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襲撃者-5



セリは屋敷の奥へと進んでいく。




見かける冒険者達を影を駆使して、殲滅していく。




先程の手練れの男1人を除いて、敵と呼べる様な強さの者はおらず、三流もいいところの連中ばかりだ。




見かける度に、影を伸ばし喰らう――それだけの単純作業を延々と繰り返すだけ。



正直相手にならない。





殺戮を繰り返して、廊下を突き進んでいると、前に男の姿が見える。




全身を包み込む重武装の鎧、大剣を手に握った筋骨隆々の大男で、その体躯は成人男性の倍はある。



見るからに、その辺の雑魚とは訳が違う。




「お前は何者だ?」



男はそう問いかけてくる。




だが、セリはそれに応える義理はない。




セリは一直線に影を伸ばして、男を飲み込もうとする。




「ふんっ」




男はそれを、大剣を払って影を拡散させる。



拡散された影は、鎧の表面や大剣を軽く削る程度で消滅させてしまう。



「う、嘘っ……」



セリは驚きを隠せず、言葉が漏れる。



今までやられた事が無かったので分からなかったが、強い衝撃を加えられると影は無力化されるらしい。



今まで未知の攻撃に対して、大抵の者は避けるという選択肢を取っていたし、そうでなくても並大抵の槍や剣で影を拡散させるのは無理があるだろう。




「見たこともない力だ。少なからず元素魔法ではないな、なんなんだ?」



男は問いかけてくる。



未知の能力に対しても、冷静を保っている――少なからず、一流の冒険者ではある様だ。




だが、その質問には答えない。




石柱ロック・アルク!」




セリが魔法を唱えると、床から石の柱が飛び出し男を襲う。



だが、大剣の一振りでその石柱を粉々に砕いてしまった。



大柄な図体の割には、かなり過敏だ。




炎槍ファイアーランス!!」




立て続けに、燃え盛る炎の槍を投擲するが、男はそれを素手で受け止めて、此方に投げ返してくる。




それはセリの頬を掠め、背後の壁に突き刺さる。




炎の槍は、辺りに火災が広まる前に、槍の形を形成していた魔力が崩壊し、跡形もなく消える。




「俺は、ロッド・ゼラーダ。一級冒険者だ。名前くらい教えてくれてもいいだろ?」



「……セリ」



セリは男の質問にやっと答えた。


言ったのは名前だけだが。




セリは、ロッドと名乗った男に剣を構えて、突撃する。




火球ファイアーボール!」




セリは火炎の塊を放って、ロッドの視界を遮る。



その隙に、首筋辺りに剣を振り下ろす。



「ぐっ!!」


「なっ!?」



だが、その一撃は大剣で防がれてしまう。




「くっそ、タイミング少しでも間違えれば死んでたなっ……こんな強者は久しぶりだ!」



男はにんまりと笑みを浮かべる。




「うおらぁ!」



ロッドは、大剣の横薙ぎを繰り出す。



セリは、バックステップで身体を後ろにそらして回避する。



だが、避けて身体が崩れた瞬間に、ロッドの蹴りがセリの腹部に命中する。




セリは、吹き飛ばされる。



しかし、空中で体勢を持ち直して、立ち上がる。



「ほうっ、受け身も一流だな……こりゃ、参ったな」




やはりロッドは嬉しそうな表情を浮かべている。



戦闘狂の類なのだろうか、気持ち悪い。




面倒だ。一気に終わらせよう。




「なら、これはどうだ、風斬ウインド・スラッシュ!!」



ロッドの大剣から、風の衝撃波が繰り出される。



それは、辺りの窓ガラスの全てが粉々に砕け散る、それと同時に一体吹き飛んだ。



壁の薄い部位や扉は、完全に消え去り、一部の分厚い壁も崩壊。



廊下だったそこは広い空間に生まれ変わった。




外壁も衝撃で一部分が損傷し、外と繋がった開放的な場所へと変わり果てる。




神盾イージス



だが当のセリは、最高位の結界魔法を使用し、無傷だった。




「な、なんと、しぶとっいっ……」





無傷だったセリに、少々驚きながらも次の行動に移そうとしたロッドだったが――





その瞬間、ロッドの意識が急に薄れていくのを感じる。




自分の腹部に視線を向けると、何やらどす黒い煙が身体の中に入って行っている。




魂喰ソウルイート……」




セリが使ったのは、ストレイルが使用しようとしていた即死魔法だ。



相手の魂を貪り喰らう呪煙を発生させる凶悪な魔法だ。




「な、なんという猛者っ……」




ロッドはそう言い残し、床に倒れ伏せる。



数秒の間を置いて、彼の目から正気が消えてなくなった。




セリは、すかさずロッドの死体を影で取り込む。




彼の力は有効活用できそうだ。





「思ったより強いじゃん……」





その時だ。



背後から声が聞こえる。




振り向くと、そこにはデスタの姿があった。




「このロッド、一応は俺のチームでも、五本指に入る実力者だ……まぁ、もう1人は君が殺してしまった見たいだし、残りの三人は遠くに出払ってるし」




デスタはそう言うと、武器を構える。



片手には短剣、もう片方なら鎌を持っている。




それ以外にもデスタの衣服には、無数の凶器がぶら下げられていた。




「君に勝てそうな奴は、ここにもう俺しか居ない――てかさっ、ここまで暴れ回ったんだ……死ぬしかないな」




男はそう言うと、一気に無表情になり、戦闘用の顔つきになる。




「それはこっちのセリフ。フィリアを返して……後は死んで」




セリとデスタはお互いに武器を構えて、対峙する。

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