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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第23話 斧の縁

今回はテーヴァを出発した後の話です。

エリシアへ向けて出発したヨウたちだったが素直にたどり着けるはずもなく…

テーヴァを出発し、エリシアを目指して街道を進んでいた、その時だった。


――ドンッ。


突如、爆発音が轟いた。

視線を向けると、街道から少し離れた森の方角から黒い煙が立ち上っている。

「……爆発?」

セラが小さく呟く。

「とりあえず行ってみよう!」

レインが即座に言った。

俺たちは顔を見合わせ、迷うことなく音の発生源へと駆け出した。


森の中へ踏み込むと、すぐに状況が見えてきた。

冒険者らしき5人ほどの集団が、1体のモンスターと交戦している。


「……でかいね」

セラが思わず呟く。


「あれは、なかなかの強敵だぞ」

レインも険しい表情で続ける。

「どうする?」


「でも……あの人たち、かなり苦戦してない?」

セラが不安そうに付け加えた。


その言葉通りだった。

5人のうち、立って戦えているのは1人だけ。

他の4人はすでに地面に倒れ、動けない様子だ。


(そうだな……)

(そもそも、あいつらは何者だ?)


俺は生き残っている男に意識を向ける。


――ピエール・ハルディアクス

闘斧術:B++


斧を得物とする男。

他の仲間たちのステータスも確認してみたが、全員ピエールより一段劣っている。

間違いなく、彼が隊長格だろう。


(初めて見る系統だな……

 “闘斧術”…これによって斧の扱いに差が出るのだろうか?)


<闘斧術 B++ コピー>

<闘斧術:F → B++>


とりあえず最低限、斧を扱えるようになったところで、改めて敵を見る。


――ミノタウロス

ランク:A++


(そこそこだな……

 俺の剣術なら、十分に対応できる)

それに――

(あいつの持ってる斧……

 目が、あれに反応してる)


一方ミノタウロスと対峙しているピエール。

「はぁ……はぁ……」

ピエールが息を荒くしながら呟いた。

「こんな強い奴が現れるなんて……

 ……ごめん、兄貴……」


(あいつ自身はどうでもいい。

だが、あの斧は見てみたい)

そう思った俺は、二人に小声で指示を出す。

「動きを止める魔法は使えるか?」

「光で目をくらませるくらいならできるよ」

セラが即答する。

「わかった。

 最初にセラが目くらまし。その後、レインとセラで魔法攻撃。

 俺は前に出て、注意を引き続ける」

二人は短く頷いた

「行こう」

俺たちは三人同時に、ミノタウロスへと踏み出す。

「セラ、頼む」


――(ライト)


今まさに斧を振り下ろそうとしていたミノタウロスの顔面に、光が弾けた。

一瞬こちらを見たが、すぐに眩しさに目を押さえる。


その隙を逃さず、レインが弓を引き絞る。

矢が次々と放たれ、ミノタウロスへ突き刺さる。

俺も一気に距離を詰め、剣を振るった。

だが――

刃は通るものの、致命傷には程遠い。

ミノタウロスは微動だにせず、即座に反撃へ転じる。

巨大な斧による薙ぎ払い。

俺は紙一重でそれをかわす。

(……固いな。

となると、やっぱり魔法か)

「レイン、魔法を頼む!」

「任せろ!」

レインが魔法を準備する。


――洪水(フラッド)


激流のような水がうねり、ミノタウロスを直撃する。

巨体が大きくよろめいた。


――光線(レイ)


セラの魔法が重なる。


「グオオオオッ!」

苦悶の咆哮が森に響いた。

「よし……魔法ならいけるな」

そう確信した俺も、魔法を放つ。


――暴風砕破(ストーム)


激しい風の竜巻が発生し、ミノタウロスを包み込む。

(……前より、でかくなってないか?)

同じ魔法でも、魔術レベルでここまで威力が変わることに驚いた。

(カノンからコピーしておいて正解だったな)

竜巻が直撃し、ミノタウロスの身体が無数の風刃に刻まれていく。

呻き声を上げ、巨体がぐらりと揺れる。

そこへ、レインとセラの魔法が追撃する。

ついにミノタウロスは膝をついた。

俺は剣を構え、踏み込む。

――暗殺剣・縮地

一瞬で距離を詰め、

――暗殺剣・絶

首を断ち切った。


こうして、ミノタウロスとの戦闘は終わった。

視線をピエールへ向けると、すでに意識を失っている。

レインとセラが駆け寄り、治療を開始した。

その間、俺はミノタウロスの斧を調べていると――

斧から溢れた魔力が、魔剣アルティエルンへと流れ込む。


<闘斧術:B++ → A>


(よし……!)

やがて、セラたちの治療によってピエールが目を覚ました。

「うっ……

 ミノタウロスは……?」

周囲を見渡し、目を見開く。

「……倒したのか?」

「ああ! もう大丈夫だぜ」

レインが明るく答える。

「そうか……助かった」

礼を言い、立ち上がろうとするが、足元がふらついた。

まだ一人で動ける状態ではないようだ。

「その体じゃ、一人で動くのは難しいと思うよ」

セラが優しく告げる。

「くそ……

 他のみんなは?」

少し黙り込んだ後、ピエールは言った。

それに対して、レインが首を横に振る。

「ダメか……。

……なぁ…もしよければ、俺を連れて行ってくれないか?

