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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第54話 模擬戦―ヨウとエリック①

レインとヴィヴィアンの模擬戦、ついに決着。

そして、いよいよメインとなる、ヨウとエリックの戦い。

一方的な因縁を持つエリックとの戦いはどうなるのか。

レインとヴィヴィアンの試合が終わる。


「ロス、ここまでだ」

俺が声をかける。

「レインの負けだ」

ロスは静かに頷いた。

「そこまでです」

模擬戦終了。


ヴィヴィアンも限界に近いがかろうじて動けるのに対し、

レインは動けないほど消耗している。

ロスも流石に見てわかっていた。


フォードが笑う。

「惜しかったな、レインの奴。

 あれ決まってたら勝ってたぜ」

「そうだな」

マーカスは短く答える。

「だが、負けは負けだ」

「お前は厳しいなぁ」

「事実だ」

マーカスはレインを見る。

「だが、実力に疑いはない」

「……だな」

フォードも頷いた。


一方。

ヴィヴィアンは、複雑そうな表情を浮かべていた。

「ヴィヴィアン、勝ちは勝ちだよ」

エリックが声をかける。

「最後のは危なかったが、レインが未熟だったってことだ」

「……違う」

ヴィヴィアンは小さく首を振った。

「エリックたちも見たでしょ?」

静かに弓を握る。

「レイン君、9本まで届いたのよ」

その言葉には、弓使いとしての実感があった。

「私には、まだ無理」


悔しさ。

焦り。

そして純粋な驚き。

様々な感情が混ざっている。


「勝ちは勝ちなんだろうけど……」

ヴィヴィアンは苦笑した。

「同じ弓使いとしては、レイン君の方が上だよ」

エリックは少し黙った後、真っ直ぐ言う。

「だったら、超えればいい」

「……え?」

「今回は模擬戦だ。

 負けて悔しいなら、もっと強くなればいいだけだろ?」

エリックらしい言葉だった。

ヴィヴィアンはしばらく呆然としていたが、やがて笑った。

「……そうだね」

悔しそうに。

だが、どこか楽しそうに。


「次は絶対勝つ!」

その言葉を聞き、エリックとジャスティンは顔を見合わせて笑う。


こうして――

レインとヴィヴィアンの模擬戦は幕を閉じた。


――ヨウとエリック。


ついに、本命の戦いが始まる。


「エリック、気を付けて。

 あの2人の実力を見る限り、ヨウ君もかなり強いはずよ」

「わかってる。

 それでも、あんな奴より俺の方が強いはずだ。

 行ってくる」

エリックは剣を手に前へ出た。


「ヨウ、頑張って!

 レインの敵討ちだね!」

「おい、俺は死んでないぞ」

どうやらセラは、ブラックジョークまで言えるようになったらしい。

レインは苦笑している。

「まさかエリックさんと因縁があったなんてな。

 まぁ、ヨウなら大丈夫だろ」

「あいつが勝手に突っかかってきてるだけなんだが」

「ははっ!

 ヨウらしいな。

 勝ってこい」

「あぁ」

(せっかくだ。

 ジャスティンとヴィヴィアンからも貰っておくか)

――爆炎連焼(ブレイズ)コピー

――雷撃(サンダー)コピー

そして、俺とエリックは向かい合った。


「では、始めてください」

ロスの合図と同時に、エリックが剣を構える。


「君は狂暴すぎる。

 俺が叩き直してやる」

そう言い放つと同時に、エリックが一気に踏み込んできた。

(ヨウ、どこまでやれるのか、見せてもらうよ)


(エリック、実力はどれほどなのか…)

俺は剣を構え、真正面から迎え撃つ。

カン! カン! カン!

エリックの剣は速く、正確だった。

鋭い連撃が次々と襲い掛かってくる。

だが、俺はそれを冷静に捌いていった。


「おいおい、ヨウの奴、押され気味じゃねえか?」

フォードが思わず声を漏らす。

「……」

マーカスは何も言わず、じっと戦いを見つめていた。

「父上が認めるからどれほどかと思ったが、

 エリックが優勢なんじゃねえのか?」

「そうですね〜。

 防ぐので精一杯に見えますわ」

ロッゾとミラもそんな感想を口にする。


周囲から見れば、俺が押されているように映っているらしい。

だが、実際は違う。

俺はあえて受けに回り、エリックを観察していた。

(速い。

 だが、まだ本気じゃないな)

俺は少しだけギアを上げる。


次の瞬間。

「っ――!」

エリックの表情が変わった。

一気に押し返され始める。

「おっと……!」

エリックは後方へ跳び、距離を取った。

「今のが本気か?ヨウ?」

「まさか。

 お前の攻撃が軽いだけだ」


その言葉に、エリックの表情がわずかに強張る。

普段なら流せたのだろう。

だが、相手が俺だったのが悪かった。

「俺の攻撃が軽いだと……!

