第46話 成長
すみません、昨日アップするはずが遅れました。
復讐のため、ヨウたちの本格的な修練が始まります。
是非ご覧ください。
――ヨウとルイーズ。
「しっかり休めたか?」
「あぁ、とりあえずはな」
ルイーズは槍を肩に担ぎながら、大きく笑った。
「言っておくが、手加減はしないぞ!
気を引き締めて来い」
「望むところだ」
「それなりに見込みがあれば、弟子にしてやってもいいぞ!
はっはっは!」
冗談交じりにも、豪快に笑うルイーズ。
(……まずは、こいつがどれほどの実力か見極める)
俺は魔剣アルティエルンを抜き、槍形態へ変形させた。
「おぉ……!
面白い武器だな」
ルイーズの目が僅かに見開かれる。
「変形武器とは珍しい。
しかも魔力の流れも相当なものだ」
興味を示したのも束の間、すぐにその表情が引き締まった。
「まぁ武器の話は後だ。
まずは実力を見る。
好きに打ち込んでこい!」
空気が変わる。
先程までの陽気さが消え、鋭い圧迫感が訓練場を包み込んだ。
「なら、遠慮なく――」
(まずは槍術をもらう)
<槍術 S コピー>
<槍術:A → S>
次の瞬間、俺は一気に踏み込んだ。
突き。
薙ぎ。
払い。
コピーした槍術の知識をなぞるように連撃を繰り出していく。
だが――
「甘い!」
ガンッ!!
槍が弾かれる。
続けざまの薙ぎ払いも、最小限の動きで捌かれた。
「動き自体は悪くない。
だが無駄が多すぎるな」
さらに踏み込む。
だが、届かない。
眼で追えているはずなのに、当たる感覚が全くなかった。
「くっ……!」
俺は再び槍を振り上げる。
その瞬間だった。
「ほれ!」
ドスッ!!
腹部へ強烈な衝撃が突き刺さる。
「がっ……!」
次の瞬間、俺の身体は勢いよく後方へ吹き飛ばされていた。
地面を転がりながら、なんとか受け身を取る。
「安心しろ。
穂先じゃない。石突だ」
槍の後端――石突。
痛みは激しいが、致命傷にはなっていない。
「……全然見えなかった」
「今のお前じゃ当然だな」
ルイーズは槍を軽く肩へ担ぎ直した。
「ヨウ、お前の槍は中級程度までなら通用する。
だが、上級者相手じゃ話にならん」
「否定できないな」
真正面から叩き潰されたことで、逆に理解できた。
こいつは強い。
それも、俺が想像していた以上に。
「まずは基礎を叩き込む。
構え、足運び、操法、技――全部だ」
「基礎、か」
「槍は勢いだけで扱える武器じゃない。
基礎ができて初めて、技が生きる」
ルイーズはそう言うと、訓練場の端に立つ甲冑案山子へ視線を向けた。
「あれが見えるか?」
100メートルほど先に、鎧を着せられた訓練用の案山子が立っている。
「あぁ」
「よく見てろ」
ルイーズは静かに槍を構えた。
空気が張り詰める。
次の瞬間。
――疾風閃。
ブォンッ!!
槍が横薙ぎに振り抜かれた。
直後、離れた位置にあった甲冑案山子が真っ二つに裂け飛ぶ。
数瞬遅れて、凄まじい風圧が訓練場を駆け抜けた。
「……っ!」
俺は思わず目を見開く。
「この距離で……」
「基礎を極め、その先で技量を磨けば、こういうこともできるようになる」
ルイーズは当然のように言い放つ。
だが、その言葉に嘘は感じなかった。
俺は高揚していた。
単純な力押しではない。
積み重ねた技術が、あの威力を生み出している。
(……面白い)
いずれ自分も、あの領域へ届く。
そう思うだけで、自然と口元が緩んだ。
こうして俺は、ルイーズから本格的に槍を学ぶことになった。
それからの日々は、想像以上に過酷だった。
セラはクラリーテから魔法理論を学び、レインはヴァーノとの弓術訓練へ打ち込む。
ルイーズたちも仕事があるため付きっきりではない。
それでも空いた時間を見つけては、俺たちへ稽古をつけてくれた。
皆、強くなりたいという想いは同じだった。
――復讐。
その目的のために、必死だった。
中でも、俺の訓練量は特に多かった。
昼間はルイーズとの槍術訓練。
そして夕方からは、シルヴァとの剣の稽古が始まる。
シルヴァは領地経営を抱え、多忙な立場にある。
それでも時間を割き、俺に付き合ってくれていた。
何故そこまでしてくれるのか。
その真意は気になっていたが――
今の俺には、それを考える余裕すらなかった。
半月ほどが経った頃――。
キィン!! ガギィン!! カンッ!!
