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勘違い暗殺者の演出無双 ~暗殺成功率100%。演出が納得いかないので、クライアントからの暗殺締切を延長させてもらいます~  作者: ぶらっくそーど
第二部「幕間劇——あるいは、演出家の物語」

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被告席の芸術家ー[1]


 ()()()()()()



 皮肉なことに——舞台を整えたのは俺ではない。ベッカーだ。


 査問という名目で俺を理事会に引きずり出そうとしたのはベッカーの策略だが、その理事会こそが——ベッカーの罪を暴く最高の舞台になる。


 敵が用意した舞台で、敵を追い詰める。


 こういうのを何と呼ぶんだろう。逆転劇? 皮肉劇? ——いや。


 ()()だ。



「レヴィアン様。準備はよろしいですか」



 ニーカが隣に立っている。王都エテルナの朝。《終幕庁(フィナーレ)》本部の前。重厚な石造りの建物が、朝日で白く光っている。



「ああ。……お前こそ大丈夫か」


「何がですか」


「《終幕庁(フィナーレ)》の理事会だぞ。この組織の最高意思決定機関だ。お前を〝使い捨ての兵器〟として作った組織の——心臓部だ」


「……」


「辛ければ、外で待っていていい」


「辛くありません。……いえ、嘘です。辛いです。でも——()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「……そうか」


 これは芸術的感動——でいいんだろうか。


 もう分からない。分からないが、心臓がドキドキしたのは事実だ。



「全員の配置を確認する」


 俺は通信魔具を起動した。


「フィーネ」


「はいっ! 本部の正面広場にいます! 照明チェック——理事会に出入りする人全員の表情を監視します!」


「いい。不審な動きがあれば即座に報告しろ。特にベッカー陣営の人間がこの場で何かを企んでいないか——」


「任せてください! 照明係の目は誤魔化せません!」


「分かった。――次に、リゼット」


「本部の裏口にいます。万が一ベッカーが逃亡を図った場合に備えて——裏口から出られないように、()()()()()()()()()


「封鎖? どうやった」


「《終幕庁(フィナーレ)》の施設管理員に変装して、〝配管工事のため通行止め〟の看板を立てました」


「……衣装の応用範囲が広すぎないか」


「衣装係ですから」


「次は、セレスティーヌ」


「本部の二階回廊にいます。理事会室は一階ですから、上から全体を見渡せます。……もし会場が混乱した時は、わたしの歌で——」


「ああ。保険を頼む。ただし——()()()()()()()()()()()()()()。今回は言葉で決着をつける」


「分かりました」


「エリザベッタ!」


「本部のロビーにいます。……レヴィアン。お父様の名前が出ることになると思いますが——」


「ああ。出る。避けられない」


「覚悟はできています。……わたしの父は罪を犯した人間です。でも——その罪を明るみに出すことが、償いの始まりだと。お父様自身がそう言っていました」


「……いい脚本家だ。お前は」


「えっ……今のは脚本じゃなくて、本心ですけど」


「本心が脚本と同じ強度を持っている。——それが、いい脚本家の条件だ」


 エリザベッタが少しだけ照れた。


「ルカ」


「理事会室の中に、監察官として着席済みです。証拠資料は全て——()()()()()()()()()()。紙は持ち込みません。ガルシアに没収される恐れがありますから」


「頭の中に? 五人分の証言を全て暗記したのか」


「ええ。監察官ですから。——記憶力には自信があります」


「……頼もしいな」


「ありがとうございます。では——()()()()()()()()



 ルカの言い方が少しだけ、俺に似ていた。



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