冒険者になる
リアが冒険者登録を行なっている空き時間中、セリとリッタは、談話室で待機していた。
だが、そこに会話らしい会話は無く、しばらくの間、静寂が漂っていた。
「あ、あの……せ、セリお嬢様、何かお飲み物はいりますか?」
その静寂を破ったのは、リッタだ。
「んっ、飲みたい、お願いしてもいい?」
「はい、勿論です!」
リッタは、部屋の隅に置かれているポットから二つのカップにハーブティーを入れて、セリと自分の前に置く。
このハーブティーは作り置きのもので、原材料は近隣で取れた花や薬草だ。
「美味しい」
セリはそう一言だけ呟き、ほっとした表情を浮かべる。
リッタは今一度、彼女の身体に視線を向ける。
セリは歳の割には小柄で、かなり痩せ細っている。
全身を覆う様な黒衣を纏っているため、分からないが、身体の下の傷を酷いものなのだろう。
「このあとは、どうするおつもりなのですか?」
「ギレア公国に向かうつもり、でも暫くはロ・ランブルにとどまる」
「ギレア公国……エルト・ギレアですか?」
「そう、次はあいつ」
エルトは、カルディナが魔人族と共謀し、ギレア公国及び周辺国の村で起きた大規模行方不明事件に関与したと風潮しているそうだ。
その後押しもあって、死後ですらカルディナは貶し続けられている。
「やめるつもりはないのですよね」
「申し訳ないけど、そのつもりはない」
セリの今やっていることは、カルディナ本人もきっと望んでいる事ではのかもしれない。
それでも、とまるつもりない。そうでもしなければ、前にも後にも進めない。
「そうですよね……すみません、何度もしつこく聞いてしまい」
「気にしてないから大丈夫、むしろ気にかけてくれて嬉しい」
この世界に自分のことを、考えて心配してくれる人がまだ残っていた――それだけで充分に嬉しかった。
その時だった。
「登録の方、終わったよ」
そう言って扉を開けて入ってきたのは、リアだ。
リアは手に持っていた銅製の小さく薄い板をリアに渡す。
「これが、俗に言うギルドカードってやつね」
その板には、セリの名前と六級冒険者と言う文字が刻まれていた。
「一応、大抵のギルドでは通用するけど、一部の辺境とかでは使えない場合もあるから、そこだけ注意してね、あと……セリちゃんの場合は、二級以上の実力はあるんだろうけど、決まりだから六級からのスタートになってる……まぁ、そこは悪いけど、ごめんなさいね」
セリはリアからギルドカードの説明を一通り受ける。
「後は、依頼はそれぞれの階級以下のものしか受けられないの、だからセリちゃんにはどれも簡単なものばかりかな……」
「ありがとう、助かる」
セリはギルドカードを懐にしまう。
「そういえば、お嬢様は泊まる場所は決まっているのですか?」
「うん、近くの宿にとりあえず三日は泊まるけど、それがどうしたの?」
「いえ、もしないのなら私の部屋はどうかなって……思っただけです」
リッタの曰く、ギルドの2階の空き部屋を借りてそこに住んでいるそうだ。
「じゃあ、三日後に泊まりに行ってもいい? あっ、もう一人いるんだけど大丈夫?」
「えぇ、勿論です。是非きてください」
リッタと約束を交わした後、セリはフィリアがいる宿はと戻った。




