其の弐 ちょっと待ったでござる!の巻
「次の勝負は何じゃ!ハゲ太夫!?」
ビシッ!
椿姫はひげ太夫に指差しながら、次なる対決を尋ねる。
だが勝負するのは当然ながら月影なのだが・・・。
「月影よ、お前も忍者なら忍術を使えるのだろう?ワシの妖術に比べれば、忍術なんて子供だましだと証明してやろう!」
「ほほう、できるかな?」
ひげ太夫の言葉に、椿姫はフフンと不敵な笑いを浮かべる。
「月影アレじゃ!アレをかましてやるのじゃ!」
「アレとは何でござるか?」
やれやれといった感じに月影がたずねる。
「分身の術じゃ!」
「なに!?分身の術だと?」
慌てるひげ太夫。
「なんじゃ、ビビッておるのか?」
「フン、・・・そんな訳なかろう」
そう言いながらも、ひげ太夫の額には汗がにじんでいる。
だが月影は都合が悪そうだ。
「ちょっと待つでござる。その・・・、分身の術は準備にちょっと時間が」
「心配するな、どうせヒマな身じゃ。待ってやると、心の広いハゲ太夫もそう言うておる」
「勝手に決めるな!」
「どうせ、お主もヒマなのであろう?」
「まあ否定はせぬが」
「苦しゅうない、楽にいたせ」
ペースは完全に椿姫に握られてしまっていた。
「それならば、しばし待たれよ・・・」
ドロン!
モワモワモワ~
煙と共に月影の姿が消える。
・・・待つこと30分・・・
ドロン!
モワモワモワ~
「待たせたでござる」
煙と共に月影が帰ってきた。
ガクッ・・・
戻ってきた月影が二人を見ると、トランプで遊んでいる。
「・・・何をしておるのでござるか?」
「またわらわの勝ちじゃな、さあ金を出せ!ハゲ太夫」
「くぅ~、またしても!なにかインチキをしているのではないか!?」
「インチキ臭い顔をしたソチに、言われとうないわ!」
「・・・あの~」
「なんじゃ月影、邪魔をするな!」
「・・・いや、帰ってきたんですけど」
「空気の読めぬヤツじゃの。もう少しでハゲ太夫の有り金を、全部巻き上げられるところだというに・・・。もう少し待っておれ」
「・・・はあ」
・・・さらに30分経過・・・
「はぅあ!有り金全て取られちまった・・・」
「ぬっふっふ・・・。甘いのう、ハゲ太夫」
「くっそ~、こんなはずでは・・・。こんな小娘に・・・」
「わらわに勝とうなど、百年早いわ!」
「むき~っ!」
「あの・・・、まだでござるか?」
「おぉ、待ったか月影?」
「当たり前でござる!帰るでござる」
本当に帰ろうとする月影を、あわてて椿姫がひきとめる。
「待て待て、冗談じゃ。さあハゲ太夫、最後のとどめは月影が刺してくれようぞ!」
ひげ太夫は完全に頭に血が上っている。
「冗談を申すな。貴様の忍術なんぞ、ワシが見破ってやる!」
「フフン、それはどうかな?」
椿姫がほくそ笑む。
「行くでござる!」
月影は再び鼻の前で人差し指と中指を立て目を閉じる。
「ナンジャラモンジャラ、ホニャラララ・・・」
ドロン!
モワモワモワ~
そこには二人の月影の姿があった。
「どどんんなな、ももんんででごござざるる」(音声多重)
「な、なにぃ!?」
月影の忍術を見くびっていた、ひげ太夫は焦りまくるのであった・・・。
つづく
スンマセン、全三話の予定でしたが少し増えます。
たぶん四、五話程度になると思われます。




