四十話:力試し(1)
「やほ〜。今日の午後の授業は、いきなり対魔物戦闘の練習をします!」
その一言を言った直後、教室にいるSクラスのみんなが息を飲む音が聞こえた。
正確にはみんなではなく、オレを含めた数人は反応を示さなかった訳だが。
推薦クラスということもあるし、多分魔物と戦った人もいるのだろう。
そんなみんなの反応を意に介さず、相変わらずのマイペースさで由紀先生は話を続ける。
「対魔物戦闘と言ってもほとんどの人が未経験だし、もちろんDランク迷宮でプロの人もつけて安全にやるよ。
こんな早くに迷宮に潜るのか、っていう人もいると思うから説明しておくけど、
この学校には6個のクラスがあるよね。
で、そのクラス全てが同じDランク迷宮に潜ろうとしたら当然混乱するじゃん?
だから、戦闘能力の高いS級から先に潜っていくんだ」
「先生、質問よろしいでしょうか」
そう言って手をあげたのは一番前の席に座っていた女生徒。
というか、顔整ってんな。
長めの黒髪、目や細かい部分はこの位置からは見えないが、横顔で美人と分かる。
オレなんかは、小学生の頃女子に軽くいじめられるレベルで嫌われていたのに。
……まあ、元凶アイツ(綾)だけど。
ちなみにオレの席は一番廊下側の前から二番目の席だ。
オレ的にはここが2番目にいい席だと思う。
一番は最後列の隅。ボッチ気質なのかも。
「良いですよ〜。えーと、楓さん」
「はい。質問ですが、なぜEランクではなくDランクの迷宮を使用するのですか?
Eランクが一番簡単だと思うのですが……」
「それは、Eランクの迷宮にはスライムと呼ばれるゲル状の魔物しか出てこないからだよ。
あれは魔石っていう魔物にとっての心臓がないし、倒し方がちょっとめんどくさくてね。
だから教えてから戦うんだけど、上位クラスはすぐ迷宮に行くし実力もある人が多いから。
わざわざEランクに行くよりもDやCに行った方がいいしね。
まあ、いざって時のために一応授業はするけど」
「なるほど。ありがとうございます」
宙の行動ターン!(昔のゲームにある、行動を選択するやつ)
何をしますか?
1、へー、スライムにそんな特徴があったんだ。低級魔物ダンジョンにしてよかったー(七話)。
2、楓っていうのか。いい名前だな〜(うっとり)。
3、声綺麗!いいな〜(うっとり)。
……実質1択じゃん。
流石にそこまでキモくはないぞ(うっとりを外せばそこまでキモくない)。
まあ、思ったのは事実だけど。
「じゃあ、早速レッツゴー!」
次回は多分明日中。
多分。