この近くに野営拠点がある。

そこまででいい」


(……そこまでしてやるメリットはないが)

そう思っていると、レインが口を挟む。

「せっかくだし、連れてってやろうぜ?」

「……まぁ、しょうがないか」

俺は渋々頷いた。


こうして、ミノタウロスとの戦いを終えた俺たちは、

ピエールを連れて野営拠点へと向かうのだった。


野営拠点へ向かって歩き出した、その時だった。


前方から、5人ほどの冒険者らしき男たちが、こちらへ向かって駆けてくるのが見えた。

「……兄貴?」

ピエールが気づき、かすれた声で呟く。

「兄貴がいたのか?」

レインが驚いたように言う。

「さっきの爆発音を聞いて、駆けつけてきたのかもね」


先頭を走る男に、俺は目を向ける。

年の頃は20代後半。

身長は2メートル近くありそうな巨体で、全身が鍛え上げられている。

鎧の上からでも分かるほどの筋肉量だ。

(……兄貴、だと?)


――エンリル・ハルディアクス

称号:バルグンド国 パイルリッター(斧騎士団)隊長

加護:本能の神

剣術:A++

槍術:A++

闘斧術:SS++


(……とんでもないステータスだな。

 バルグンド国で騎士団の隊長……敵に回したら、相当厄介な相手だ。

 それに……)

アルケイナの時もそうだったが、

加護を受けている者の能力はコピーできない。

(やっぱり、加護持ちは別格ってわけか…)


「おい、ピエール!」

エンリルが駆け寄り、焦った声を上げる。

「何があった!?」

「さっき、ミノタウロスと戦っててな」

俺は状況をそのまま伝えた。

「このままだと、殺されるところだった」

「ミノタウロスだと!?」

エンリルは目を見開く。

「そんな化け物に遭遇するなんて……。

 ……ともかく、無事でよかった。

 それで、そいつはどうした?」

「俺たちが倒したよ」

レインが肩をすくめて答える。

「今は、あんたらの拠点に弟さんを連れて行こうとしてたところだ」

「……そうだったのか」

エンリルは一瞬言葉を失い、次の瞬間、豪快に言った。

「すまない! 本当に助かった!

俺はエンリルだ。バルグンド国で、パイルリッター――斧騎士団の隊長を務めている。

こいつが、俺の弟のピエールだ」

話しぶりも態度も、裏表はなさそうだ。

少なくとも、悪人の雰囲気は感じられない。

「俺はヨウだ。

こっちはレインとセラ」

「おう、よろしくな!」

エンリルは快活に頷くと、続けて言った。

「せっかくだ。ヨウたちも、俺たちの拠点に寄っていってくれ!

 おい、お前ら! ピエールを担いでやれ!」

「「はっ!」」

配下たちは即座に返事をし、ピエールを受け取る。


「せっかくだし、行ってみようぜ」

レインに促され、俺とセラも頷いた。

「あぁ……バルグンドの話も聞いてみたいしな」

「……ご飯とか、あるかな?」

セラがぽつりと漏らす。

どうやら、相当腹が減っていたらしい。

こういうところは、まだ年相応だ。

「それは分からないけどな」

俺は苦笑しつつ答える。

「行ってみるだけ行ってみるのも、悪くないと思うぞ」


こうして俺たちは、エンリルたちの野営拠点へと寄り道することになった。

――まさか、一人助けたことが、バルグンド国との繋がりを生むとは。


それは、嬉しい誤算だった。



――――――――――――――――――――――――――

【陽】

種族:人間

称号:冥奪の眼保持者

加護:憎悪の神エルロキス

眼のレベル:Ⅱ


剣術:S

魔術:A

弓術:E

闘斧術:A


魔法

 (ファイア)     火炎(フレイム)

 疾風(ブラスト)    暴風砕破(ストーム)

 回復(ヒール)

 隷従契約(サーヴァント)

 (ホーリー)


技能

 毒操作(ポイゾナー)

 暗殺剣:Ⅱ

 隠密:Ⅱ


装備

 魔剣アルティエルン


―――――――――――――――――――――――――

【レイン・ミスティールス】

種族:人間/エルフ混血


剣術:B

魔術:A++

弓術:A++


魔法

 (アイス)    氷結(フロスト)

 (ウォーター)   洪水(フラッド)

 回復(ヒール)   状態回復(レスト)


―――――――――――――――――――――――――

【セラ・ルクシア】

種族:人間

称号:光の魔術師

魔術:B++


魔法

 光の雫(ライトドロップ) 光線(レイ)

 (ライト)

 (ホーリー)


ここまで読んでいただきありがとうございます。

新たに出てきたバルグンド国との初接触…

ヨウ的には「斧うまい人いたからコピーした」くらいのノリですが、普通にかなり大きい出会いになるかも。

あと、セラの「ご飯あるかな?」が地味に好きです。

次回もよろしくお願いします。

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