第10話 メルへ帰還
少し遅い時間の更新になっちゃいました。
山賊討伐後、ギルドへ帰還する回です。
エルゼルについての話や、
新たなキャラも登場します。
メルの城壁が見えた頃には、すでに空は夜の帳に包まれていた。
街道沿いに並ぶ街灯が、石畳を淡く照らしている。
「……思ったより遅くなったな」
歩きながら呟くと、レインは肩をすくめた。
「初任務にしては派手だったからな。無事に帰れただけでも上出来だろ」
ギルドへ戻ると、建物の中はいつもより騒がしかった。
中央の円卓を囲むように、ザックと数名の冒険者たちが集まっている。
「戻りました」
声をかけると、重苦しい空気の中でザックが顔を上げた。
「おぉ、戻ったか!
2人ともよくやってくれた!」
さっきまで険しい表情をしていたザックだったが、俺たちを見るなり表情を緩めて立ち上がる。
「お前さんが期待の新人、ヨウだな?」
近づいてきたザックは、俺を値踏みするように一度だけ見てから、豪快に笑った。
「活躍はレインから聞いたぞ。
俺はこのギルドの代表、ザックだ。よろしくな」
「よろしくお願いします」
軽く頭を下げると、俺は周囲の空気の違和感に気付いた。
「……何かあったんですか?」
そう聞くと、ザックは腕を組んだまま低く息を吐く。
「今回の山賊討伐の件でな。少し厄介な話が出てきた」
レインが一歩前に出て説明を引き継ぐ。
「ダークエルフがいただろ。
あの件をザックさんに報告したんだが、実はここ最近、ダークエルフ絡みの依頼や事件がいくつも確認されてる」
「今回の件も、その流れの一部だと?」
「ああ、可能性は高い」
ヨウの問いにザックが頷きながら続ける。
「これまでに入ってきた情報と、今回のお前さんたちの報告。
どれも無関係とは思えん」
「しかも今回は、殺しにも関与しているのがはっきりした。
だからな――」
ザックの目が鋭くなる。
「これを機に、徹底的に調べる。
可能なら、元から叩き潰す」
俺は小さく息を吐いた。
裏で暗躍している連中が、かなり広範囲に被害を出しているらしい。
「そして――」
ザックが後ろに立っていた冒険者たちを指し示す。
「こいつらが今回の調査の主力になる、パイオニアパーティ《ホライゾン》だ」
その中から、一人の男が前に出てきた。
鍛え抜かれた体格。
落ち着いた眼差し。
ただ立っているだけで、歴戦の雰囲気が伝わってくる。
「ホライゾン隊長のマーカスだ。よろしく」
差し出された手に敵意はない。
「ヨウだ。よろしく」
俺は素直に握手を交わした。
「こっちはコールだ。俺のサポート役だ」
「コールです。よろしくお願いします」
丁寧な口調だが、魔力の気配は隠しきれていない。
【マーカス】
種族:人間
役職:ホライゾン隊長
剣術:S
魔術:B++
【コール】
種族:人間
剣術:S
暗殺剣Ⅱ
魔術:C
眼で2人のステータスを確認し、内心で舌を巻いた。
(……どっちも相当だな
コールって人の暗殺剣ってなんだ?
