蒼伊牧本線 中央州 の2
蒼明駅 蒼伊牧本線ホーム
蒼伊牧本線は、いくつもの路線を吸収し、路線変更を々、延伸を繰り返してきた路線である。
そして、単一路線としては神応鉄道の中で最も長い路線である。
神応鉄道黎明期に路線建設を支えた大河龍伏川の関係で途中の東竜地区までは同一惑星状であるが、そこを過ぎると、一気に駅間距離が伸び長いところになると30MPc(およそ1億光年)というとてつもない距離をわたる。(まあ、次元境界面間空間を利用した空間短絡によって、通過自体は短時間で済むが。)
また、時間あたり600本が行き交う、超過密路線である。これまでと異なり、始発から終点に至るまで、全線が複々線で構成され、LTRの技術を元に開発を担っていた南蒼総合車両センターが開発した車両は1編成あたりおよそ2万人を一度に輸送する。
現在、この路線を幹とする路線群で運行される車両の開発は、細白の開発センターに引き継がれたが、製造は未だ南蒼で行われている。
蒼伊牧本線の西側拠点がこの蒼明駅である。神応鉄道の最中枢駅であるこの駅には蒼明鉄道管理総局が置かれ、数多の路線管制を担っている。
「こうしてみると圧巻だなぁ。」
相模が、左右を見渡しつぶやく。
単一路線用としては二人が乗ってきた国際恒星間鉄道を除けば最大勢力となりホーム群に止まる列車を一望し感心しているのだ。
しばらくして列車は動き出す。
『次は蘆乃台、蘆乃台です。璃深本線璃深・青葉方面、蒼春線外回り環状臨空方面、大学線、信蒼麒線と、蒼蘆軌道線はお乗り換えです。蘆乃台を出ますと次は環状臨空です。途中神楽岡は通過いたします。神楽岡をご利用のお客様は6番線に停まります後続の快速をご利用ください。2番線到着お出口は右側です。』
蘆乃台地区は読んで字のごとく台地であり、地名はこの台地に建物が蘆のごとく林立している様を言ったものらしい。
蒼明駅周辺と南東の杉下地区と並び高層ビルが建ち並ぶオフィス街である。
現在の蘆乃台駅は一度名前が変わりまた元に戻った事がある。
蒼明にある2つの環状線のうち西側の大学線における隣の現西蘆乃台元町駅が開業当初蘆乃台駅を名乗り、今の蘆乃台駅は元蘆乃台を名乗った。その後駅名変更と蒼明区内の住所整理に寄って現在に至る。
『本日は神応鉄道をご利用くださいまして誠にありがとうございます。
この列車は蒼伊牧本線急行快速日向原行きです。
列車は前から1号車、2号車の順番に一番後ろが16号車の16両編成で運転いたします。
4号車より9号車の2階建て車両は、特等車です。ご利用には乗車券の他、特等着席指定券が必要になります。
途中駅と、主な駅の到着時刻をご案内いたします。次は環状臨空に停まります。
環状臨空を出ますと、
途中、皐蒼明国際宇宙港、春日台、神応総合運動公園、神応、千黎高原、東神、巫、川端市、浜坂、南伏、龍伏、富士吉、東龍、
熊床、泉ヶ縁、知御禰、志賀寺、牧丘、
新命遺跡、古代ヶ丘、希望ヶ湖、大和端、御魂ヶ原、奥御魂ヶ原、
宇治原、伊勢原、西海、牧浪、伊勢、小群、川西、相馬、行方、糸満、大和、宇部、九代、吉川、先橋、小平、江井、終点日向原に停まります。
途中南伏-時-分、富士吉-時-分、東龍-時-分、牧丘は日付が変わりまして-時-分、御魂ヶ原-時-分、伊勢ノ原-時-分の到着。
日を改めまして牧浪-時-分、伊勢-時-分、大和-時-分、終点日向原には蒼明標準時であさっての-時-分現地時間大和標準時-月-日-時-分の到着です。
日付をまたいでの運行となるため、各席は寝台設備を設けております、ご自由にお使いください。
運転士は蒼明鉄道管理総局春日台運輸区所属―。
車掌は富士吉鉄道管理総局東龍運輸区所属―です。途中の御魂ヶ原までご案内いたします。
まもなく環状臨空。環状臨空です。御平線と蒼春線臨港公園方面はお乗り換えです。
環状臨空を出ますと次は皐蒼明国際宇宙港に停まります。途中の西臨空には停まりません。東西臨空連絡鉄道線をご利用のお客様は環状臨空にて後続の快速をご利用ください。』
