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其の壱 月影参上!の巻

むかしむかしのその昔

とある国に椿姫という、かわいらしいお姫様がおりました。


しかしその椿姫こっそり城を抜け出しては

城下の村を散策するのが大好きな、おてんばお姫様だったのです。

お城の爺やは、いつもヤキモキされっぱなし。

そんなある日のことでした。


「ひめ~、姫はどこじゃ!?」

今日は城下で村祭り

村の神社には子供達が集まっています。


「今日こそは絶対に逃がしませんぞ~」

またお城を抜け出して、お祭りに行こうと考えている椿姫を

爺やは今日こそ捕まえようと、待ち構えておりました。


しかし時すでにおそく

椿姫はもうお城を抜け出した後なのでした。


「うき~っ!月影はおるか?」

爺やがそう叫ぶと、どこからともなく返事がありました。

「ハッ、ここに」

「姫を、椿姫を連れ戻すのじゃ!」

「ギョイでござる」


「今日は城下で村祭りじゃ、姫はそちらへ向かわれたに違いない。村では最近、若い娘が行方不明になる事件が相次いでおるというのに、姫の身に何かあったら、爺は・・・爺は・・・」

そう言いながら、爺やはふと気が付きました。

「月影?」

声の主からの返事はもうありません。

「うき~!どいつもこいつも」

ジダンダをふんで悔しがる爺やの声が、お城の廊下にいつまでも響くのでした。



「フンフンフ~ン♪」

ごきげんで城下に向かう林道のあぜ道を行く椿姫。

「そこのお嬢さん」

とつぜん椿姫を呼び止める謎の声。

「フンフンフ~ン♪」

椿姫は止まりません。


「ちょっと、そこのお嬢さん」

「わらわは、知らぬ者と話はせぬ」

呼び止める声を無視して椿姫はズンズン進みます。

「そこのかわいいお嬢さん」

「わらわの事か?」


椿姫が立ち止まり声のほうをみると

ヒゲもじゃのオッサンが立っておりました。

「おぬしは誰じゃ?」

「拙者は、ひげ太夫だゆうと申すものです」

「ほほう、ハゲ太夫がなんのようじゃ?」


「・・・いや、ひげ太夫」

「ハゲ太夫?」


「ひげ」

「ハゲ」


「はげ」

「ヒゲ・・・、はっ!?」


「わざとでござるな」

「ばれておったか!やるのハゲ太夫!」


「ゴホン、仕切りなおそう。椿姫とお見受けいたす」

「これほどかわいい姫が椿姫でなくて、どこの姫であろう」

「・・・・・」

「して、この椿姫になんのようじゃ?」


ドロン!

モワモワモワ~


「けほっけほっ」

突然辺りを包む煙に椿姫は咳こんでしまいます。


「おぉっ!」

煙が晴れて現れたのは巨大なガマガエルに乗った、ひげ太夫でありました。

「やるの!ハゲ太夫!」

椿姫はその姿に興奮しております。

「椿姫さらわれて頂きます」


「いやじゃ!最近城下で娘がさらわれるという噂の黒幕はそちであったか」

「いかにも。若い娘を売りさばき、悪事を働いておるのは、このワシでござる」

「ぬぬぅ、ただの通りすがりのハゲではなかったのか」

「正体を明かした以上は、無事には帰らせませぬぞ、椿姫」


自信満々のひげ太夫の言葉に、フフンと鼻を鳴らす椿姫

「さて、それはどうかな?月影、月影はおるか?」

椿姫は空に向かって大きく叫びます。


その時でした。

「そこまででござる、ひげ太夫!」

「誰じゃ?」


ドロン!