 いいだろう!」

エリックは剣を両手で構え直す。

すると――。


剣が赤く輝き始めた。

まるで炎そのもののような魔力が、刃を覆っていく。


「おいおい、エリックの奴……」

ジャスティンが目を丸くする。

「なぁヴィヴィアン。

 あいつ、ヨウとどんな因縁があるんだ?」

「ん〜、因縁ってほどじゃないと思うけど……。

 ヨウ君みたいなタイプが嫌いなだけじゃない?」

ヴィヴィアンは半ば呆れたように肩をすくめた。


ゴオオオオオオ……。

エリックの周囲で魔力が渦を巻く。

膨大な魔力が剣へと流れ込んでいった。


「俺の剣は特殊な剣でね……。

 この剣と俺の魔力が噛み合って、初めて真価を発揮する」


(必殺技か……。

 だが、溜めが長すぎる)

隙だらけだ。

普通なら、その時点で潰す。

だが――。

(面白い)

俺はあえて受けてみたくなった。

(特別な剣、か。

 どんな能力なんだ?)


――炎剣ファラグラム


所有者の魔力によって、なまくらにも神剣にも変わる炎の剣。

使用者の炎魔法を大幅に強化する。

ただし、炎との適性を持たぬ者には扱えない。


(なるほど……)

かなり興味深い剣だった。

使い手を選ぶ武器。

いかにもエリックらしい。


「おい……エリックの奴、あんな技まで隠してたのかよ」

「あの魔力……」

フォードとマーカスですら、見たことがなかったらしい。


そして――。

剣への魔力注入が完了する。

「受けてみろ、ヨウ!」

振り下ろされた刃から、濁流のような巨大な炎が放たれた。

轟音を上げながら、一直線に俺へ迫る。

「ヨウ……!」

セラが不安そうに声を漏らす。

(広範囲……。

 避け切るのは難しいな)

まともに受ければ危険。

だが、相殺する術もない。

(なら――)


直感だった。

アルティエルンを握る手に力が入る。

その瞬間。

眼が反応した。

久しぶりに走る、灼けるような熱。

――魔法の理。

エリシアで得た力が、眼を介してアルティエルンへ流れ込む。


ドクン。

ドクン。


まるで脈打つように、アルティエルンが震えた。

(これは……!)

確証はない。

だが、やるしかない。

「ふぅ……」

一呼吸。


俺はアルティエルンを構え――

迫る炎へ向かって、振り抜いた。




――――――――――――――――――――――――――

【陽】

種族:人間

称号:冥奪の眼保持者

加護:憎悪の神エルロキス

眼のレベル:Ⅱ


剣術:S++

魔術:S

槍術:S+

弓術:S

闘斧術:A

盾剣術:S


魔法

 (ファイア)     火炎(フレイム)   爆炎連焼(ブレイズ)

 放電(スパーク)     雷撃(サンダー)

 疾風(ブラスト)     暴風砕破(ストーム)

 岩石(ストーン)

 回復(ヒール)

 隷従契約(サーヴァント)

 (ホーリー)


技能

 毒支配(トキシニオン)

 暗殺剣:Ⅱ

 隠密:Ⅱ

 魔法の理:Ⅰ

 精神感応(テレパシー)


装備

 魔剣アルティエルン


―――――――――――――――――――――――――

【レイン・ミスティールス】

種族:人間/エルフ混血


剣術:B

魔術:S

弓術:S++


魔法

 (アイス)   氷結(フロスト)

 (ウォーター)  洪水(フラッド)   激流断砕(トレント)  災厄潮波(タイダルウェーブ)

 回復(ヒール)  状態回復(レスト)


―――――――――――――――――――――――――

【セラ・ルクシア】

種族:人間

称号:聖陰の光魔術師

加護:愛憎の神


魔術:S+


魔法

 光の雫(ライトドロップ) 光線(レイ)   月の旋律(ルナハープ)

 閃光(フラッシュ)   癒光波(ヒールウェーブ)

 (ライト)    光粒(フォトン)  光鏡反射(リフレクション)

 (ホーリー)   聖域(サンクチュアリ)  断罪執行(ジャッジメント)


最後まで読んでいただきありがとうございます。

技を見ても冷静なのはヨウらしさでもありますが、

どう対応するのか。

楽しみにしててくれると嬉しいです。


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