激しい剣戟が訓練場へ響き渡る。
「……うん。
かなり鋭くなってきたね」
シルヴァが剣を受け流しながら、感心したように目を細めた。
「無駄な動きも減ってる。
ここまで伸びが早いのは正直驚きだよ」
カン! カン! ギィィン!!
最初はついていくだけで精一杯だった高速の打ち合いにも、今ではしっかり身体が反応する。
いや――。
「っ!」
むしろ押し始めていた。
シルヴァの剣筋を読み、踏み込み、連撃へ繋げる。
半月前とは比べものにならないほど、身体が自然に動いていた。
毎日の訓練で、手のひらの皮は何度も裂けた。
筋肉痛で腕が上がらない日もあった。
それでも、強くなっている実感があった。
ガギィン!!
互いの剣がぶつかり合ったところで、シルヴァが後ろへ跳ぶ。
「――そこまで」
静かに剣を下ろし、小さく息を吐いた。
「ここまでやれるなら、剣に関して私から教えられることは、もうほとんどないかな」
「……まだ半月しか経ってないんだが」
思わず本音が漏れる。
眼の力による吸収速度。
それに加え、実戦形式で叩き込まれ続けた経験。
普通ではあり得ない速度で、技術が身体へ馴染んでいっていた。
「ヨウ」
ふと、シルヴァが真面目な声で口を開いた。
「どうしてここまでしてくれるのか――
気になってるんじゃないかい?」
(……唐突だな)
「あぁ、まぁな」
俺は剣を下ろしながら答える。
「俺たちが敵になる可能性は考えないのか?」
「もちろん考えたよ」
シルヴァはあっさり頷いた。
「でも、それ以上に協力するメリットの方が大きいと判断した。
少なくとも今の時点で、敵対する可能性は低いと思ってる」
「合理的だな」
「共通の敵がいるからね」
帝国。
その一言だけで十分だった。
あの巨大国家と渡り合うには、戦力も協力者も必要になる。
それは互いによく理解している。
「俺は理不尽に害されない限り、自分から敵対するつもりはない。
……ただ、復讐のために利用できるものは利用する」
「セラちゃんもそうだけど、ヨウも帝国に復讐するつもりなんだね」
「あぁ」
迷いなく答える。
「帝国は潰す」
「潰す、か……。
随分大きく出たね」
シルヴァは苦笑混じりに言った。
「本気でできると思ってるのかい?」
「やるさ」
即答だった。
迷う理由などない。
「……なら尚更、協力した方が得策だ」
シルヴァは静かに剣を鞘へ収める。
「信用してくれとは言わない。
でも今は、お互い協力して帝国と向き合っていく。
それでいいかな?」
「あぁ、助かる」
気づけば、俺はシルヴァへ自然に復讐の話をしていた。
もちろん、無警戒に信用したわけじゃない。
サマエルにも密かに探らせていた。
その結果、少なくとも嘘をついている様子はない。
本気で帝国と渡り合う方法を探していることも分かった。
(……シルヴァとは、いい関係を築けるかもしれないな)
少なくとも今の俺には、敵には見えなかった。
こうして、復讐――帝国に備えるため、俺たちは訓練を続けていく。
――――――――――――――――――――――――――
【陽】
種族:人間
称号:冥奪の眼保持者
加護:憎悪の神エルロキス
眼のレベル:Ⅱ
剣術:S
魔術:A+
槍術:S
弓術:S
闘斧術:A
魔法
火 火炎
疾風 暴風砕破
回復
隷従契約
聖
技能
毒支配
暗殺剣:Ⅱ
隠密:Ⅱ
魔法の理:Ⅰ
精神感応
装備
魔剣アルティエルン
―――――――――――――――――――――――――
【レイン・ミスティールス】
種族:人間/エルフ混血
剣術:B
魔術:S
弓術:A++
魔法
氷 氷結
水 洪水 激流断砕 災厄潮波
回復 状態回復
―――――――――――――――――――――――――
【セラ・ルクシア】
種族:人間
称号:聖陰の光魔術師
加護:愛憎の神
魔術:A+
魔法
光の雫 光線 月の旋律
閃光 癒光波 聖なる光
光 光粒 光鏡反射
聖 聖域 断罪執行
最後まで読んでいただきありがとうございます。
やっぱり能力があってもそれを活かせる基礎がないと勿体ないですよね。
この成果がどう発揮されるのか楽しみにしててください。
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