港区-23
「あ~あ。クビになっちゃった」
燐は暇そうに回転椅子をクルクル回転させる。
「もうっ! 何、吞気な事言っているの?」
そう窘める明野巡査。明野巡査も何故か、巻き添えを喰らってクビになってしまった。
「吞気? それは、未だに連絡を寄越さないあのバカ探偵でしょ。どこで何してるのやら・・・・・・・」
確かに遊原巡査と共に行動するってことになってから、定期連絡はない。
「電話してみよ」
遊原巡査に電話を掛けてみる。
“お掛けになった電話は只今、出られません。ピィ~っという発信音の後にメッセージをどうぞ”
アナウンスが流れるだけであった。
「出ない」
「アレだね。あいつの悪いところが遊原君にも移ったんだ」
「そうなのかなぁ~」
そんな二人の会話を聞きながら、雑誌に目を通しているのは佐藤田警部補その人であった。
「おい、おっさん。何、してんの?」
「ラモちゃん・・・・・・・」
「うん? ご覧の通り、雑誌読んでるよ」
佐藤田警部補は燐の「おっさん」発言に動じず、吞気に返事をする。
「班長ぉ~」
「良いの。良いの。それより、これ見て」
佐藤田警部補は女子二人に自分が読んでいた雑誌を見せる。
そこには、今宮茉由のスキャンダル記事が書かれていた。
「これって」
「そう。殺された彼女のスキャンダル記事」
「それが何よ」
「うん。ここの写真見て」
佐藤田警部補はピースで映る今宮茉由の後ろを指さす。
「ピンボケしてますね」
「そうなんだけどね。明野、よく見て。見たことある人居ない?」
「え?」女子二人顔をくっつけて記事の写真を凝視する。
「あ!」
最初に反応したのは明野巡査であった。
「気づいた?」
「はいっ!!」
「え? 何々?」
「分からない?」
「うん」
「溝屋だよ」
「えぇ~」
確かに言われたらそう見えるが、でも確証を得られない。
「証拠は?」
「うん」
燐に聞かれた佐藤田警部補はA4封筒を手渡す。
中にはモザイク処理の施されていない写真が数枚入っていた。
「あ、本当だ。溝屋だ」
「で、ここからが大事なんだがスクープはもう一つあったらしくてね」
「なんですか?」
「うん。彼女とホテルに消える溝屋の姿を収めた写真があったらしいんだ」
「あった。らしいって、意味湧かないんだけど」
「それを追っていた記者ね。大怪我しちゃったの」
「つまり」
「そう、お前さん達を襲った時と同じじゃないかな」
「田沼ですか?」
そう言う明野巡査にコクリと頷いて見せる佐藤田警部補。
「犯人は捕まっとらんらしい」
「被害者の記者さんは?」
「昏睡状態だって」
「ラモちゃん」
「泉ちゃん」
互いの名前を呼び合い、自分たちのすることが見えた二人は東京拘置所へと向かった。




