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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第28話 眼は偽物を見逃さない

エリシア観光回です。

……と言いつつ、ただの観光で終わるはずもなく。

さらに、静かに迫る帝国の影。

一息のはずが…

美術館の中には、骨董品やどこかで発掘されたであろう出土品、

絵画や武器などが数多く展示されていた。


「かなり広いぞ!」

レインが声を上げる。

「本当だな。

 なかなかの規模だ」

俺も感心しながら周囲を見渡す。

館内は三階から地下階まであり、

それぞれの階で展示の種類が分けられているようだった。

分かる人が見れば、喉から手が出るほど価値のあるものばかりなのだろう。

俺とセラは、先頭を歩くレインについて館内を巡っていく。

絵画については3人とも正直よく分からなかったが、

古代の武器が並ぶ展示室に差しかかったところで、俺たちは足を止めた。


「わぁ……。

 この杖、オリントス王国を建国した祖の一人が使ってた杖なんだって」

セラは説明文を読みながら、目を輝かせている。

さっきまで「つまらなそう」なんて言っていたのが嘘みたいだった。

「この弓の装飾、すごく細かいな。

 一体いくらくらいするんだろ……」

レインは弓を眺めながら、いかにも欲しそうな顔をしている。

俺も興味を引かれる展示ばかりだった。

剣、槍、杖、斧……多種多様な武器が並び、

説明書きには本当かどうか疑いたくなるような内容が書かれている。


――天地を創造したとされる槍

――数十メートルの巨人を両断した斧

――神から授かった剣


まるで神話に出てきそうな逸話ばかりだ。

だが、眼で確認すると、ほとんどが模造品だった。

実際に使われていた本物は、ここにはほとんど置かれていないらしい。

(壊れたり、盗まれたりしたら大問題だもんな)

そんなことを考えながら、

セラが見ていた杖を改めて視た、そのときだった。

(……これは)


――古の大賢者の杖

魔法の理を理解できる

使用者の魔術レベルに応じて、無効/吸収/支配が可能


(おいおい……模造品じゃないものが混じってるぞ。

 しかも、この能力……)

無意識のうちに眼を使うと、

杖から魔力が引き抜かれ、俺の中へ流れ込んでくる感覚があった。


<魔法の理 吸収>

<魔術レベル:A → A+>


(……なるほど、杖の能力を取り込んだのか)

俺の魔術が強くなるほど、この力もさらに伸びるはずだ。

(楽しみが、また一つ増えたな)

セラが夢中で見てくれていたおかげで、

思わぬところで新たな力を手に入れることができた。

ひと通り武器展示を見終えた俺たちは、地下へと向かう。


地下に入ると、空気が一変した。

巡回する兵士。

張り巡らされた魔法陣。

明らかに、重要なものが保管されていると分かる厳重な警備だった。

気になって足を進めようとした、そのとき――

「君たち、止まれ。

 ここから先は立ち入り禁止だ」

兵士に制止され、奥へ入ることはできなかった。

「何かあったんですか?」

思わずレインが尋ねる。

「実はな……。

 ここに展示されていた、とある物が盗まれてしまってな。

 現在、捜査中なんだ」

「せっかく来てもらったところ悪いが、

 地下の展示は今日は見られない」

「えぇ~……残念……」

セラは心底悔しそうだ。

「そうか、分かった。

 戻ろうぜ」

「だな。また今度、出直すとしよう」

そうして俺たちは、美術館を後にすることになった。


外に出る頃には、すっかり腹が減っていた。

「おなか減ったよ~……」

「俺も。

 がっつり食べたい」

レインとセラが、今にも倒れそうな声でぼやく。

「そうだな。

 飯にしようか。

 この辺なら――」

そう言って、俺たちは食事に向かう。

港が近いせいか、周囲には海鮮系の店が多かった。

その中から目についたレストランに入り、ようやく席につく。

運ばれてきたのは、海鮮丼のような料理だった。

よほど空腹だったのか、

レインは喉に詰まらせそうになりながら、水で流し込むように食べていく。

「めちゃくちゃうまいぞ、ここ!

