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【一章完結】一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第77話 腹を割って話そう②

「このことは本人に言わないで欲しいの」

「なんで?」


「……今の彼女はとても不安定な状態なの。例えるならそうね……水蒸気爆発は分かる?」

「うん。めちゃくちゃ熱い物質と水が反応して一気に蒸発して爆発するっていう……」

 この世界でも水蒸気爆発が知られてるんだ。ちょっと驚き。


「ウィンリー様は今、記憶を失っている状態――これを高温の物質と例えるわね。今、ここにその忘れた記憶を伝えることは、その高温の物質に水を注ぐようなものよ」

「なるほど……それで爆発が起こると」

「あくまで例え話よ。おそらく、起こるのは爆発ではなく暴走……または自我の崩壊かしら?」

「……」

 絶対にこれを引き起こしちゃダメだ。

「言うまでもないけれど、ウィンリー様は強いわよ。私でさえ止めるのが難しいくらい」

「うん、絶対にそれだけは防ごうね」

「えぇ。でもどうにかして自然に記憶を思い出させたいんだけどね……」


 そうだよね……シーちゃんだって、やっと会えたんだから思い出話とかいろいろしたいよね。ちゃんと、大好きだった本人とお話したいよね……。


「よっし、今後はそれを目標にしよう‼」

「え……?」

「自然に記憶を思い出させるんだよ‼」

「危険かもしれないよ? それに、ウィンリー様は人類を憎んでるかもしれないのよ……? もし自らの意思で暴れ出したら……」

「その時は私達で止めればいいじゃん‼ とにかく、シーちゃんはウィンリーに会いたいんでしょ? ならやってみようよ!」

「パープちゃん……ありがとう」


 シーちゃんはふにゃりと笑う。

 ああ可愛い。この笑顔を見れるんだったら世界さえ敵にまわしたって構わないよ。


「えっとね、一つ言わなきゃいけないことがあるの……」

「な、なに?」

 急に雰囲気が変わった。あんなにふにゃふにゃの笑顔を浮かべてたのに、一変してなんか……シーちゃんがすっごい怖い顔してるんだけども……?


「さっきウィンリーっつったわよね? いいかしら? 様をつけなさい、様を。でないと……たとえパープちゃん相手でも私……何をしでかすか分からないわ……」

「――っっっ⁉」


 とんでもない殺気‼

 そ、それに……シーちゃんからとんでもない量の魔力が溢れ出して……‼ やばいやばい、宿が壊れちゃうっミシミシ言ってる‼

 あと、なーんか背後に黒いドロドロした液体が浮いてるんだけど……これ何? まさか闇魔法? 怖い怖い、このままじゃ本当に殺されそう!


「はいっ‼ これからはウィンリー様とお呼びさせていただきますっ‼‼」

「よろしい」


 空気がフッと軽くなる。た、助かったぁ……。さっきの黒いドロドロもいつの間にか消えている。

 あ、あはは……幻覚だったら良かったのに。本当に失禁してしまうところだった。多分これ、何度か夢に出てきて飛び起きるやつだわ。

 よし、これからはウィンリー様を呼ぶときは気をつけよう。本当に、対応を見誤ったら死ぬからね。



「あぁ~勿体ないっ‼ シーったら、こんなに魔力を放出するならぼきゅにくれたっていいじゃんかっ!」

「……はえ?」


 め、メンダコが喋ったぁ⁉


「んもう、クーちゃんったら……いつも私の魔力をたくさん食べてるからいいじゃないの」

「よきゅないっ!」


 い、いつもシーちゃんの頭に乗ってる謎のピンク色の生物……。まさか喋って空飛べるなんて聞いてない‼ 私だけ会話置いてけぼりなんですけど⁉


「あ、あの~この子は一体……」

「あぁ、紹介するわ。この子はクーちゃん。吸魔(ドレイン)という魔力を主食としている魔物の種族なんだけど、この子は突然変異で無限に魔力を吸うことが出来るの」

「エッヘン、ぼきゅは凄いのだ‼」


 吸魔(ドレイン)……聞いたことある。触れただけで魔力を一瞬で吸い取られちゃうから、魔法使いの天敵とされている魔物。

 そんなデメリットしか運んでこない魔物をどうして頭になんか乗っけてるんだ?


「私はね、長く生きすぎちゃったの。魔力が跳ね上がって、自力で制御出来ないくらいね……。だから、クーちゃんに魔力を食べてもらうことで、魔力量をセーブしてるの」

 なるほどね……。たしかに、シーちゃんの小さい体に膨大な魔力をずっと留めてたら破裂しちゃいそうだし。


「それに、魔力が少ない方が身軽だし息がしやすいのよ」


 そ、そうなんだ。魔力が多すぎて息苦しいなんて思ったことないから分かんないや。


「驚かせちゃうからいつもは被り物のふりをしてもらってるんだけどね」

「そうだっ‼ シーの闇魔法で被り物に擬態してるのだ!」


 ん……? いやいや、普通にメンダコの見た目してて異物感満載だったぞ? 美少女の頭になぜか別世界から来たメンダコみたいな生物が居て。


「ま、たま~に、お前みたいに闇魔法を看破してくる奴もいるけどねぇ~」


 クーちゃんがジロリと睨みながら言う。

 あ、なるほど。私がその看破しちゃった奴なのね。無意識だったんだが……なんかごめんね。



「じゃあ、これから3人でウィンリー様を守っていこうね‼」

「「おーっ‼」」

 なぜメンダコを頭に乗せるという発想が出てきたんだか……

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