璃深本線 中央州 の2
翌日、朝7時 藤原温泉駅前のホテルにて
「おはよう。」
「おはようございます。って、髪ぼさぼさじゃないですか、朝飯前に髪だけでもとかしましょう。入ってください。」
「ん。」
ホテルの廊下でこんなやりとり。
「おはようございます。ここの温泉はいかがでしたか。」
「良い湯だった。チェックインの時に身分証出せって言われてなんでか気になってたけど、サービスの月見酒見て、これかってなったね。未成年には果汁飲料。10歳以下には牛乳というにくいサービスじゃないか。嫌いじゃないよ。」
朝ご飯を食べた後、ホテルをチェックアウト。
「駅前でこんな高級ホテルがぽんぽんあるって言うのもすごいな。」
「……それ全部温泉饅頭ですか。」
「電車の中で食べるそうです。璃蒼麒駅までの。」
「璃蒼麒駅からにしてください。璃蒼麒まで15分ほどですから。」
3人が乗り込むのを待っていたかのように列車は駅を出る。
璃蒼麒駅で二階にある璃深本線のホームに上がる。
「何というか、地平線まで続くホームを見ているとむなしくなるな。」
「何を馬鹿言っていますか。」
「えーっと。あ?あ。ああ。ああ?!」
「高松さん壊れた?」
時刻表と、なにやらタブレットとを見比べ驚く高松。
「これ、佐伯発の始発電車です。」
ホームに入ってきた電車をさして言う高松。
「どうでもいい。」
確かに一般にはどうでも良い。
相変わらず4号車か5号車に乗り込む3人
「璃蒼麒市は、璃蒼麒工業地域として発展しています。我が神応HDや、波香居滝地区で見た浅原電鉄率いるせんでんグループが使う鉄道部材などもここ璃蒼麒工業地域で多数作成されています。
LSNHDの協力もあって排気の無害化100%を達成しています。立ち上る煙はほぼ全てが、ただの湯気です。」
工業地帯を抜けると、大きな湊が見えてきた。
「港の規模の割にでっかい船が少ねえな。しかも大きくてもありゃ数千トンクラスか。」
若干の機械オタクが入っている女性旅人。遠目に見て、船の大きさに見当をつける。
「…貨物港でもないし、旅客ターミナルなんかも見えないな。ありゃ漁港か軍港か?」
「我が日本連邦帝国海軍は基本蒼藍星間連邦王国宙軍の下部組織ですし、運用されているのは全て航宙艦ですから、海上港じゃなくて陸港がメインですね。あと、この星にある軍港は蒼明の南にある、赤崎市ですね。
あれはこの星最大の漁港、大間港です。ほとんどが。今見えている海、紅聖湾で操業しているので大きくても数百トンクラスです。一部璃深海峡を抜けて双画海に出るため外海にも耐えられるよう数千トンクラスです。」
その大間港は水揚げこそこの星最大だが、この国最大ではない。
そんな漁業の街を横目に列車は摩天楼並ぶ都会に入る。
「神応鉄道に2つ有る「本社」のうち西側を管轄する、璃深本社を擁する璃深市です。」
ホームにおり、何気なしに列車の行く先を見て固まる2人。
「何。あの鉄塔にまとわりついてる線路。それになんでやたらと通過列車が有るの。確かここ、全列車停車って高松言ってたよね。」
「あれは双神線です。この駅の北にあるあの大きなループ線で方向転換をして璃禊運河の上を走るルートを取るのですがその際にああいう形でこの駅を通過するように見えるのです。」
璃深駅を出るとすぐに海を渡る。
対岸に着く前に、
「なんっっっっちゅう低さで飛ぶんじゃあの飛行機。」
少しでも高度選択を間違えば、列車と接触して大惨事という高さで着陸コースを取る飛行機と交差する。
「璃深飛行場へようこそ。」
この惑星の西半球をカバーする星内線のハブ空港として機能している璃深飛行場は、着陸時のコースがきわどいことで人気がある。
この璃深飛行場で一度南下する路線に乗り換える。
後の話で扱うこの鉄道会社が蒼明と並び2大重要拠点として捉える麒冥へと直通する、左内線と呼ばれる路線にのって2駅。
「これまたでっかい運河だなぁ。」
璃禊島と呼ばれる島によって、南へと入る海は二つの海峡に分かたれる。それをつなぐ道として、禊火地域開発時に運河が穿たれ、璃禊運河と名付けられた。
この島を境に自治体が変わる。
隣の禊火方面へと高速新幹線は向かう。他にも禊火方面へ向かい西部へ直通する路線はある。
「なんで運河の上を通そうとしたんだか。」
「山から一本鉄骨通してしまえばそれが支柱代わりになりますから。というのが敷設担当の回答でした。まあ、財務担当と運行担当、企画担当、保守担当が良いというなら我々管理担当はもっと専門的に厳しく見てくれるところに委託するしかないんです。」
「結果は?」
「親会社経由でその同盟企業体に依頼したら、興奮しっぱなしで。
でもって、その結果の報告書はA4用紙50枚ですよ。1枚ずつびっしり書いてあったので読み切るのに時間がかかりました。
読み終わったあと3日ほど寝込んでました。」
高松の愚痴を聞きながら璃深飛行場行きの列車を待つ旅人。
璃深飛行場を出て2時間が経っていた。
「ちんまい島だな。」
「ここは、この入江町交通局が主に路線を構築しています。」
入り江島を貫くようにおかれた、入り江島中央縦貫線と、それに並行して走る璃深本線。
入江町の南にある工業団地と入り江島本島との連絡のみ神応鉄道が行っているが、それ以外は入江島内には2つしか駅を置いていない。
入江町の中心街にある入江駅と、旧璃青航路の船が停泊していた入江港への連絡線が接続する入江崎だけ。
「というか、佐伯に往くときは、寝てる間だったので、気がつきませんでしたけど、別の星なんですね。」
「ここは北部州西部南端に位置する星です。北部州は、東部と中部を北方統括本部が。西部はこの路線の終点にある第三方面管区統括本部が、それぞれ開発を主導しています。資金力については北方の方が大きいですけどね。」
「第三方面管区統括本部って名前はいろいろ動いているんですね。」
「そうですね。最初の第三方面管区統括本部は現在の東方統括本部に名付けられました。
当時は現在の牧丘に東方統括本部がありましたけど、今考えても都市規模が統括本部を置いておくほどの大きさ無かったですね。
その後、佐伯の更に南方の開発を主導するために南方の更に南の地域に着けられることが計画されるもそこは、佐伯に任せることとして、当時双画地域本部と呼ばれていた、現在の場所に移転し、改組した訳なんですが、当時の双画地域本部スタッフが全員役職も、地位も一つか二つ上がって、東方統括本部に異動ってなったときは呆れましたね。
最終的には蒼明に異動ですから。この会社がしたいことが分からないです。」




