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神様とカッコウとの対話

「おやおや、今度は、鳥のカッコウがやってきたぞ。」

「おはよう。神様、カマキリと対話したとききましたよ。」

「カッコウ君、それを誰から聞いたのかね。」

「もちろん、カマキリ君です。」

「もしかして、きみは、そのカマキリを食べてしまったかね。」

「もちろん、おいしく頂きました。」

「そうか、それも、世の習いでもある。しかたのないことだ。すべてのカマキリが生き残ることはできないのだ。また、来年、あたらしいカマキリが、何万匹、何億匹と生まれだすのだ。」

「そのカマキリ君がいうには、自分が、他の昆虫をたべるのは、カマキリの兄弟がたくさん生まれて、それらが、他の動物に食べられるので、カマキリの命と引き換えに、なっているので、問題ないといっていました。」

「そうだ。それは、わしが教えたことだ。」

「ところで、神様、私たち、カッコウの場合は、どうなんでしょう?」

「わしは、カッコウの神様でないので、詳しいことはわからんが、カッコウにも、ちゃんと神様がいるぞ。」

「わたしたち、カッコウにも神様がいるんですか?」

「もちろんじゃ。この世界のすべては、根源的神様の意思の中で誕生しているのだ。根源的神様は、霊的世界の中心にあり、この宇宙を含む広大な世界の中心をなしている。人間が現在観察している大宇宙も、霊的世界の中からみれば、ほんの一角の世界だ。その大宇宙を存在せしめている広大な霊的世界は、この大宇宙より広大で、すべてのものを支える神様群がいる。カマキリの神様も、ひまわりの神様も、カッコウの神様もいる。でないと、その存在は維持されないのだ。非常に単純なことだが、物質には、引力があるので、それだけだと、すべてのものは、1点に集まって消滅してしまう。物質を構成する原子は、プラスとマイナスの電気をもつ、陽子と電子、中性子で構成される。陽子は、プラスの電気の集まりなので、陽子同士は、反発して、結合できないはずだが、現実には、結合して、原子核となしている。そこで、現代物理学は、この陽子同士を結合させているなんらかの力があるはずだと考えている。それを、現代物理学は、強い力の存在を考えているが、その解明はまだ、これからじゃ。わしに言わせれば、霊的世界の力で、それを管理している神様がいるのじゃ。」

「なんだか、難しいことになってきてしまいましたね。とにかく、わたしたち、カッコウにも神様がいるということですね。」

「そうだ。」

「でも、ひとつ疑問があるんです。わたしたちカッコウは、子育てをしないで、他の鳥に子育てしてもらうんですが、その時、その鳥の赤ちゃんをその巣から放り出してしまうんです。どうして、わたしたち、カッコウは、自分で子育てをしないで、他の鳥に子育てをしてもらうことになったんでしょうね。」

「たしかに、それは、不思議なことだ。詳しいことはカッコウの神様が知っていると思うが、今は、ここにいないようなので、わしの考えを述べてみよう。これは、単純な進化論で、説明はできないぞ。なぜなら、カッコウが、効率よくいきるために、託卵というシステムが成功するか、どうか、長い年月をかけて証明して生き残るという戦略は、あまりにも、無謀すぎる。成功するかどうか、わからないものを無闇に実験して、たくさんの成功例を積み上げるということは、無謀だし、それほどの冒険をして、種の存続を計るということ事態馬鹿げている。」

「そうですよね。今は、このシステムが成功してカッコウが生き残っていますが、このシステムがない状況から、このシステムが生み出されるには、なんらかの協定、保障のものがあったと思います。」

「そうだな。カッコウの神様と托卵するオオヨシキリの神様やホオジロ、モズの神様となんらかの話し合いがされて、その生き残り戦略が決定された。くわしいことがわからんが、カッコウ族の絶滅の危機を救う手段として、オオヨシキリやホオジロ、モズが、自分たちの生存の一部を犠牲にして、托卵を引き受けてくれたのかもしれないな。もしかすると、逆に、カッコウ族が、オオヨシキリやホオジロ、モズの絶滅や危機を救う功績があって、その功績故の托卵かもしれん。わしは、人間の神様なので、鳥族の神様ではないので、詳しいことはわからん。いつか、鳥族の神様に話を聞く機会があったら、その辺の事情を聞いておこう。」

「そうですか、よろしくお願いします。」

「すべてのシステムは、根源的な神様の霊的生命エネルギーの力の中で、生かされて、調和を目指して進んでいる。その中で、人間は、より高度な進化をするためのトレーニングを受けている。しかし、なかなか、地球全体を調和し、この途上で作り出した地獄を解消するのは、もうしばらくの時間が必要だ。」

「カッコウよ。お前達がなにか、悪いわけではない。そのようなシステムの中で、その役割があたえられたのだ。気にすることはない。いままで通りいきればいいのだ。」

「そうですね。そして、私たちのちょっと変わった生き方で、人間達の理解を混乱させるのも面白いことですね。」

「そうだ、そうだ。お前達の役割がすこしわかったきたぞ。その世界は、適者生存、弱肉強食という風にも考えられているが、自分たちの生命を犠牲にしても、他の生命を生かすシステムが神様によって、与えられていることを、人間に教える役目があるのかもしれないな。」

「それは、カッコウの話ではなくて、オオヨシキリやホオジロや、モズの話です。それを、かれらには、教えないでくださいね。かれらが、現在のシステムに疑問を持つようだと、私たちの現在の戦略が頓挫して、カッコウ族の絶滅になってしまいますから。」

「そうだの。この話は、内緒にしておこう。」








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