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【一章完結】一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第1章 金色の悪魔

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第72話 デートのお誘い

「パープちゃん、クッキーが焼けたわよ」

「やった〜」



 ここはシーちゃんが予約していた高級ホテル。

 1週間ほど続いていた三聖武道祭は昨日終わった。そう、終わったのだ。

 私の最終順位気になる?

 知っての通り私は無事に大三賢者となった。昨日は序列を決める戦いをしたんだけど、結果は惨敗。ありゃ〜私が決して戦ってはいけない相手だったね。


 まず最初に序列2位のコヨウっていう人と戦った。銀色に煌めく髪に桃色の瞳。その瞳の瞳孔は……桜の形をしていた。

 この人もステラ王国の王族!?と思ったけど、違うみたい。この人は正真正銘王族ではなく、由緒ある辺境伯家の当主らしい。

 どうやらこの世界には瞳孔の形が特殊な一族が一定数いるみたいだね。コヨウさんの一族もその一つ。勿論ステラ王国の王族もね。

 このコヨウさん、まさに超絶の美女。完成された顔だ。桜の精霊だから優しい人なのかなって思ってたんだけど、全然違かった。ちょー怖いよこの人。

 誰も寄せ付けないような冷たいオーラをバンバン放ってて、表情筋も死んでるね。終始真顔でこの人本当に春を運ぶ精霊か?って思ったよ。これじゃまるで氷の女王って感じ。

 でも、この顔……誰かに似ている気がする。うーむ、思い出せん。


 戦う前に【真実の鑑定】でステータスをみて視たんだけど……




【名前】コヨウ・ブロッサム ♀

【種族】桜の精霊・狐獣人

【年齢】68

【魔力値】600/600

【体力値】400/400

【スキル】

精霊魔法『桜』Lv5 水魔法Lv4 風魔法Lv5 地魔法Lv5 無属性魔法Lv5 体術Lv3 扇術Lv5 憤怒Lv5 隠密Lv2 殺気Lv5 桜獣化Lv5

【ユニークスキル】

なし

【称号】

子を失いし者 殺戮者 蜂の巣卿

【総合戦闘力】2200

【ランク】SSS+




 はっはっは、誰が勝てるかボケ。

 シャルマンなんか比にならないくらいよ!! これで序列2位? じゃあ1位はどんだけ強いんだろう?

 てかこの見た目で68歳? どう見ても20代でしょ……。精霊だから見た目が変わらないんだろうなぁ。


 称号にもある通り、この人の二つ名は“蜂の巣卿“だ。この人と戦った人の全身が蜂の巣になるからそう名付けられたらしい。

 何それ怖すぎ。でもこの人の得物は扇。扇でどうやって蜂の巣にするかって? ふふふ、戦いの中で私に起こったことをありのまま話すとだね……まずコヨウさんが綺麗な所作で扇をふる。そしたらすっごい突風が起こる。で、その突風の中に砂や石やらがたっくさん含まれていると。

 実際受けてみて、凄い痛かった。目をあけてられないし、風が強くて踏ん張ってないと吹っ飛んでしまう。だから防御に徹してしまって攻撃出来ない。向こうは扇を振りながら近接も出来るからもう……勝てるはずがない!!

 これは試合だから石なだけで、実戦だと鉄とか刃物が入ってるんだって。

 おーこわ。こりゃ蜂の巣になるわ。



 次に序列1位のザクロさん。

 漆黒の髪にギラギラと輝く深紅の瞳……そう、とっても妖艶なお姉さんって感じだ。




【名前】ザクロ ♂

【種族】ダンピール

【年齢】134

【魔力値】300/300

【体力値】900/900

【スキル】

深淵魔法Lv5 無属性魔法Lv5 体術Lv10 拳術Lv8 回避Lv5 吸血Lv3 飛行Lv4 暗視Lv5 隠密Lv5 毒耐性Lv5 日光耐性Lv5 殺気Lv5

【ユニークスキル】

なし

【称号】

絶魔の拳姫

【総合戦闘力】2500

【ランク】SSS+




 男だった……。嘘だ、こんなにお姉さんなのに、男だなんて。声だって優しそうなお姉さんなのに……。それに、また年齢詐欺だ……。今度は100歳超え⁉ くそ、長命種めぇ……。


