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収奪の復讐者 ~奪われた全てを取り戻す悪魔の眼~  作者: 冬野 ヨル


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第15話 三人目の復讐者

エルゼル討伐後の話です。

ここから物語が大きく動き出します。

しばらくの沈黙。

やがて、俺は意を決した。


「……さっきの話の続きを聞いてくれるか」

立ち尽くしているレインへ振り返る。

「ああ……、一緒に旅をするんだ。聞くに決まってる」


俺は、すべてを話した。


地球から来たこと。

神との邂逅。

この眼の力。


長い沈黙の後――


レインは、ゆっくりと頷いた。

「……正直、信じられない」

「でも、ここまでのことを見れば……嘘とも思えないな」

そして、静かに言った。

「それでも、俺はお前と行く」

胸の奥が、少しだけ軽くなった。

「復讐の旅になる」

「それでも……頼む」

俺は手を差し出す。


レインは笑い、強く握り返した。

「当たり前だろ」

「ヨウがヨウでなくなりそうな時は俺が連れ戻してやるよ!」


こうして――

エルゼルとの因縁に決着がついた。


「……そろそろ行くか」

レインがそう言って踵を返そうとした、そのときだった。

「ちょっと待ってくれ」

俺はそう言って、エルゼルの亡骸へと歩み寄ると、手にしたアルティエルンが微かに震えた。

次の瞬間。

剣だった刀身が音もなく形を変え、弓へと変化する。

同時に、エルゼルが手にしていた弓から、淡く濁った魔力が引き抜かれるように宙を流れ、アルティエルンへ吸い込まれていった。

「……吸っている?」

まるで呼吸するかのように、魔力が武器へ循環していく。

やがて弓の形状は、エルゼルのそれに近い姿へと変わっていた。

「これが……アルティエルンの力か」

強敵を倒すほど、武器もまた成長する。

そして、それに呼応するように、俺自身の感覚にも変化が走る。


<弓術:F → E>


(俺自身も……強くなっている)

自然と口元が緩んだ。

それを見ていたレインは、もはや大きく驚くことはなかった。

「……もう、何が起きても不思議じゃないな」

半ば呆れたように、そう呟くだけだった。

そして建物を出ようとした、その瞬間。


「……ガタッ」

微かな物音。

俺とレインは同時に足を止め、視線を交わす。

静かに建物の奥を探索すると、ひとつの部屋に辿り着いた。

扉を開けた瞬間――


「……っ」

鎖に繋がれた少女が、床に座り込んでいた。

俺は、すぐに思い出した。

「……あのときの」

奴隷売買所で見かけた、あの少女だ。

俺はレインに小声で伝え、すぐに鎖を外す。

だが彼女の表情は、怯えよりも――強い警戒と、固い意志を宿していた。

「大丈夫か?」

「名前は?」

短く、しかしはっきりとした声で返ってくる。

「……セラ。

 セラ・ルクシア」


「どうして、こんな場所に?」

レインが尋ねる。

「……私は“特別な子”だって言われた。

 その男が、私を買っていったの」

(特別な子……?)

嫌な予感がして、俺は魔眼で彼女を視た。


――セラ・ルクシア

光の魔術師

魔術:B++


魔力量は高いが、他の能力値は平均的。

だが、外見だけはやけに目を引く。

地球で見たアイドルを思い出すような、作り物めいたほど整った顔立ち。

可愛らしさの中に、どこか影を宿した瞳が印象的だった。

だが――


“光の魔術師”という称号は、これまで見たことがなかった。

(……やはり、普通の存在じゃないな)


「……こんな子まで売買されているのか」

レインが吐き捨てるように言う。

「本当に、嫌な場所だな……」

俺はセラに向き直った。

「なぁ……俺たちと一緒に来ないか?

 俺はヨウ。こっちはレイン。

 冒険者そしてるんだ。」


「おいおい、いきなりどうしたんだ」

レインは驚いた様子だったが、すぐにため息をつく。

「……でも、放っておける状況じゃないのは確かだな」

そのとき。

セラが、小さく口を開いた。

「……私の、復讐、

 ……手伝ってくれますか?」


「……!」

思わず、俺とレインは顔を見合わせた。

こんな幼い少女の口から出る言葉とは思えなかった。

「……何があった?」


セラは一度目を伏せ、ゆっくりと語り始める。

「私は、アマツカ山脈の近くの小さな村に住んでいたの。

「ある日……兵士たちが来て、村を焼き、村の人たちは……殺された」

「……お父さんも、お母さんも」

声が、わずかに震える。

「そのとき……“光の子を探せ”って、叫んでた」

「そのあと、水都エリシアまで逃げたけど、そこで奴隷商に捕まっちゃって…」

「そしたらここに売られたの」

光の子。

やはり、“光の魔術師”と無関係ではない。


「……許せないな」

レインの声に、怒りが滲む。

「俺も……親を殺されて、逃げ延びた」

「この子の気持ちは……分かる」

そして、俺を見る。

「なぁ、ヨウ」

「俺たちで復讐を果たすってのは……どうだ?」

(……レインも、そんな過去を……)