通行量の多い歩道がすぐそばに併走するほか、開業時からの事情が絡み、そこに、神楽岡駅付近での制限が絡んで、制限速度が50kmとなっているこの区間は、蒼明大社を出た下りの上位3種別(快速特急、特急、急行快速の三つ)では停車駅などの案内が行われている。
この案内は後、東龍、御魂ヶ原、伊勢を出たときにも行われる。
「なんかすごいなここ。」
「この蒼明区内は神鉄内でも最過密区間の一つだからなあ。あい。環状臨空から伸びる御平線です。」
あ、そうそう。上に出てきた駅名の内いくつかはすっ飛ばす予定である。特に中盤。
理由として、東龍と西海のあいだは一部を除いて設定希薄なので。
「この後通過する西臨空はかつて蒼明港が置かれ、現在も東西臨空連絡鉄道線との連絡駅になっているから、一番本数が多い普通と快速は止まる。」
[この路線一日何本通ってるんですか。]
「ん?800往復弱。星間鉄道として800は少なか。君ら乗ってきたん、一日あたり貨客併せて5500往復が運行されてるんやけん。」
この神子の言葉に驚いたのは海野。
「ちょ、ちょっと待ってください。あの列車って確かとてつもなく長いですよね。」
「一般編成が800両。優等編成は1000両。どちらも一両あたり45m級やね。んなもんで、最長で45.2km。だけん、ホームは55km有るよ。」
「40km前後の長さを持つ列車が一日に5000往復って、何秒に一本なんですか。というか始発も終電もないんですか。いったい何時整備してるんですか。」
長いにもほどがある。
「あー…ちょっとまってね。暗算苦手なので。」
電卓で計算したところおよそ16秒に一本だった。たぶん計算方法自体から間違ってる自信だけはある
「まあ、あの路線一般線だけで20複線だから。」
一つの路線のためだけに片側10本も線路を引く会社も大概だが、
「何せSVLは連合からの依頼だったからなあ。王国の勢力圏にひいた路線がものすごい物流の大動脈になっちゃった関係で、背骨のような路線を引いて欲しいって言われて最終的にSVLの延伸拡充になった結果だから。
因みに整備だけど、星間区間は全線2階建てで、一月ごとに階層を入れ替えて使ってる。地上区間は、水平展開だね。お?!」
[うお。暗くなった。]
「あー空港島に入るトンネルだねえ。」
話に夢中になりトンネルに入ったことに気づかなかった様子。
やがて、列車の速度が遅くなり、アナウンスが入る。
皐蒼明国際宇宙港
紅蒼大州と呼ばれているこの地域の宙の玄関。
そして、二つあるこの星の空の玄関である。
大型星間航行航空機(以下航宙機と呼称する。)も着陸できる規模を持ち、蒼明駅には及ばないものの大混雑している。
その空港駅で、3人はこの路線最初の途中下車をしたが、目的は、駅弁の空港版である、空弁である。
そもそも、この列車は、この駅で30分ほど停車する。接続予定の航空便が遅れた場合の乗客乗り換えロスを最低限にするためだ。
神応鉄道側もこのダイヤ上で乗客が空弁を求めるであろう事を見越し、西臨空駅以西から、東神駅以東への乗車区間となる乗車券では、30分以内ならこの駅の改札を出て、また入るということを許容している。
春日台駅に列車が滑り込む。
この蒼明という街における東側の拠点駅。日本でたとえるなら、蒼明は東京駅。春日台は新宿駅に相当するだろう。(乗降客数で言えば逆だが。)
[ここも璃蒼麒駅のような感じなんだな。]
「璃蒼麒と言うよりは、シンプルな構造にした波香居滝だね。璃蒼麒は路線の接続で見ると丁字形だけど、この駅も波香居滝も十字型だから。」
だからなんだという話である。
[しかしでかい駅だなあ。]
神応鉄道では、各管理局が各路線ごとに走行する階層を定めている関係で、高度的に大きな駅になることがある。
蒼明駅や、この春日台駅、波香居滝駅がその例だろう。
列車は、蒼明から隣の町へ入る。入ってすぐにある大きな運動公園へいくことにした3人。
神応総合運動公園
それがこの公園の名前。
[神子さんが。本気で走ったら100mどれくらいなんですか?]
