第59話 激化していく戦い
激しい暑さが続いてますね。
仕事変わって更新タイミングずれる時がありますが、
読んでいただけると嬉しいです。
そしてメルの第四区でも、激しい戦いが続いています。
戦場には、新たな強敵の姿が…。
第四区も激化していた。
「おい、お前ら!
何手こずってんだ!」
戦場の奥から男の怒声が響く。
「エリックとヴィヴィアンさえ潰せば、
《フロンティア》なんざ烏合の衆だろうが!」
そして――。
「どきな。
足手まといは邪魔なんだよ」
続いて現れたのは、
鋭い目つきの女だった。
「テッドさん!」
「ミレーユさん!」
武闘派の男――テッド。
残虐性と知性を併せ持つ男勝りな女――ミレーユ。
ヴィクター亡き後、
ケイムによって幹部へスカウトされた2人だった。
戦場の空気が一気に変わった。
「俺はエリックを殺る」
テッドは大剣を肩へ担ぎながら笑った。
「お前はヴィヴィアンをやれ」
「ふん。
あたいに命令するんじゃないよ」
ミレーユは鼻で笑いながら、
細身のレイピアを抜き放つ。
「エリック、あいつら……」
「あぁ。
最近入ったって噂の幹部か……」
エリックは剣を構え直す。
「俺たちで止めるしかないぞ」
「もちろんよ!」
ヴィヴィアンも弓を構え、
前へ出た。
両者が睨み合う。
そして――。
戦いが始まった。
ブンッ!!
テッドの大剣が唸りを上げる。
その巨体からは想像できない速度。
ガキィン!!
「こいつ……
あんな大剣で、ここまで身軽なのか……!」
エリックは驚愕していた。
今まで戦ってきたどの大剣使いよりも速い。
最初こそ防戦一方だったが、
エリックも徐々に流れを掴み始める。
カンッ!!
キィン!!
ガン!!
「おっと。
やるじゃねぇか、エリック」
「なんでアウトライダースなんかに入った?
お前ほどの実力なら――」
言い切る前に、
テッドが笑いながら遮った。
「別に俺は、
暴れられりゃ場所なんざどこでもいい」
大剣を振り回しながら、
獰猛に笑う。
「たまたま、
ここだっただけだ」
「……狂人め」
(ヨウと同じか)
エリックは内心で舌打ちした。
「残念だよ。
いい腕をしてるのにな」
――火炎剣
炎を纏った斬撃が放たれる。
だが――。
「おいおい。
何勝った気になってんだ?」
ブンッ!!
「っ!?」
テッドの大剣が真正面から叩きつけられる。
エリックの剣ごと、
身体が後方へ吹き飛ばされた。
「口だけじゃないってことか……」
「今度はこっちの番だ」
テッドは大剣へ魔力を込める。
――破壊
ガァンッ!!
打ち砕くような重い一撃。
普通の剣なら、
剣ごと叩き潰されていただろう。
だが、エリックの炎剣ファラグラムは耐え切った。
しかし――。
「ぐっ……!」
凄まじい重量に、
足が地面へ沈み込む。
「これを受け止めるか!
いいねぇ!!」
「っ……はあ!」
気力を込め、上からのしかかる剣を弾き、体勢を整えるエリック。
そして斬りかかる。
防いでいても勝機はない。
なにより消耗するのを期待できる相手ではないことを感じていた。
「おらぁ!」
テッドもエリックへ切り込む。
剣と剣のぶつかる音が次第に激しくなっていく。
周りにいた、フロンティアもアウトライダースも二人の攻防から目を離せないでいた。
一見互角に見える。
だが実際は、エリックが不屈の根性で、迫るテッドへ必死に食らいついている状態だった。
テッドにとっては本気を出せば終わらせられる戦いなはずだが、
テッドの口元は、終始愉快そうに歪んでいた。
(これだぜ!
こんなに食らいついて来れる奴は久しぶりだ。
もっと楽しませろよ、エリック!)
だが、エリックもフロンティアの隊長として負けるわけにはいかない。
パイオニアで頂点に立つパーティとしての意地もあったからだ。
不器用なエリックではあるが、それでもメルを守るため折れるわけにはいかなかった。
そこから先は、斬る、避ける、弾くの応酬となった。
一方――。
ヴィヴィアンとミレーユの戦いも激化していた。
シュシュシュシュ!!
ミレーユのレイピアが高速で突き出される。
柔軟な身体から繰り出される連撃。
素早い踏み込み。
変則的な移動。
ヴィヴィアンにとって、
最悪に近い相性だった。
突き。
移動。
再び突き。
「あんた、なかなか良い動きするじゃない!」
「ふん。
あんたが鈍いんだよ!」
だが、ヴィヴィアンも徐々に慣れ始める。
――雷撃
「っと!」
ミレーユは軽やかに回避した。
「魔法まで使うのかい!」
その瞬間だった。
距離が空いた隙を逃さず、
ヴィヴィアンは即座に弓を構える。
ヒュンッ!!
放たれた矢がミレーユを襲う。
「ちっ……
やっかいだね!」
軽口を叩きながらも、
ミレーユは余裕たっぷりに避け続けるが、
ヴィヴィアンも徐々にギアが上がってくる。
ヴィヴィアンの構えを見て、ミレーユの表情がわずかに引き締まる。
「あんた、大した腕だね」
「はっ!」
シュッ!
ヴィヴィアンの弓から7本の矢が同時に放たれる。
ミレーユも当然知っていた。
一射で何本の矢を扱えるかが弓の腕前に直結するということを。
だが、ミレーユも場数を踏んできている。
「ふんっ」
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
躱すことなくレイピアで全ての矢をはじき落とす。
「そんなっ!」
ヴィヴィアンは、ミレーユの実力に驚きを隠せなかった。
とはいえ、ヴィヴィアンには魔法もある。
余裕は見せても油断をしない、ミレーユだった。
そこからはお互いに決め手にかける戦いとなる。
矢を放つヴィヴィアン。
だがミレーユは、紙一重で避け続ける。
本来なら、ヴィヴィアンは距離を取って戦うタイプだ。
だが、ミレーユはそれを許さない。
戦いは徐々に長期戦へ入り始めていた。
そんな中――。
ケイムが静かに動く。
「よし……
そろそろいい頃合いだな」
そう言って、
部下へ視線を向けた。
「あいつへ合図を出してこい」
「はっ!」
部下は即座に走り去る。
“あいつ”の元へ――。
「ふふ……」
ケイムは戦場を見下ろし、
薄く笑った。
「エリック、ヴィヴィアン。
もっと足掻くといい」
「これから起こることも知らずにな……」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
エリックとヴィヴィアンの前に立ちはだかる、テッドとミレーユ。
そして、ケイムが動かそうとしている“あいつ”とは――。
次回もよろしくお願いします。
P.S.皆さん暑さには気をつけましょう。