「レインのことも、落ち着いたら、ちゃんと聞かせてくれないか?」

「もちろんだ」


俺は頷き、セラへ視線を戻す。

「……わかった、一緒に行こう」

その瞬間。

セラの強張った表情が、ほんの少しだけ緩んだ。

復讐という因縁で結ばれた、3人。


その言葉を口にしたとき――

俺自身が、もう後戻りできない道を選んだことを理解していた。


俺たちはセラを仲間に加え、エルゼル討伐の報告をするため――

再び、パイオニアへと向かう。


俺たちがパイオニアへ到着したとき、すでにホライゾンの面々も戻っていた。

「おっ、やっと帰ってきたか」

ザックが腕を組んでこちらを見る。

「どうだった?」

「アウトライダースのヴィクター、そしてエルゼル――両名とも討伐完了です」

レインが静かに告げる。

「そうか……」

ザックは短く息を吐いた。

「マーカスとコールのところにも、ブレイクとレオがいた。どちらも戦死だ」

「実力者だっただけに、惜しい連中ではあるがな……」

そこへ、マーカスとコールが合流する。

「君たちの働きは十分に見させてもらった」

「今後、何かあればホライゾンも力を貸そう」

マーカスが俺を見ながらそう言ってくれたのだ。

それは、“認めた”という言葉でもあった。

「ありがとう。頼りにさせてもらう」

俺が答えると、マーカスはわずかに口元を緩めた。

「これでダークエルフの動きは止まった」

ザックが深く頭を下げる。

「改めて礼を言う。よくやってくれた」


レインが一歩前に出る。

「一つ、報告があります」

「建物に踏み込む直前、中からヴィクターと女が会話しているのが聞こえました。

 姿は見えませんでしたが……何者かと裏で繋がっている可能性があります」


「……そうか」

ザックはすぐにマーカスを見る。

マーカスは無言で頷いた。

「警戒を続けよう」

そのとき、ザックの視線がセラへ向いた。

「ところで、その子は?」

「ヴィクターの拠点で鎖に繋がれていたところを保護しました。セラといいます」

「……大変だったな」

ザックは優しく声をかける。

「何かあったら、遠慮なく頼れ」

「お前たちも、しっかり守ってやるんだぞ」

レインが照れたように笑う。

「任せてください」

「よし、せっかくだ」

ザックは大きく手を叩いた。

「祝杯だ! 3人とも付き合え!」


――こうして、ギルドは久しぶりの祝いの空気に包まれた。

酒と笑い声が飛び交う中、1人の女性が合流してきた。

「ミーナ!」

ザックが手を振る。

「ヨウ、紹介しよう。俺の秘書だ」

「よろしくお願いします」

「こちらこそ」

妖艶な微笑み。


――どこかで聞いたことのある声。

だが、その違和感はすぐに酒の喧騒に紛れた。

ふと視線を感じて振り向くと、セラがこちらをじっと見ていた。

だが、何も言わず、すぐに目を逸らす。

(……気のせいか)

宴は夜遅くまで続いた。


その夜、俺たちはレインの家に泊まった。

セラをベッドに寝かせ、俺とレインは床で横になる。


翌朝。

窓際に立つセラの背中が、朝日に照らされていた。

「おはよう、セラ」

「……ヨウ」

少し驚いたように振り返る。

「早起きだな」

「今日から旅が始まると思ったら、眠れなくて」

そう言って、少し照れたように笑う。

「強いな、セラは」

「怖かったけど……怒りの方が強かったから」

「それに……ヨウは、最初に見たときから他の人と違う感じがした」

一瞬だけ、表情が冷える。

「復讐できると思うと……少し、楽しみなの」

「……そうか」

その空気を破るように、レインが起きてきた。

「おはよー……」

3人で軽く食事を済ませ、パイオニアへ向かう。


ザックの執務室。

「旅に出るだと?」

「はい」

俺ははっきりと頷く。

「世界を知りたい。そして、もっと強くなりたい」

「……有望な若い芽が、次々と旅立っていくな」

ザックは苦笑しながら、机に向かい書類を書き始めた。

「……本当に行くんだな」

ザックはしばらく黙ったあと、ため息混じりに言った。

「惜しいと思わないわけじゃない」

「だが、止める気もない」

封筒を差し出す。

「これは紹介状だ。身分証代わりに使え」

「それから報酬も渡しておく」

封筒を差し出される。

「セラちゃんも、ここが帰る場所だと思っていい」

「ありがとう……おじさん」

ザックは笑った。

「無事に帰って来い。それだけでいい」

俺たちは深く頭を下げた。


こうして――


商業都市メルを背に、3人の復讐の旅が始まった。


――この旅が、やがて世界を巻き込む戦いへと繋がっていくことを。

このときの俺たちは、まだ知らなかった。


――――――――――――――――――――――――――

【陽】

種族:人間

称号:冥奪の眼保持者

加護:憎悪の神エルロキス

眼のレベル:Ⅱ


剣術:S

魔術:B++

弓術:E


魔法

 (ファイア)    火炎(フレイム)

 疾風(ブラスト)   暴風砕破(ストーム)

 回復(ヒール)

 隷従契約(サーヴァント)


技能

 毒操作(ポイゾナー)

 暗殺剣:Ⅱ


装備

 魔剣アルティエルン


―――――――――――――――――――――――――

【レイン・ミスティールス】

種族:人間/エルフ混血


剣術:B

魔術:A++

弓術:A++


魔法

 (アイス)   氷結(フロスト)

 (ウォーター)  洪水(フラッド)

 回復(ヒール)  状態回復(レスト)


―――――――――――――――――――――――――

【セラ・ルクシア】

種族:人間

称号:光の魔術師

魔術:B++


魔法

 光の雫(ライトドロップ) 光線(レイ)

 (ライト)

 (ホーリー)


ご覧いただきありがとうございます。

ついにセラが仲間に加わり、3人での旅がスタートしました。

それぞれが復讐という想いを抱えたまま、ここから物語は広がっていきます。

この先どうなっていくのか、ぜひ引き続き見ていただけたら嬉しいです。

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