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【一章完結】一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第74話 雪の精霊の秘密

「じゃあ改めて、『精霊叙事録』ついてなんだけど、雪の精霊の章は4989ページからね」


 す、すごい厚さの本だ……いや、これは本とは言ってはいけないんじゃないか? さすがに厚すぎる。

 こんなに厚いんだから何巻かに分ければいいのに……。


「――!! 似てる……」


 本には雪の精霊の姿絵が描かれていた。

 ウィンと顔が同じだ……。どの代の雪の精霊も、まったく同じ顔をしている。でも、表情が今のウィンとは全然違う。氷のように冷たくて……全てを諦めているような……そんな表情をしている。

 どうして……?


「強い魂であればあるほど、肉体は魂の形にひっぱられて姿が本来のものと変わることがあるんです。雪の精霊はその良い例でしょう」

 ラズリもそう言ってるし、やっぱりウィンは転生者なんだ……。


「お願いラズリ、雪の精霊について……知っていること全て教えて!!」

「……あまり会えないけれど、僕とウィンリー、そしてリバーは友達でした。セキュリティーが厳しいのに、何度も突破して僕に会いに来てくれた。そして冒険の話などを毎回してくれました。僕は外に出れないから、それがとても嬉しかった」

 ラズリは静かに、語りだした。


「…………最後に会ったのは400年前でした。いつもより表情が明るくて、心を許せる仲間ができたと言っていました。雪の精霊は強大な力故に人々から避けられ続けて、酷い目に合うことも多々あったため、当時の僕はそのことを純粋に喜んでしまいました。でも……」


 不穏な空気が流れる。

 少しの間があってからラズリは再び話し始めた。


「その人たちはウィンリーを裏切り、魔族の神に売った……!! 村を助けてもらったくせに、自分が苦しくなったら恩人を平気で売る!! 僕がここから出られたならこの手で殺してやったのに……っ!!」

「……」

「あの人は一見冷酷に見えるけれど……本当に優しくて、静かに皆を輝き照らしてくれる……まるで月のような人でした。孤独だった僕に寄り添ってくれた……それなのにっ」

 怒りと悲しみがひしひしと伝わってくる。魔力がラズリの体から放出され、その影響で本棚がミシミシと音を立てる。

 泣いてはいなかった。でも、その瞳には憎悪と深い悲しみが宿っていた。この瞳を……私は何度も見た。シーちゃんとリバー、二人もこんな目をしていた。


「ウィンリーは魔界の炎で焼かれて死んだ。きっとその影響で400年も転生出来なかったんだと思います。それに……転生してから10年以上が経ってもここに来ないことなんてなかった。もしかしてウィンリーは……」

「うん、記憶を失っているのだと思う。今の雪の精霊は何というか……凄く弱いし、名前もウィンリーじゃなくてウィンっていうの」

「そんな……」


 やっぱりここに来て正解だった。

 雪の精霊は記憶を持ったまま転生するっていう噂は本当だったんだ。そして……あのシーちゃんのウィンに対する態度。やっと確信できた。

 前世でシーちゃんはウィンとかなり親しい関係だったんだろうな。

 だからあんなに悲しそうな目でウィンを見るんだ。だから……一(・)度(・)も(・)ウ(・)ィ(・)ン(・)と(・)呼(・)ん(・)だ(・)こ(・)と(・)が(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)ん(・)だ(・)。

 ラズリの話を聞いていれば分かった。ウィンリーとウィンは、姿は同じでも性格が違いすぎる。ウィンリーは冷酷に見えても静かに皆を笑顔にするような人。ウィンは底なしの元気で皆を笑顔にするような人。

 同じ魂なのに、性格が違い過ぎてシーちゃんはきっと困惑しているんだ。そして、自分のことや思い出を全て忘れてしまっていることが耐えられないほど辛いんだ。


「ウィンリーは毎回、悲惨な最期を迎える……。お願いパープ、今度こそ、ウィンリーが幸せになれるよう助けて!」

「もちろん、そのつもりだよ‼」


 なんとしてでも、ウィンを守る。そして……シーちゃんも。皆私の大切な友達だから、この命に代えても絶対に幸せにしてみせる!


「パープ~、こっちの用事は終わったよ~」

 大量の本棚で姿は見えないけど、すぐ近くからアムールの声が聞こえてくる。

「じゃあまたね、パープ」

「うん、また遊びに来るよ!」

 夏休み、楽しいはずなのに課題あるしやりたいこと多すぎるせいで、何からやればいいか分からん。押し潰れそう。

 楽しくねえよぉぉぉぉぉ!!?

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― 新着の感想 ―
シーちゃんって一度もウィンのこと名前で呼んでなかったんですか?気づかなかった… よして4989ページ…四苦八苦じゃないですか。雪の精霊が可哀想。
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