↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/60

第49話 騒乱の幕開け

今回から新章です。

バルグンドへ向かうはずだったヨウたちですが、思いもよらぬ知らせを受けてしまい?

新たな敵も登場。

俺たちはフィレンを出て、そのまま国境を目指した。

バルグンドへ向かうなら、テーヴァ経由の方が安全だと聞いていたからだ。


数日かけて街道を進み、俺たちは無事テーヴァへ辿り着く。

テーヴァへ入ったところで、俺たちはある人物へ連絡を取ることにした。


商業王――ロス・ヘルディ。


あの男なら、バルグンドについて何か有益な情報を持っているかもしれない。

そう考えた俺は、以前ロスから渡されていた|思念伝達装置≪リンクカード≫を取り出した。

魔力を流し込む。


すると、しばらくして声が返ってきた。

『はい、ロスです』

「ヨウだ」

『あっ!

 テーヴァの時の!』

声色が一気に明るくなる。

『これはこれは、お久しぶりです。

 あの時は助かりましたよ。

 どうされたんですか?』

「今、バルグンドへ向かってる。

 何か知ってることがあれば聞いておきたくてな」

『そうですか……』

そこで、ロスの声がわずかに沈んだ。


『情報なら、あるにはあるのですが……』

「どうした?」

『実はですね……メルが厄介なことになってまして……』

「メルが?」

思わぬ名前に、俺は眉をひそめる。

ロスの話によれば、現在メルでは第四区とギルドの一部勢力がクーデターを起こしているらしい。


狙いは、メルの支配権。


さらに――

『背後には、《アナスタシ教団》がいると言われています』

「アナスタシ教団?」

聞き覚えのない名前だった。

『世界各地で暗躍している巨大教団です。

 詳しくは落ち着いたらお話しますが、危険な噂が絶えない教団です』

ロスの声にも緊張が滲んでいた。

『既にメルのあちこちで衝突が起きています。

 正直、かなり危険な状況です』

 

「なぁ、俺たちで何とか力になれないかな?」

最初に口を開いたのはレインだった。

「ザックさんたちは大丈夫なのかな……」

セラも不安そうな表情を浮かべている。

俺は小さく息を吐いた。

メルには世話になった。

ギルドにも、ロスにも借りがある。

見捨てるなんて選択肢はなかった。


「わかった」

俺はふたりに頷き、ロスへ告げる。

「今テーヴァにいる。

 これからメルへ向かう」

『よろしいのですか!?』

「あぁ。

 ギルドには世話になったし、あんたにも借りがあるからな」

『なんと……』

ロスは少し黙り込んだ後、深く息を吐いた。

『ありがたい申し出です。

 ですが、恐らく正面から入ることは難しいでしょう』

「どういうことだ?」

『現在、門の周辺は危険です。

 そこで、別の入口を使ってください』

「別の入口?」

『メルには一般には知られていない秘密通路があります』


メルは巨大な外壁に囲まれた都市だ。

本来、出入りは正面門からしかできない。

だがロスによれば、正門とは反対側の外壁付近に、限られた者しか知らない隠し通路が存在するらしい。


『そこに人を待機させておきます。

 ヨウ殿の名前を伝えてください』

「わかった。

 場所を教えてくれ」

『通路ですが――』

俺たちはロスから詳しい場所を聞き、通信を終える。


静寂が流れた。

「まさか、メルがそんなことになってるなんてな……」

レインが険しい表情を浮かべる。

「うん……。

 ザックさん、大丈夫かな……」

セラも不安そうに呟いた。


ギルド《パイオニア》。

そして代表のザック。

レインは俺以上に長い付き合いだ。

心配するのも当然だった。


だが、いつロスにまで被害が及ぶかわからない。

のんびりしている暇はない。

バルグンドへ向かうはずだった俺たち。


だが――

思いもよらぬ形で、メルの騒乱へ関わることになった。


本当なら、アルケイナにも挨拶へ行きたかった。

だが、ロスとの会話を聞いた後では、そんな余裕はなかった。

(また次の機会にでも挨拶するか……)


俺たちは急ぎ足でメルへ向かう。

「にしても、一体誰がクーデターなんかを……」

レインが呟く。

俺も同じことを考えていた。

前にメルへいた時、そんな空気は一切感じなかった。

だが、ひとつだけ引っかかることがある。


エルゼルとヴィクターと戦った時――

ヴィクターの傍にいた、あの謎の女だ。

得体の知れない雰囲気を纏っていたあの女。

声しか聞いていないが気になってしまう。


あいつが、今回の件に関わっているのではないか。

そんな予感が頭をよぎっていた。


そしてさらに数日。

俺たちは、ついにメルの巨大な外壁へ辿り着く。

「ロスの使いってどこにいるんだ?」

「あそこにいる人たちじゃない?」

周囲を見渡していたレインより先に、セラがそれらしき集団を見つけた。

「確かに、妙に隠れてるな……」

茂った木々の奥に紛れるように、3人ほどが小さなテントを張っていた。

普通に休憩しているようにも見える。

だが、不自然なくらい人目を避けている。


俺はそのまま近づき、声をかけた。

「なぁ、あんたたちが使いの者か?」

「……」

3人は無言のまま互いに顔を見合わせる。

やがて頷き合い、そのうちの1人が俺へ問い返してきた。

「あなた様は?」

「……ヨウだ」

名前を告げた瞬間、警戒していた空気がわずかに緩んだ。

「お待ちしておりました。

 こちらへ」

男はそう言うと、茂みの奥へ進んでいく。


その先にあったのは――地面に隠された扉だった。

男は周囲を警戒しながら扉を開く。

そして、3人のうち1人を地上へ残し、残る2人が地下へ降りていった。

「ついてきてください」

俺たちも促されるまま、後へ続く。


地下へ続く暗い通路からは、ひんやりとした空気が流れ込んできていた。


メル騒乱編始まりました。

これまで登場したロスやギルドの仲間たちも再び物語に関わってきます。

新勢力《アナスタシ教団》やクーデターの真相など、少しずつ明かになります。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。