モワモワモワ~


「げほっげほっ・・・」

どこからか自分の放った煙にむせながら忍者があらわれました。

「誰が呼んだか正義の忍者、その名を月影ただいま参上!」

「誰が呼んだかって、わらわに決まっておるわ」

シリアスに決めたつもりの月影に椿姫が言い放つ。


「ひめ~、またでござるか?」

「またかとはなんじゃ?」

「爺やがオカンムリでござるよ。さあ帰りましょう」

「イヤぢゃ!」

「姫がそんなワガママばかりだから、爺やは胃痛、胸焼け、痛風が直らないんですよ」

「大丈夫じゃ、くたばりはせぬ!」


「まてまて~、ワシを無視するな!」

ひげ太夫が慌てて二人の間にわって入ります。

「なんじゃ、まだおったのかハゲ太夫」

「ひげ太夫だし!まだ言うか!?」


チーン!


とその時、ひげ太夫の顔を見て椿姫はひらめきました。

「そうじゃ、いい事を思いついたぞ!」

嫌な予感がする月影・・・。

「ハゲ太夫とやら、月影と勝負じゃ!そちが勝ったら、さらわれてやろう」

「なんですと~!?」


おどろく月影をほったらかしてノリノリの椿姫とヒゲ太夫。

「ホントによいのか?」

「よいよい」

「ダメダメ!」

「ほれ月影もノリノリじゃ」

「ノリノリではござらん!」


「何で勝負すればよいのだ?」

「そうじゃな・・・」

月影を無視して二人は話を進めていきます。


「よし!そちの大ガマガエルをうち負かしてやろう」

「ほほ~、できるかな?」

「よし月影、大蛇のサダキチさんを呼び出すのじゃ!」

「またそんなムチャ振りを・・・。サダキチさんは、暴れん坊でござるよ」

「そんなことは百も承知じゃ、そのうえでカッコイイ月影を見せてたもれ」

「カッコイイったって・・・」

月影はいつもの椿姫のムチャ振りにげんなりです。


「行こうか、ハゲ太夫とやら」

「ですな、行こう行こう」

「ちょっと待った!わかった、わかったでござるよ!」

とうとう観念した月影。


「え~い、後の事は知らんでござるよ」

そういうと月影は鼻の前で人差し指と中指を立て目を閉じる。

「フンジャラモンジャラ、ホニャラララ・・・」


ドロン!

モワモワモワ~


突然の辺りを包む煙、その中から白い大蛇サダキチさんがあらわれました。

「おぉ~、でかしたぞ月影」

ヒゲ太夫の乗っていた大ガマガエルは、その姿をみて一目散に林の中へと逃げていきます。

「むむ~!」

その勢いでガマガエルから振り落とされたヒゲ太夫は悔しそうです。

「どうじゃ、見たか!ハゲ太夫」

椿姫はご満悦です。

その姿を遠めで見ていた月影も、やれやれといった感じでひと段落。

その時でした・・・。


カプッ!


月影の頭をサダキチさんがひとかぶり。

「おぉ!月影」

「ん?」

「・・・サダキチさんに、食べられておるぞ」

「なんと!」


ドロン!


再び煙が辺りを包みサダキチさんは消えました。

「ふ~危ない危ない、危うく食べられるところだったでござる」

月影は額からプシューと血を噴出しながら、ほっと一息。


「危ない危ないというわりには、大丈夫ではなさそうなのは気のせいなのか?」

月影を心配するひげ太夫に、椿姫が答える。

「大丈夫じゃ、なぜならば・・・」


ドーン!

「月影だから!」

「・・・説明になっておらんぞ」

ひげ太夫を無視して、椿姫はご満悦。


「でもまあ勝負は、わらわの勝ちじゃ。さらばハゲ太夫、お主との思い出のひと時は忘れまいぞ!」

そう言いながら、立ち去ろうとする椿姫。

ひげ太夫は慌てて引き止める。

「ちょっと待ったぁ!」

「なんじゃ?」

「勝負は三番勝負と、相場が決まっておる!」


椿姫の眉がピクッと動く。

「受けてたつ!・・・月影が」

「なにぃ!?」


驚きつつも呆れる月影を蚊帳の外に、勝負はさらなる展開を迎えるのだった・・・。



つづく



連載中のマブイ【魂】プロジェクトがコッテリコテコテなので、サッパリしたものが欲しくなって書いちゃいました。

良かったら、そっちもどうぞ!


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