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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第51話 《フロンティア》との再会と模擬戦

ついに始まる模擬戦。

模擬戦の相手になるのは果たして誰なのか。

そして、ヨウ達は実力を認めてもらえるのか。

少し待っていると、模擬戦用の部屋の扉が開いた。


先頭に入ってきたのは、見覚えのある赤毛の青年だった。

手入れの行き届いた装備。

まっすぐな姿勢。

爽やかな雰囲気の奥に、戦士としての熱を宿している。

「久しぶりだね。」

エリックだった。


その隣には、弓を背負った女性がいる。

軽やかな足取り。

柔らかい笑顔。

だが、こちらを見る目は油断なく、自然と場全体を見ていた。

「ほんと、久しぶり。

 あの時はエリックがごめんね」

ヴィヴィアンだ。

以前、エリックを引っ張っていった女。


さらに、その後ろから数人の《フロンティア》団員たちが続いて入ってくる。

そして最後尾には、見覚えのある男がいた。

「……マーカスか」

《ホライゾン》のリーダー。

第三区の作戦で共に動いた男だ。

無口で、余計なことは言わない。

だが、状況を見る目は鋭い。


マーカスは短く頷いた。

「久しぶりだな」

その隣には、巨大な盾を背負った屈強な男が立っていた。

背丈も体格も大きく、鎧越しでも身体の厚みが分かる。

ロスが一歩前に出た。


「エリック殿、よく来てくださいました。

 それに、マーカス殿とフォード殿まで。

 こちらは、ヨウ殿です」

ロスが俺の紹介を行う。


「俺たちは見学だ」

マーカスが淡々と答える。

「コールは残してきた。

 動きがあるかもしれないからな」

「あぁ、確かに」

俺が頷くと、マーカスは静かにこちらを見た。

「楽しみにしてるぞ」

それだけ言って、視線を外す。

相変わらずだ。

必要なことしか言わない。


その横で、大盾の男が豪快に笑った。

「がははは! 相変わらず固ぇな、マーカス!」

大盾の男は一歩前に出る。

「俺はフォード!

 《バスティオン》のリーダーをやってる!」

巨大な盾を軽々と担ぎ直し、俺たちを見る。

「今回は、お前たちの実力を見に来た。

 安心しろ。俺とマーカスは今日は見てるだけだ!」

(バスティオン……)

防衛戦を得意とするギルドだったはずだ。

そのリーダーまで来るとは思わなかった。


――フォード・リーダス

剣術:A

魔術:A

盾剣術:S


盾技

 鉄壁

 制圧

 守護

 不動


(盾剣術……?)

初めて見る系統だった。

視線は自然と、フォードの巨大な盾へ向く。

(防御主体……いや、それだけじゃないな)

“制圧”という技名がある。

ただ守るだけではない。

盾を武器として使い、相手を押し潰す戦い方かもしれない。

(盾技か……。

 盾剣術の熟練度に応じて習得する専用技ってところか)

興味が湧いた。


<盾剣術 S コピー>

<盾剣術:F → S>

瞬間、大盾を扱う感覚が頭の中へ流れ込んできた。


受け流し。

体重移動。

防御姿勢からの反撃。

盾を使った打撃。


(なるほど……。

 これは相手にすると厄介そうだ)


「それで?」

エリックが俺を真っ直ぐ見る。

「あの時は色々あったけど、今日は純粋に君たちの実力を見せてもらいたい」

真面目すぎるほど、真っ直ぐな男。

以前と変わらない。

「ヨウだけじゃない。

 そっちの2人の力も知っておきたいんだ」

エリックはヴィヴィアンと、もう一人の男へ視線を向ける。

「ヴィヴィアン、ジャスティン。

 協力してくれ」

「任せてちょうだい」

ヴィヴィアンが軽く笑う。

「ヨウ君、相変わらず怖い顔してるわね」

「あんたも相変わらずだな」

「それ、褒めてる?」

「さぁな」

ヴィヴィアンは苦笑した。


その時だった。

「か、可愛い……」

場違いな声が聞こえた。

見ると、一人の男がセラを見つめていた。

茶髪を後ろへ流した、軽そうな雰囲気の男だ。

ただ、表情を見る限り、本人なりにかなり緊張しているらしい。

「あ、あの!」

男は勢いよくセラの前へ出る。

「俺はジャスティン!

 よかったら名前を教えてくれないかな!?」

(……なんだこいつ)


俺は眼を向ける。


――ジャスティン・シャラメット


剣術:B

魔術:S


(魔術特化か)

「えっと……セラ」

「セラちゃんか!

