↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/60

第57話 暗躍する者と黒き炎

教団幹部を探して行動を開始したヨウ。

幹部を見つけることはできるのか。

そしてその途中で予想外の出会いが――。

評議塔の入口まで来たところで、俺たちはエリックとヴィヴィアンに鉢合わせた。


レインはいつも通り気さくに声をかける。

「おっ、エリックさんたちもこれからですか?」

「あぁ、これから第四区に向かうところだ。

 レインたちもか?」

「はい、第三区へ行ってきます」

「気を付けて行くんだぞ」

エリックはそう言うと、鋭い視線を俺へ向けた。


「お前は強い。

 だが、認めたわけじゃないからな!」

そう言い放ち、エリックは評議塔を出ていく。

「ごめんね、気にしないでね」

ヴィヴィアンは苦笑しながらエリックをフォローする。

「この件が終わったら、ゆっくりお話ししましょう?」

そう言い残し、ヴィヴィアンもエリックの後を追った。

(ヴィヴィアンがいなかったら、エリックはここまで来られたか怪しいな)

「エリックさんも悪い人ではないんだけどな~。

 ヨウとも、できたら仲良くしてほしいんだけど……」

レインは困ったように笑う。


だが、俺としては別に敵視しているつもりはない。

むしろ、一方的に突っかかってきているのは向こうだ。

「まぁ、今はそれどころじゃないだろ」

「それもそうだな」

そして、俺たちも評議塔を後にした。


その頃――教団側。

――第四区 《パイオニア》


「ミーナさん、評議塔に動きが。

 《フロンティア》のエリックとヴィヴィアンが、どうやらこちらへ向かってきているようです」

ミーナへそう報告する男。


現アウトライダースを率いる男――ケイム。

アウトライダースの頭脳を担い、

長らく影でパーティを支えてきた功労者でもある。

ミーナとも親交が深く、

団員たちからの信頼も厚い。

表立って動くことは少なかったが、

実質的にアウトライダースを率いていた存在だった。


「そう。

 それじゃあ、手筈通りに頼むわよ?」

深く開いた胸元。

身体の線を強調するような服装。

妖艶な態度を見せるミーナ。

その仕草と声音には、

男を惑わせる危うい色気があった。

「はい。

 お任せください」

ケイムは静かに頭を下げ、部屋を後にする。

「エリック……《フロンティア》」

ミーナは妖しく笑みを浮かべた。

「見物ね。

 あなたたちの悔しがる顔が目に浮かぶわ」

ケイムが去った後、

部屋にはミーナの不敵な笑みだけが残っていた。


そして、第四区へ到着したエリックたちを見つけたアウトライダースは、即座に襲い掛かってきた。

「エリックだ!

 《フロンティア》が来たぞ!」

叫び声と同時に、武器を手にした団員たちが一斉に飛び出す。

「殺せぇ!!」

「さっそくか……!」

エリックは剣を構え、叫んだ。

「《フロンティア》!

 行くぞ!!」

「「おおぉっ!!」」

号令と共に、《フロンティア》も正面から突撃する。


こうして――。

アウトライダースと《フロンティア》の戦いが幕を開けた。

至る所で武器と防具がぶつかり合い、

激しい金属音が響き渡る。

怒号が飛び交い、

次々と人が倒れていった。


「ちょっと!

 このアウトライダースの気迫、なんなのよ……!」

ヴィヴィアンは焦っていた。

慢心していたわけではない。

だが、実績でも実力でも、

《フロンティア》の方が格上だと思っていたからだ。

それなのに――。


アウトライダースの勢いは異常だった。

まるで死を恐れていない。

その気迫は、狂気すら感じさせた。

「……っ!」

押され始める仲間たちを見て、

ヴィヴィアンは声を張り上げた。

「みんな!

 こいつらは強い!

 でも――勝つよ!!」

弓を構え直し、前へ出る。

「《フロンティア》の力……

 見せつけてやるのよ!!」

「「おぉぉぉっ!!」」


ヴィヴィアンの檄に応えるように、

《フロンティア》も再び勢いを取り戻していく。


――第四区で戦闘が始まった頃、

俺たちは聞き込みを行っていた。


ここは“裏の商業地区”と呼ばれる場所。

それ故に、

誰が教団と繋がっていてもおかしくない危険地帯でもあった。


「とりあえず、観光客を装って聞いていこうぜ」

レインの提案に俺も頷く。

俺たちは第三区の入口に近い雑貨屋らしき店に入った。

「なぁ、今ギルドと教団が揉めてるって聞いたんだが……

 教団と関係ありそうな場所ってどこなんだ?」

レインは店主らしき男へ気さくに声をかけた。

だが、反応は予想通りだった。


「なんだお前ら。

 教団に何か用でもあんのか?」

警戒心を隠そうともしない。

俺もすぐに会話へ入る。

「いや、旅の途中でここへ立ち寄ったんだが、

 危険な場所には近付きたくなくてな」

「そうそう。

 あらかじめ危ない場所がわかってりゃ避けられるだろ?」

「ほぉ……。

 お前ら、教団が怖いってか?」

「お前は怖くないのか?」

「ふんっ。

 そんなにビクついてちゃ、ここで商売なんざやっていけねぇよ」

男は鼻で笑った。

「それに――俺は襲われねぇしな」


「!」

(こいつ、まさか……)

「みかじめ料を払ってるからな。

 あいつらの世話になってるようなもんよ」

どうやら教団員というわけではないらしい。


だが、

完全に教団側へ取り込まれている。

「まぁ、普通の冒険者なら怖ぇだろうな。

 奥へ行けば行くほど、ヤバい店も増える」


男は声を潜めた。

「当然、その裏には教団がいる」

そう言って、

男は一枚の紙を取り出した。

そこには、

紋章のような奇妙な印が描かれている。

「これが教団の印だ。

 連中はどこかしらにこの印を付けてやがる」

「これを見たら近付かねぇことだな」

それだけ言うと、

男は紙をしまい込んだ。


「……で?

 せっかく来たんだ。

 何か買っていくだろ?」

そのまま商売へ切り替える店主。

「ヨウ。

 ここは何か買った方がいい」

レインが小声で耳打ちしてくる。

俺は軽く頷き、店主へ視線を向けた。

恐らく情報提供の見返りといったところだろう。

情報をただでやるなんて馬鹿正直なことはしない。

そんな雰囲気を感じた。


「おすすめはあるのか?」

「そうだな。

 値は張るが、こいつなんかおすすめだぜ」

そう言って差し出されたのは、手のひらサイズの透明な箱。

その中で、

黒い炎のようなものがゆらゆらと揺れていた。


「これは?」

「珍しいだろ?

 中に入ってんのは“炎”らしい」

「炎だと?」

「あぁ。

 テーヴァ経由で仕入れた代物でな。

 ケースには魔導技術が使われてる。

 中の炎が外へ漏れねぇよう保護してるって話だ」

(どう見ても、珍品を高値で売り付けてるようにしか見えないが……)

とりあえず視る。


(これは……!)

俺の眼が見せた情報は、驚きの内容だった。


第四区では、ついに戦闘開始。

アウトライダースとフロンティアの行方はどうなるのか。

そして第三区では、まさかの掘り出し物を発見。

ヨウの視た“黒い炎”の正体とは――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。