 すみません、おかわりください!」

あっという間に椀を空にし、追加を頼むレイン。

「うん、ぷりぷりでおいしい。

 何杯でも食べられそうだよ」

セラも次々と箸を進めている。

「……確かに、うまいな」

俺もそう漏らしながら食べる。

ふと、日本で食べた海鮮丼の記憶が蘇った。


月と、日の出を見に行った帰りに、一緒に食べたあの朝食。

冷え込んだ朝だったが、

一緒に食べるだけで、寒さなんて吹き飛んでいた。

(月と……また、海鮮丼を食べたかったな)


その瞬間、胸の奥に怒りが湧く。

(……全部、帝国のせいだ)


だが、溢れそうになる憎しみを必死に抑え、

俺は黙って食事を続けた。

食事を終え、会計を済ませて店を出る。

「いやぁ、うまかった!」

「うん、また来たい!」

2人は満足そうだ。

「そろそろ宿を探そう」

レインとセラも頷く。

宿を探し始めた、そのときだった。

ふいに、懐に一通の手紙が滑り込んできた。

(……今の、セリーナか?)

周囲は誰も気づいていない。

あんな動きができるのは、俺の知る限り彼女しかいなかった。

(宿に入ってから読もう)

そう判断し、俺たちは宿を見つけて部屋を取る。


観光地の宿らしく、部屋はかなり立派だった。

「広いじゃん!」

「すご~い!

 外の景色も綺麗だよ!」

レインとセラは、すっかりはしゃいでいる。

俺はその間に、さっき渡された手紙を開いた。


――

帝国があなた達を探しています。

すでに追手が動いていますので、十分注意してください。

アルケイナより

P.S. 読み終えたら、この手紙は処分してください。

――


読み終えた俺は、すぐに手紙を燃やした。

(追手か……。

 できるだけ目立たないように動かないとな)

まだ、帝国と正面からやり合う段階じゃない。

「レイン、セラ。少しいいか」

2人を呼び寄せる。

「アルケイナから手紙が来た。

 さっきレストランを出たとき、配下のセリーナから渡されたものだ」

「アルケイナ様が……?」

レインが驚く。

「何て書いてあったの?」

セラが不安そうに聞く。

「帝国が、俺たちに追手をかけているらしい。

 居場所までは掴まれていないと思うが、

 目立たない行動が必要だ」

部屋の空気が、一気に引き締まる。

「そっか……帝国が。

 狙いは、やっぱりヨウか」

「おそらくな。

 だから、もしものときは別行動を取ろうと思う」

「何言ってんだよ」

レインが即座に言い返す。

「俺たちは、テーヴァで覚悟を共有しただろ」

「そうだよ!

 ヨウを一人にはしない!」

二人の言葉に、胸が少し痛んだ。

(無理に危険を背負わなくてもいいのに……)

「……分かった。ありがとう」

素直に、感謝を伝える。

「じゃあ、明日は見られるところを見てから、

 アマツカ山脈へ向かわないか?

 できるだけ急いだほうがいいだろ」

レインの提案に、

「うん、私もそれがいい」

セラも頷く。

「……遺跡だけは見ていきたい。

 どうしても、そこが気になるんだ」

俺がそう言うと、

「分かった。

 じゃあ遺跡を見たら、エリシアを出発だな。

 今日は早めに休んで、朝一で動こう」

レインがまとめる。


こうして、エリシアでの一日目は、静かに終わりを迎えた。



――――――――――――――――――――――――――

【陽】

種族:人間

称号:冥奪の眼保持者

加護:憎悪の神エルロキス

眼のレベル:Ⅱ


剣術:S

魔術:A+

弓術:E

闘斧術:A


魔法

 (ファイア)     火炎(フレイム)

 疾風(ブラスト)     暴風砕破(ストーム)

 回復(ヒール)

 隷従契約(サーヴァント)

 (ホーリー)


技能

 毒支配(トキシニオン)

 暗殺剣:Ⅱ

 隠密:Ⅱ

 魔法の理:Ⅰ


装備

 魔剣アルティエルン


―――――――――――――――――――――――――

【レイン・ミスティールス】

種族:人間/エルフ混血


剣術:B

魔術:A++

弓術:A++


魔法

 (アイス)   氷結(フロスト)

 (ウォーター)  洪水(フラッド)

 回復(ヒール)  状態回復(レスト)


―――――――――――――――――――――――――

【セラ・ルクシア】

種族:人間

称号:聖陰の光魔術師

加護:愛憎の神


魔術:A


魔法

 光の雫(ライトドロップ) 光線(レイ)   月の旋律(ルナハープ)

 閃光(フラッシュ)   癒光波(ヒールウェーブ)

 (ライト)    光粒(フォトン) 

 (ホーリー)   聖域(サンクチュアリ)




ここまで読んでいただきありがとうございます。

美術館パートでは、さりげなくヨウの強化が進みました。

そして、帝国の追手がついに。

エリシアでの滞在も、ゆっくりしていられる状況ではなさそうです。

次回は遺跡探索、そしてその先へ――。

引き続きよろしくお願いします。

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