 いい名前だね!」

ジャスティンはさらに距離を詰める。

「ちなみに、今好きな男とかいたり――」

「えっ……」

セラが困ったように俺とレインを見る。

完全に助けを求めていた。

「おい、ヨウ」

レインが呆れたように耳打ちしてくる。

「どうする?」

(はぁ……)

俺は一歩踏み込んだ。

次の瞬間、剣を抜き、ジャスティンの首元へ切っ先を突きつける。


「っ!?」


空気が凍った。

「ナンパなら他でやれ。

 セラから離れろ」

軽く殺気を混ぜる。

ジャスティンの額に汗が浮かんだ。

「お、おい……。

 いきなり何するんだ……?」

(ナンパってなんだ……)


エリックが即座に前へ出る。

「いきなり剣を向ける必要はないだろ!」

「そっちの奴がセラに絡んできたからな」

「だからって、剣を抜くことじゃない!」

エリックの声に熱がこもる。

以前と同じだ。

正しさを信じて、真っ直ぐにぶつかってくる。


「はいはい、その辺で終わりね」

ヴィヴィアンが間へ入った。

「エリック、熱くならない。

 ジャスティンも調子に乗りすぎ」

「うっ……」

「あとヨウ君。

 あなたも過激」

「近づきすぎたから止めただけだ」

「その止め方が怖いのよ」

ヴィヴィアンは呆れたように溜息を吐いた。


後ろでは、フォードが感心したように腕を組んでいた。

「今の、見えたか?」

マーカスに問う。

マーカスは短く答えた。

「抜いた瞬間は見えた」

「へぇ、さすがだな」

「だが、そこから先は追えなかった」

その言葉に、フォードの表情が少しだけ変わる。

「……なるほどな」

マーカスはそれ以上、何も言わなかった。

ただ、俺を見る目だけが鋭くなる。

そう判断したのだろう。


エリックはなおも険しい表情で俺を見ていた。

「君は、力の使い方が危うい」

「そうか」

「ああ。

 話し合いで済むことを、力で押さえ込もうとしている」

「害をなすなら、潰す。

 それだけだ」

「だから、それが危ういと言っているんだ」

エリックの声が強くなる。

ヴィヴィアンが肩をすくめた。

「もう。

 始まる前から喧嘩しないの」


そこで、ロスが手を叩いた。

「さぁさぁ皆さん。

 せっかくお集まりいただいたのです。

 そろそろ始めましょう」

場の空気を切り替えるように、ロスは笑う。

「まずは――エリック殿とヨウ殿で――」

「待った!」

遮ったのは、ジャスティンだった。

「俺にもやらせてくれ」

全員の視線が集まる。

「いきなり剣を向けられたんだ。

 俺にもやらせて欲しいね」

「お前、魔法使いなんだろ?」


俺が聞くと、ジャスティンは胸を張った。

「あぁ。

 魔法だけなら《フロンティア》でも一番だと思ってる」

「そうか」

俺は隣のセラを見る。

「セラ。

 やってみるか?」

「えっ、私?」

セラが目を丸くする。

「あいつ、気に入らないんだろ?」

「……うん」

レインも口元を緩めた。

「いいんじゃないか。

 セラの実力試しにもなる」

セラは少し考えたあと、静かに前へ出る。

「……やる。

 私も、自分の力がどこまで通用するか知りたい」


さっきまでの戸惑いは消えていた。

代わりに、静かな闘志が宿っている。

ジャスティンは苦笑した。

「いやいや……。

 俺、女性には手を出さない主義なんだけど……」

「安心しろ」

俺は即答する。

「セラは強い」

ヴィヴィアンも頷いた。

「模擬戦なんだし、いいじゃない。

 危なくなったら私たちが止めるわ」

エリックも少し考えたあと、息を吐く。

「……わかった。

 ただし、無茶はするなよ」

「わかったよ」

ジャスティンは観念したように肩を落とした。


その様子を、離れた位置から眺めている人物がいた。

アリ・ヘルディ。

腕を組みながら、細めた目でヨウを見つめている。

(へぇ……。

 今の殺気、悪くないわね)

わずかに口元を歪める。

その視線には、警戒よりも興味の色が強かった。


こうして――

セラとジャスティンの模擬戦が決定した。




――――――――――――――――――――――――――

【陽】

種族:人間

称号:冥奪の眼保持者

加護:憎悪の神エルロキス

眼のレベル:Ⅱ


剣術:S++

魔術:S

槍術:S+

弓術:S

闘斧術:A

盾剣術:S


魔法

 (ファイア)     火炎(フレイム)

 放電(スパーク)

 疾風(ブラスト)     暴風砕破(ストーム)

 岩石(ストーン)

 回復(ヒール)

 隷従契約(サーヴァント)

 (ホーリー)


技能

 毒支配(トキシニオン)

 暗殺剣:Ⅱ

 隠密:Ⅱ

 魔法の理:Ⅰ

 精神感応(テレパシー)


装備

 魔剣アルティエルン


―――――――――――――――――――――――――

【レイン・ミスティールス】

種族:人間/エルフ混血


剣術:B

魔術:S

弓術:S++


魔法

 (アイス)   氷結(フロスト)

 (ウォーター)  洪水(フラッド)   激流断砕(トレント)  災厄潮波(タイダルウェーブ)

 回復(ヒール)  状態回復(レスト)


―――――――――――――――――――――――――

【セラ・ルクシア】

種族:人間

称号:聖陰の光魔術師

加護:愛憎の神


魔術:S+


魔法

 光の雫(ライトドロップ) 光線(レイ)   月の旋律(ルナハープ)

 閃光(フラッシュ)   癒光波(ヒールウェーブ)

 (ライト)    光粒(フォトン) 光鏡反射(リフレクション)

 (ホーリー)   聖域(サンクチュアリ) 断罪執行(ジャッジメント)


読んでいただいてありがとうございます。

ジャスティンのキャラ作り悩みました。

そして最初に戦うのはまさかのセラ。

魔法が得意な者同士の戦いはどうなるのか。

次回もよろしくお願いします。

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