬撃を防ぐ。




速い――恐らくスピードだけなら、今まで対峙してきた敵の中で最速だ。





「最高位の結界魔法……神盾イージス、厄介な魔法使うなぁ」




デスタはそう言うと、セリから距離を取る。




「魔斬」



デスタは剣技を放つ。



彼の短剣が一瞬鮮やかに発光する。




デスタの斬撃がもう一度、結界にぶつかる。



今度は鉄壁のはずの結界が、ガラスの様に砕け散る。





結界が砕け散った瞬間に、剣を喉元目掛けて突き刺そうとする。



しかし、デスタはその間合いに鎌を構えて、剣を受け止める。




炎槍ファイアーランス




だが、セリはすかさず炎の槍を投擲する。




だが、デスタは短剣でそれを的確に弾き返す。





強い。




セリの取り込んだ何十、何百という猛者達から習得した動き、魔法、剣技、技術にまともに対抗してきている。



「これはどうだ?」



その瞬間、デスタの持っていた鎌が消えてなくなった。



「剣技――武器転移」




武器転移。




聞いたこともない剣技だ。




「ごほっ……!」



その時だ。



セリは胸の辺りに異物感と熱く焼ける様な感覚が襲いかかる。



それと同時に口から血が溢れてくる。



ストレイルの加護《重複》のおかげで、痛みこそ感じないが、本来は相当な激痛なのだろう。



セリは胸辺りに固い何かがあるのに気づく。




「驚いたか、あんたの心臓を潰したんだ。さっきの鎌があんたの体内に入ってる……人間相手なら確殺入れられる俺のお気に入りだ」




どうやら、さっきの剣技の効果の様だ。



随分と悪辣で悪質な攻撃だ。




「何それ、くだらないっ」




だが、セリには致命傷でも何にでもない。




セリは、自分の胸元に剣を突き刺して、切れ目を作る。



 

「鎌を摘出するのか? 無駄に死期を早めるだけだぞ」




セリはその切れ目に手を突っ込んで、体内に入り込んでいた鎌を取り出す。



一気に血が溢れ出るが、ものの一秒もしないで傷口が完全に塞がった。

 




「傷が一瞬で癒えた!?」





その光景にデスタは驚愕の声を漏らす。



 

「その能力……まさかっ」 




デスタは何か脳内で結びついたのか、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。




「王都での原因不明の壊滅……そして神人ストレイルの行方不明――そうだ、知っている。その傷を一瞬で癒す能力、奴の加護と同じ力だ!」



デスタはストレイルの加護をよく知っていた。



かつて、魔神族の大規模侵攻があった際、彼の活躍ぶりを近くで見ていた。

 



そして、どんな傷も無効化してしまう圧倒的な加護――目の前の少女はそれと全く同じ肉体の修復方法だった。




「お前、神人ストレイルとの間に何があった? もしやっ、まさかっ、そ、そんな事はあってたまるかっ!」



デスタの脳内に、最悪のパターンが思いつくが、その思考を無理やり掻き消す。




「それに、あの糞神人ストレイルと同じ加護だったとしても……再生できないくらいの微塵にしてやるさっ」




デスタはそう言うと、もう片方の手に持っていた短剣が消える。




次の瞬間、セリの腹部から内側から突き破って短剣が姿を見せる。




しかし、ストレイルの加護のおかげで全く痛みを感じない。



相変わらず便利な加護だ。




デスタは、腰辺りに括り付けていた短槍とククリナイフを両手に持つ。




十二重の斬撃(ヴィゲテット)!」




デスタは片方から12の風の刃、両方で24回分の斬撃を繰り出す。




それは一気にセリを襲いかかる。




神盾イージス




セリは結界を展開する。




結界になんども、斬撃が直撃し鋭い金切り音を上げる。



十数撃の斬撃を防いでいた結界だが、段々とヒビが入って来る。




「魔斬!」




だが、ヒビが入り脆くなった箇所をデスタはククリナイフの刺突で粉砕し、そのままの勢いでセリに接近戦を仕掛ける。




セリはその一撃を真正面から剣で受け止める。




「やっぱり強いなぁ、俺と互角くらいか?」




再び距離をとったデスタは、相変わらずの余裕そうな表情で、言い放った。




「武器転移」



デスタは再び先程と同じ剣技を放つ。




だが、今度はデスタの持つククリナイフを除いて、他全ての武器が消えてなくなる。





その時だった。



セリの身体中、あちこちの部位を貫いて無数の武器が付き破って来る。





セリの身体中から溢れ出てくる鮮血――






セリと辺り一体が真っ赤に染め上がる。




恐らく内臓はズタズタだ。



普通の人間なら、生存している可能性はないに等しい。



遠くからセリの姿を見ているならば、その身体から武器が突き出ている様は、ハリネズミみたいに見えるだろう。





永久凍結フロスト・エタニティ




セリの動きが止まったのを確認したデスタは、魔法を発動させる。




その瞬間、セリを中心に真っ白な煙が吹き上がる。




冷気を浴びたそれは瞬く間に固体化し、セリを中心に氷の柱が出来上がる。




「後は粉々に砕け散らしてやる」




デスタは、無力化したセリに歩み寄る。



この氷像と化したセリを跡形もなく砕けさせれば、どんな怪物――そう例え神人でも、生きていられる保証は無いはずだ。




デスタがセリを砕こうと、ククリナイフを掲げた時だった。




セリを包み込む氷が溶けて、水が滴っているのに気づく。




「ば、馬鹿なっ……この氷は絶対に解けないはず!?」




この魔法――永久凍結フロスト・エタニティは、絶対に解ける事ない氷で敵を包み込む大魔法だ。



少なからず、魔力を帯びていない通常の炎では解けることは無いはずだ。



同格以上の火炎系魔法相手にはどうなるか分からないが。





それから数秒すると、氷の隙間から火が噴き上がる。



それと同時に辺り全体の視界を遮る様な、蒸気が包み込む。





辺りの気温が一気に上がる。



恐らく、永久のはずの氷が急速に解けている。





そして、デスタはある事に気づく。




氷像があったはずの場所から、火の柱が吹き上がってた。




「な、なんだとっ!!」




恐らくセリは生きている。


デスタはそう確信すると同時に、久方に恐怖心を感じる。




焼夷インセンディアリィ



そして、燃え盛る炎を掻き分けて姿を現したのは、セリだった。





セリの使った魔法は、元はストレイルが習得していた魔法の一つで、辺り一体を一定時間消えることの無い炎で埋め尽くす魔法だ。



案外、加害範囲の制御が容易で、今回の様な使い方もできる。





「消滅――」




そしてセリが放ったのは、もう一つの加護。



カルディナの消滅の力を、デスタ相手に発動させた。

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