 ザクロさんの二つ名は絶魔の拳姫。圧倒的な力でもって魔法をも破壊することからその名で呼ばれるようになったとか……。

 うっそだぁと思ったよ。だから試合で魔法を思いっきりぶっ放した。そしたら本当に拳一つでかき消しやがった‼ 何度も何度も大規模な魔法を放ったのにまったく効かない。この間、相手は一歩も動いていなかった。

 そしてザクロさんがやっと動いたかと思えば……気づいたら私は空を見てた。いつの間にか地面に転がされてたみたい。力の差がありすぎる。すぐさま諦めて棄権したよ……。

 でもザクロさんったらすっごく優しいんだよ‼ 私に大きな怪我を負わせないよう配慮してくれたし、魔法が効かなかったことに落ち込んでたら「凄い強力な魔法だったわね。砕くのに骨が折れちゃったわ。パープちゃんは十分強いわよ、胸を張りなさい」って言ってくれたの‼ 感動したわ……姉御、一生ついていきやすっ‼



 そして決勝、二人の空気が一気に変わった。

 コヨウさんは最初に【桜獣化】というスキルで精霊の姿から狐獣人の姿へと変化した。コヨウさんは桜の精霊と狐獣人のハーフだからね。あくまでベースは精霊だけど、自由に狐獣人の姿に切り替えられるそうだ。

 獣人は身体能力が高い。ザクロさんには魔法があまり効かないから獣人の姿の方が有利なのだ。それに……【桜獣化】はただ獣人の姿になるスキルじゃない。魔力量、身体能力などのさまざまな能力が跳ね上がるスキルだ。

 コヨウさんは扇と風魔法で突風を作り出し動きを抑制させる。そこに地魔法で作った岩をザクロさんにぶち込むが……ザクロさんは風をものともせず簡単に岩を砕く。

 コヨウさんは近接やら遠距離やらで攻撃するがザクロさんには一切効かない。

 長時間の攻防が続いたが……やはり勝ったのはザクロさんだった。


「またもやお前に負けてしまったか……次は勝つぞ」

「ふふ、いつでもかかってらっしゃい」


 ……な~んか私だけ場違いのような疎外感を感じるんだが。



 とまあ、こんな感じであっさり負けて、序列3位の大三賢者になりました。

 エトワール大武道大会で優勝した時と同様、いろいろな制約が発生してしまったけど……これで私は権力を得た‼ ステラ王国の王族がそう簡単に手出し出来なくなったということ。

 ひとまずは目標を達成したということで安心だね。



「も~パープちゃんったらダラダラしちゃって~」

「だって~」

 おやつ食べた後ってやっぱり眠くなるじゃん? それもシーちゃんの作った超絶美味しいクッキーなんか食べたらさ、満足感でそのまま夢の世界へダイブしたくなるのは必然でしょ。


「あら、パープちゃん宛の手紙が来てるわよ?」

「起きたくない~」

「差出人は……アムール」


 一瞬で目が覚めてシーちゃんから手紙を受け取る。


『パープへ

 もし明日予定が空いていたら一緒に街を見てまわらない? 集合場所は広場の噴水前だよ』


「……」

「パープちゃん、これって――デートのお誘いじゃないかしら⁉」

「そ、そそそそんなことっ! アムールはただの友達だもん」

「いーえ、いい歳した男女のお出かけはデートよ‼」

「えぇ……」


 シーちゃんったら目をキラキラさせちゃって……。なんでシーちゃんが興奮してんのさ。


「こうしちゃいられないっ‼ 準備をしないといけないわね」

「準備?」

「そう、準備‼ 髪型に服装、お化粧……パープちゃんは可愛い系統が似合うかしら? クール系もきっと合うわね……悩ましい」


 そ、そんなに悩むことかな? いつも通りじゃダメなのかな?


「さ、買い物に行くわよ‼」

「今から⁉」

「ええ‼」


 シーちゃんの新たな一面だ……まさか恋愛(?)にこんなに真剣になるなんて。ちょっとこの熱量は……ついていけないかも。

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