表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/46

第37話 復讐者としての戦い方

ルミナリーヴィレッジの戦いは最終局面へ。

ヨウたちの結末はどうなるのか。

ぜひご覧ください。

天幕の外へ出ると、すでに敵影が見えていた。

その中でも先頭に立ち、兵を率いる男が一人いる。


――ロウ・クエン

剣術:S


技能

 暗殺剣:Ⅱ


サマエルが言っていた、もう1人の実力者だ。

(暗殺剣にだけは注意が必要だな)

「あの先頭の男は俺がやる。

 レインとセラは、他の兵士たちを頼む。

 油断だけはするなよ」

「任せろ。先手必勝だな」

「もうひと踏ん張りだね」

2人も応じる。


こうして――ルミナリーヴィレッジでの戦いが始まった。

ロウに接近される前に、俺は先手で魔法を放つ。

――暴風砕破(ストーム)

「いきなり魔法かよ」


軽口を叩きながらも、ロウは放たれた風の刃を鮮やかにかわした。

だが、その後ろにいた兵士たちには直撃し、何人かはその場に倒れる。

ロウはそのまま、一気に距離を詰めてきた。

「お前がヨウって野郎か?」

「……!」

いきなり名前を呼ばれたことに一瞬驚く。

だが、すぐに聞き返した。

「お前はロウって奴なんだろ?」

「!

 ……どうして俺の名前を知ってる?」

ロウはわずかに表情を揺らしたが、すぐに剣を構え直した。

「まあいい。上からの命令だ。

 3人組がここに向かってきてるから、そいつらを始末しろと言われててな。

 きっとお前がヨウって奴なんだろ。

 仕事なんでな、消えてもらう」


その頃、レインとセラも順調に兵を処理していた。

――激流断砕(トレント)

――光粒(フォトン)

レインの放った激流が敵をまとめて飲み込み、そこへセラの光の粒子が降り注ぐ。

兵士たちの命が、次々に刈り取られていった。

「こいつら強いぞ!

 気をつけろ!」

「なんでこんな奴らが襲ってくるんだよ!」

兵たちは完全に怯んでいた。

だが、レインとセラは攻撃の手を緩めない。

――閃光(フラッシュ)

「レイン、あそこにも敵がいる!」

セラが光を放ち、敵の位置を浮かび上がらせる。

「ありがとう、助かる!」

その光で露わになった敵を、今度はレインが矢で正確に射抜いていく。

悲鳴があちこちで上がっていた。


一方、俺とロウは剣を交えていた。

レインたちの戦いぶりを見たロウが、口を開く。

「お前ら、報告以上にやるんだな。

 一般兵じゃ相手にならないじゃないか」

その口調には、わずかな困惑が混じっていた。

俺は止まることなく斬りかかる。

だが、徐々に実戦経験の差が出始める。

「どうした?

 動きが少し遅いんじゃないか?」

煽るように言われ、俺は一度距離を取った。

そのまま隠密を使い、気配を消す。

闇夜に紛れ、隙をうかがう。

「おいおい。敵わないからって隠れるのか?」

相変わらず、ロウは煽ってくる。

だが、今はそれどころではなかった。

隷従契約(サーヴァント)……どこまで使えるのか?

 敵兵を従わせて囮にできれば、隙を作れるかもしれない)


少し考えた末、俺は賭けに出ることにした。

(まずは兵士だ。手頃な奴は……)

ロウから距離を取りつつ、獲物を探す。


――いた。


俺は一気に1人の兵士の背後へ回り込んだ。

――隷従契約(サーヴァント)

レインとセラに気を取られていた兵士は、俺に気づくことすらできなかった。

魔法陣のようなものが兵士の体に入り込み、消えていく。

(どうだ……!)

「剣を下ろして、俺の方を向け」

命じてみる。

「うっ……。な、何が起きてるんだ……。

 お前は誰だ……?」

苦しそうに抵抗している。

だが――効いている。

「いいから、言われた通りにしろ」

強く命じると、兵士は苦しみながらもこちらを向いた。

成功だった。

完全に操るというより、ある程度の自我は残るらしい。

だが、こちらの意思が強ければ行動を縛れる。


「逆らうなら、このまま殺す。

 従うか?」

剣を突きつけると、兵士は震えながら首を縦に振った。

「わ、わかった……」

「それじゃあ、お前にはやってもらうことがある。

 あそこにいるロウに襲いかかれ」

「!?

 そ、そんな……できません……!」

「いいからやれ。

 やらないなら、ここでお前の首を落とすぞ」

嫌がる兵士の首筋を、あえて浅く斬る。

血がにじむ。

「お前がやられる前に、俺があいつを仕留める。

 安心して行け。

 あいつより俺のほうが容赦ないぞ」

そこまで言われて、ようやく兵士も覚悟を決めたらしい。

(少し涙目だった気もするが、グラディウス相手に情けはいらない。

 囮としては十分だ)

兵士をロウへ向かわせ、俺は同時に背後を取れる位置へ移動する。


「ロウ様、すみません……!」

そんな言葉を叫びながら、兵士はロウへ斬りかかった。

「お前、一体何の真似だ!」

ロウは兵士の剣を受け止める。

「すみません、すみません……!」

半ば錯乱したように、兵士は何度も斬りかかる。

その間、俺は冷静に隙を待った。

「いい加減にしろ!」

ロウがついに声を荒げ、兵士を斬り伏せようとしたその瞬間――


俺は隠密を維持したまま一気に踏み込んだ。

暗殺剣で距離を潰し、背後を取る。

ロウが兵士を斬りつけるのと、ほぼ同時だった。

俺の剣が、ロウの胸を貫いた。

「ぐっ……!

 く、くそが……!」

苦しげに血を吐くロウ。

「こいつに……何を……した?」

「死ぬお前に教える必要はない」

「ちっ……。

 アベル様……申し……訳、あり……ませ――」

そこまで言って、ロウは息絶えた。


流石というべきか、強かった。

それなりの実力者だったのは間違いない。

(グラディウスには、あとどれだけ強敵がいる……?

 ……いや、もっと強くなればいいだけだ)

そう自分に言い聞かせる。


それよりも、最後の言葉が気になった。

――アベル。


(どんな奴なんだ。

 ゾフに聞く必要がありそうだな)

そのとき、アルティエルンが反応した。

ロウの剣に宿っていた力が、アルティエルンを通して俺の中へ流れ込んでくる。

<剣術:S → S+>

強敵を倒せば、成長も早い。

どこまで強くなれるのか――その高揚を覚えながら、俺は天幕へ戻る。


俺とロウの戦いが終わった少し後。

レインとセラもまた、敵を片づけ終えていた。

「いやー、結構多かったけど、終わったな」

「うん。ヨウは大丈夫かな?」

「ヨウなら問題ないだろ。

 今頃、もう天幕に戻ってるかもしれないぞ」

「私たちも戻ろう!」

「そうだな、行こう」


戦いを終えた2人も、そう言葉を交わしながら天幕へ戻っていく。


ロウ戦でした。

今回の戦いでは、ヨウが敵兵を囮として利用するなど、

以前よりもかなり容赦のない戦い方をしています。

復讐者としての価値観が少しずつ形になってきました。

また、ロウの口から出た「アベル」という人物にも注目です。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