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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第45話 強くなるための第一歩

いつも読んでいただきありがとうございます。

今回はセラとレイン、それぞれの修行回です。

派手な戦闘ではありませんが、今後の成長や魔法・弓術の仕組みに関わる、

ある意味大切な話となっています。

ぜひ最後までお楽しみください。

広い訓練場では、既に木剣や訓練用の槍、鎧を着せられた訓練人形などが並べられている。


――セラとクラリーテ。


「それじゃあ、それぞれ始めましょうか」

クラリーテが笑顔で手を叩く。

「セラちゃん、改めてよろしくね!

 クラリーテお姉ちゃんって呼んでくれていいから!」

「う、うん!

 よろしくね、クラリーテお姉ちゃん」

「お姉ちゃん……。

 なんて素晴らしい響きなのかしら……」

クラリーテは感極まったように胸へ手を当てている。

「……そんなに?」

「そんなによ!」

勢いよく返され、セラは少し苦笑していた。


「それじゃ、まずはセラちゃんが使える魔法を見せてもらえる?」

「わかった!」

セラは小さく頷くと、次々に魔法を発動していく。


――光線(レイ)

――光粒(フォトン)

――(ホーリー)

――聖域(サンクチュアリ)


淡い光が周囲を照らし、神聖な魔力が空気へ溶け込んでいく。

「へぇ……。

 光魔法に聖魔法まで使えるのね」

クラリーテが感心したように目を細める。


「やっぱり珍しいの?」

「もちろん。

 そもそも光属性自体が希少なの。

 そのうえ聖魔法まで扱える人なんて、かなり限られてるわ」

「そうなんだ……」

セラ自身、使えて当たり前のように思っていたのだろう。

少し意外そうな顔をしていた。

「セラちゃんって、魔法についてはどれくらい理解してる?」

「うーん……。

 気づいたら使えるようになってた感じだから、深く考えたことはないかも」

「なら、まずは“魔法とは何か”から理解した方がいいわね。

 魔法への理解が深まれば、それだけ成長にも繋がるから」

「成長……。

 強くなれるなら知りたい!」

セラの瞳に強い意志が宿る。

クラリーテはそんな彼女を見て、小さく微笑んだ。


「生き物の体には、“魔力管”って呼ばれるものがあるの。

 血管みたいに、魔力を体中へ巡らせる通路ね」

「魔力管……」

「魔法は、その体内を流れる魔力と、外に存在する“魔気”を組み合わせることで発動するのよ」

「でも私、そんなこと意識したことないよ?」

「普通は無意識にやってるからね。

 逆に魔法が使えない人は、その制御ができない場合が多いの。

 ちゃんと理論を理解して鍛えれば、後から使えるようになる人もいるわ」

「へぇ……」

「まあ、生まれつき魔力管を持たない人もいるから、その場合は難しいんだけどね」

「なんだか複雑だね……」

「でも、セラちゃんは素質十分。

 だからこそ、まずは自分の中を流れる魔力をちゃんと感じ取れるようになりましょう」

「えぇ~……できるかなぁ……」


「強くなりたい?」

その問いに、セラは迷わず頷いた。

「うん。

 足手まといになりたくないし……叶えたい夢もあるから」

「なら大丈夫。

 今は難しくても、この先きっと役に立つわ」

そうしてセラは、クラリーテの指導のもと、自身の体内を流れる魔力を感じ取る訓練を始めるのだった。



一方その頃――レインとヴァーノ


「よし、俺たちも始めるか」

ヴァーノが弓を手にしながら口を開く。

「はい!

 よろしくお願いします!」

レインはやる気に満ちた表情で弓を構えた。

「実力を見るには、実際に戦うのが一番早い。

 まずは全力でかかってこい」

「わかりました!

 いきます!」


レインの周囲へ魔力が集まり、光の矢が生成される。

次の瞬間、それが高速でヴァーノへ放たれた。

「……!」

ヴァーノはそれを紙一重で回避する。

「ほぉ……。

 魔力で矢を生成できるのか」

「いつもこうやって戦ってますけど……?」

「それを当然みたいに言うな。

 魔力矢はかなり高度な技術だぞ」

ヴァーノは感心したように笑う。

「エルフなら比較的扱える者も多いが、人間でそこまで繊細な魔力操作ができる奴は少ない。

 相当センスがある」

(シルヴァ様の頼みで見てやるつもりだったが……)

ヴァーノは静かに口角を上げた。

(これは鍛えがいがありそうだな)

「よし、続けるぞ。

 今度は俺からいく」

次の瞬間、ヴァーノの弓から複数の矢が同時に放たれた。

「っ!?」

レインは慌てて矢を放ち迎撃する。

だが、その矢は途中で軌道を変えた。

「えっ!?」

ギリギリで回避するものの、頬を浅く掠める。

「矢を……操作してる……!?」

「弓使いにとって、矢の操作技術は生命線だ。

 数を放てるだけじゃ意味がない」

その後も激しい射撃戦が続いた。

レインも決して弱くはない。

だが、経験の差は徐々に表れていく。

レインが同時に生成できる矢は三本程度。

対するヴァーノは、5本、6本を当然のように同時生成し、それぞれを別軌道で操ってくる。

しかも急所を外し、かすり傷程度に抑える余裕まであった。

「はぁっ……!

 ヴァーノさん、強すぎます……!」

息を切らしながら後退した瞬間、レインの足がもつれる。

「――そこまでだ」

ヴァーノの矢が、寸前でレインの額から逸れていく。


「はぁ……はぁ……。

 全然敵わなかった……」

「悪くはない。

 だが、まだ基礎不足だな」

ヴァーノは冷静に分析していく。

「体力。

 魔力量。

 同時生成数。

 そして矢の制御技術。

 最低でも5本同時操作はできるようになれ」

「5本……」

「上位の弓使いなら10本同時に操る奴もいる。

 放てる矢の数と制御精度は、そのまま実力に直結すると思え」

「10本も……」

レインは呆然としていた。

自分がまだまだ未熟なのだと、嫌というほど理解させられたのだろう。

「まずは基礎体力の強化と、5本同時生成から始める。

 いいな?」

「はい!

 頑張ります!」


こうして、レインの本格的な弓術訓練も始まった。




最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回、セラは魔法の基礎理論、レインは弓術基礎を学び始めましたね。

次回はいよいよヨウの修行の話もあります。

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