面白そうな技を持っているんだな)
「よろしく」
挨拶を返しながら、俺はさりげなくマーカスの剣技を観察する。
(せっかくだ……もらっておくか
ついでにコールって人の暗殺剣も…)
眼に熱が帯びる。
<剣術S コピー>
<剣術:A → S>
<暗殺剣Ⅱ コピー>
(悪くない)
小さく、心の中で笑う。
「自己紹介も終わったみたいだな」
ザックが場を締める。
「ヨウ。今回の作戦会議にお前さんも参加してもらいたい。構わないか?」
レインを見ると、彼は静かに頷いた。
「問題ない。実際に戦った本人の意見は貴重だろ」
「わかりました。参加します」
こうして会議が始まった。
過去にダークエルフが関与した事件――
強奪、奴隷売買、恐喝、拉致、違法薬物。
主に第三区の商業区が舞台になっている。
「ヨウ、お前が戦ったダークエルフはどんな奴だった?」
ザックの問いに答える。
「強敵でした。名前はエルゼル」
「剣、弓、魔法、どれも高水準。
俺とレインの2人がかりでも、正面からなら勝てなかったと思います」
「俺も実際に見たが、あれは厄介だ」
レインが補足する。
ザックは顎に手を当てた。
「……そこまでの戦力が裏で動いているなら、状況は深刻だな」
「ヘルディ家の監視がある以上、第三区への介入は簡単じゃない。
だが、ダークエルフだけでも排除できるよう、今は許可待ちだ。
下り次第、即動けるよう準備しておけ!
いいな、マーカス?」
「了解しました」
「その時はホライゾンだけじゃない。
ヨウとレインもマーカスの指揮下に入ってもらうが構わないな?」
「問題ありません。
実戦経験者は貴重だ。頼りにしてますよ」
マーカスも頷いた。
「うむ」
ザックは俺たちを見て力強く言った。
「ヨウ、レイン。頼むぞ!」
俺は小さく息を吸う。
(次に会う時は今度こそ――エルゼルを倒す)
「今日は解散だ!」
ザックの言葉で冒険者たちは席を立つ。
「おい、お前ら!」
去り際にザックに呼ばれ俺たちは振り返る。
「今日の依頼の報酬はエレンから受け取っていけ」
そうい言われ受付へ向かう。
「お疲れさまでした!
初任務、無事完了ですね!」
エレンが笑顔で声をかける。
「ヨウが予想以上に活躍したからな」
レインが軽く言う。
「こちらが報酬です!」
袋を受け取ると、エレンは続けて言った。
「それから……ザックさんの指示で、ヨウさんはAランクへ昇格です!」
「……早すぎないか?」
思わず呟く。
「今回の依頼はAランクだったんですが、
ザックさんレインさんとも話をしてSランクへと格上げされたんです。
その依頼を達成した力を見込んで昇格となりました!」
「この先も期待されてるってことでもありますよ!
頑張ってくださいね!」
(昇格はありがたい。
でもまさか一回の依頼でこうなるとは…)
昇格のありがたさと戸惑いがあったが受け入れることにした。
「今日はもう休もう」
レインの言葉に頷き、それぞれ帰路につく。
宿の場所を教えてもらい、別れ際にレインは言った。
「今度、うちにも来いよ。第一区だ」
「気が向いたらな」
そう俺は応えると宿へ向かう。
「部屋を借りたい」
「あんたがヨウだな?
ザックさんから聞いているぜ!
宿代は無料にしておくから好きな部屋を使いな」
(どうやらザックさんが口利きをしてくれたおかげで宿代を払わなくて済みそうだ。
感謝しないとな)
そうして俺は部屋に入る。
ベッドを見るなり、全身の力が抜けた。
「……今日はさすがに疲れた」
ーー初めての依頼
ーーエルゼル
ーー魔剣アルティエルン
一度に色々なことがあった日だった。
良くも悪くも収穫もあった。
(もっと力をつけないといけないな……
……明日は何しようかな…)
そんなことを思いながら瞼を閉じると、意識はすぐ闇へ沈んだ。
――新たな戦いが、すぐに始まるとも知らずに。
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【陽】
種族:人間
称号:冥奪の眼保持者
加護:憎悪の神エルロキス
眼のレベル:Ⅱ
剣術:S
魔術:B++
魔法
火 火炎
疾風 暴風砕破
回復
隷従契約
技能
毒操作
暗殺剣:Ⅱ
装備
魔剣アルティエルン
ご覧いただきありがとうございます。
ヨウ、まさかのAランク昇格。
そして新キャラはどう関わってくるのか。
次回もご覧ください。




