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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第43話 静かな同盟

シルヴァとの再会を果たしたヨウたち。

帝国と敵対する彼らに対し、

シルヴァが下した決断とは――。

部屋に通された俺たちはしばしの休息。


「なぁ、セラのこと正直に話さなくてもいいのか?」

最初にレインが口を開く。

「いや、まだ言わなくてもいいと思う。

 流石に正直に答えるほど信頼はしていないからな。

 ただ、もし俺たちの味方になってくれるなら、正直に話してもいいかもしれない」

「私はあの人いい人だと思うんだけどな」

セラも続けた。

「色々、よくしてくれていると思うし」

「確かに、よくしてくれているが、帝国を相手にするとなると売られる可能性もある。

 特に帝国は自分たちの利益になるなら、それを正義だと思っている」

「簡単に信用できないのも寂しいね…

 でもしょうがないか、私もされたことを考えると…」

セラはそこまで言うと口を閉ざす。

「眼のことも話すのか?」

「いや、眼のことは伏せる。

 あくまでも3人の胸の内にとどめていてくれ」

「わかった。まずは相手の出方を伺おう」

2人も納得したようだった。


そんな会話をしつつ、しばらく休んでいると扉がノックされる。

シルヴァ家のメイドが俺たちを呼びに来た。

「シルヴァ様がお呼びです。」

俺たちはシルヴァの部屋に案内された。

「それじゃあ話を再開しよう」

部屋に入るなりシルヴァが切り出す。

「先に紹介しておくよ。

 ヴァーノはもう知ってるいるね。

 私の諜報や密偵などをしてもらっている。

 それからこの2人は、クラリーテとルイーズ。

 2人も側近だよ。

 護衛や部下の指導、街の管理などをやってもらっている」


――クラリーテ・オルシーニ

剣術:B

魔術:S

弓術:A


――ルイーズ・ヴィット

剣術:A

槍術:S


シルヴァに紹介された、クラリーテとルイーズ。

どちらも流石と言える。

クラリーテは女で、魔法に長けているようだ。

いかにも魔法使いらしい装いをしているし、整った顔立ちの美人だ。

ルイーズは男。

槍使いといったところだろう。

背も高く、がたいもいい。

一般の人なら目の前に立たれるだけでも萎縮してしまうような威圧感もある。


「さて、さっきの続きだけど…。

私は君たちを引き渡すつもりはない」

「シルヴァ様…!」

ヴァーノが声を上げる。

「皆、今から話すことは他言無用で頼むよ」

シルヴァはこの場にいる全員にそう言い放つ。

そして続ける。

「帝国の行動についてはオリントス国上層部でも懸念を抱いているんだ。

 今はまだそこまで大きく動いていないが、怪しい動きをいくつも確認してきた。

 彼らは帝国のためになるならどんな犠牲も厭わない。

 この先オリントスが何かしらでも巻き込まれる可能性もある。

 だから帝国をこれ以上好きにさせないために、

各国へ注意を促しつつ協力できそうな国とは親交を深めているところなんだ」

シルヴァは淡々と話す。

「それじゃあ俺たちの味方に…?」

レインが少し嬉しそうに口を開く。

「表立って君たちの味方だと公言するようなことはできないが、

 そのつもりだよ。

 ヨウたちの力は戦力としては大きいからね。

 だから、表向きは私の友人ということにしておこう」

「よかったじゃないか、ヨウ!」

「シルヴァさんが味方なら心強いね!」

レインとセラもテンションが上がっている。

俺としても嬉しい言葉だった。

「だが、帝国も抜け目ないよ。

 注意すること」

シルヴァがそう言うと、ヴァーノも続けて口を開く。

「自分が確認しただけでも2人が、アマツカ山脈から君たちを監視している。

 下手に動けば勘付かれ、行動を起こされるかもしれない。

 今は大人しくしていることだ」

ヴァーノから釘をさされてしまった。


「とりあえずはしばらくここに滞在していくといい。

 屋敷にはゲストルームもいくつか用意してるからね」

ありがたい提案にも聞こえるが、つまりは監視していたいということでもあるんだろう。

下手に動き回られるよりも目の届く範囲に置いておきたい。

こちらと同じく向こうも完全に信用しているわけではないということを実感した。

だがそれならそれでこちらも利用させてもらう。

「わかった、言葉に甘えるよ。

 ついでに相談があるんだけど、俺たちを鍛えてくれないか?」

「鍛える?」

「あぁ、俺たちはシルヴァたちに比べて戦闘経験が乏しいからな。

 動きに粗さがあるし、そこを補いたいんだ」

急な申し出なのもあってシルヴァと側近たちも驚いていた。

だがシルヴァの返答は早かった。

「わかった。

 前に稽古をつけると約束していたしヨウたちの実力も測っておくのも大切だろうからね」

「助かる。

 レインには弓と魔法を、セラには魔法の稽古をつけてほしいんだが…

外部に見られない稽古場とかはあったりするのか?」

「うん、屋敷の中にね。

 そこでルイーズたちも特訓しているときもある。

 そこを使うといいだろう」

そんなわけで、俺たちはしばらくここで世話になりつつ、

実戦に近い特訓が始まることになった。


重苦しい会話の後で食事を摂る。

空気は一変し、食卓は賑やかになった。

「稽古についてなんだけど、ヴァーノは弓、クラリーテは魔法、ルイーズは槍が得意なんだ。

 だから3人それぞれに稽古をつけてもらうといいよ」

「改めて、俺はルイーズ。

 槍がメインなんだが、ヨウは剣だけなのか?」

「いや、剣だけじゃない。

 他の武器も一応扱えるし、魔法も扱える」

「そうなのか!

 オールラウンダーな感じか。

 それならまずは槍の稽古はどうだ?」

「助かる。よろしく頼むよ」

こうして、俺はルイーズから槍を教わることになった。

厳格な男かとも思ったが、気のせいかルイーズの表情がわずかに緩んだ。


「私はクラリーテ。

 魔法が得意よ。

 3人とも魔法を扱うみたいだけど、どうしようかな…」

「魔法なら、まずはセラがいいんじゃないか?」

レインがセラを推す。

「でもレインだって魔法使うでしょ?」

「そうなんだけど、俺は弓の特訓をしておきたいし、まずはヴァーノさんに教えてもらいたいかな」

「俺もレインに同意だ」

俺はレインと同じ考えだった。

レインは弓、セラは魔法――それぞれを伸ばしておきたかった。

「ヴァーノ、レインに弓の稽古をつけてあげてくれるかい?」

「わかりました。

 お任せください。

 レインとやら、明日から始めよう」

「はい、お願いします!」

シルヴァからもお願いをされたヴァーノは承諾してくれた。

「それじゃあ、決まりね。

 セラちゃん、よろしくね!」

「うん!

 お願いします!」

セラも元気に返事をした。


「とりあえず稽古の話はここまでにして食事を楽しもう」

会話が一区切りついたところで、シルヴァが場を切り替える。


こうして食事を終えた俺たちは、明日からの稽古に向けて、早めに眠りについた。

アマツカ山脈からここまで、ほとんど眠れていなかった俺たちは、

体力も限界だったのだろう。

意識はあっさり沈んだ。


ここからは修行編となります。

ヨウ、レイン、セラがそれぞれ新たな師のもとで実力を伸ばしていく予定です。

戦闘面だけでなく、これまで足りなかった経験や立ち回りも描いていきますので、楽しみにしていただけると嬉しいです。

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