「計測不可。」
[え?]
神子さん曰く、神子さんが属する種族は自力で超光速で移動可能なので、100m程度じゃストップウォッチが意味をなさないらしい。
じゃあ、実際にどれくらいかと言えば、ここ最近本気で移動したことも、それを計測したこともないので分からないらしい。
因みに、打ちっ放しのバッティングでは、
「あ。」
「どうしました?」
「やっべ。星一個つぶしたか?」
どうやら、あまりに能力すごすぎで、本気禁止になってる可能性あり。
ほどよく驚き体を動かしたおかげで、座席サービスの飲み物がおいしい。
列車が、環状線と合流すると見えてくるのが、神応駅
大きな街なのだが、神子さん曰くあんまり見る物無いとのことで、また停車時間も2分だしねぇということで列車は走り出した。列車は、環状線と別れ、街の東に見えていた山へと向かう。
どこぞの高名な唱歌にも有るが、トンネルに入れば窓の外は夜と見まごうほどの暗闇となる。一瞬、先ほど通っていた街を見渡す橋を通るが、すぐにまたトンネルに入ってしまう。
『まもなく、千黎高原。千黎高原です。千河線はお乗り換えです。また、この列車は千黎高原を出ますと、東神駅まで停まりません。途中駅で接続する路線をご利用のお客様は、お手数ですが、千黎高原で次の普通列車をご利用ください。』
「いや。降りないよ?!というか、階段上るの面倒だし、この先急行快速限定のお弁当があるのにその前に乗り換えなんてできんわ。」
[おべんとう。]
千黎高原を出るとトンネルを抜ける。
遠くにうっすらと高層建造物がたくさん見える。
「これがそのお弁当ですね。すごい。これが乗車券料金でいただけるなら、人気なのも頷けますね。」
窓の外では何本もの線路と合流したところだった。
東神という街は鉄道によって、南北に分断された街であり、住民も、それを当然としている。
「ここはこの町周辺の鉄道を管制している、管理局が置かれている、神鉄の支社が置かれているんよ。
あと、この後とある発電所の敷地をぶち抜く関係で、車両の電磁シールドを強化する回路を確認するためにちょっと長めに停車。ん?あ、そっか。そやね。」
誰かと会話している様子の神子さん。
「おおぅ。」
「マスターコーウェリアのお手伝いをしております、プライマリ・アシスタントインターフェースのリクヌアです。よろしくお願いします。」
「あれ?リンさん何してるんですか?」
「リクヌアです。姉は執務中です。神子姉様も説明しておいてください。」
海野は神子さんの妹であるリンさんと面識がある。
「だって…まあ、理由ばなかね。」
「まあいいですが。先ほどの姉の話について補足と言いますか私との会話で途切れてしまいましたので。
改めて説明しますと、今我々が乗っている蒼伊牧本線急行快速は同路線の急行線を走行します。東神駅を出ますとこの急行線は北に少しずれます。
姉が話していた、とある発電所の敷地を通過しているのは、緩行線です。
緩行線は東神駅を出ますと南に向きを変え、龍伏川という川にぶつかると、川に沿って、走ります。この川は水深と川幅があるため水圧発電が行われており、その発電所の敷地を通過しているわけです。」
この路線ではどうやら、このリアさんが解説役のようだ。
「はっきり言って、この街の高層ビル群厚さと長さが蒼明周辺にある自治体の中では一番だからなあ。」
東神の隣町にある巫神社は、現在巫駅の北神社口が直結している。
「始発駅に似ていますね。」
[あっちは独立していただろ。こっちは、神社直結だ。改札出たらすぐに鳥居が見えるのは面白いな。]
「出たんですか?」
[ガイドブックに載ってるぞ。お弁当おいしかった。]
満腹になり、ふっかふかの椅子。眠くなった様子の相模と海野。
神子さんに促され少し眠ることに。
ガンッ!
3重窓になり、室内との段差が無くされたなめらかな窓を枕にした状態の相模に衝撃が襲いかかる。
車内から見えた駅名標には、
「今は浜坂ですね。浜坂には全ての旅客列車が停車します。この先、南伏で進行方向が変わります。先ほどの衝撃は、貨物列車が横を通過した衝撃です。」




