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「母上、私がローラに何か提案をすると、彼女はいつも母上の意見を聞いてからと言うんですよ」
「まあ、奇遇ね。私もローラと何かを決めようとすると、あの子はあなたに相談してからって言ってくるわ」
『‥‥‥』
「ケリー、いつもあの子の側に居る、あなたはどう思う?」
「はい、僭越ながらローラお嬢様はお二人の気持ちを先回りなさっておいでなのだと思いますわ。これまでお二人は互いをとても大事になさっておいででしたから」
「それは…私がマザコンだと世間に言われる程か?」
「ええ…そのように思います」
「ジムも同意見か?」
「はい…私もそのように思います」
「あらブランドン、あなたマザコンだったの?気持ち悪いわねぇ」
『‥‥‥』
「あぁ、ノアは…お前の意見はいいわ」
「えっ!公爵様、それはヒドイです!でもローラ嬢はとても面白い令嬢だと思いますよ。ずっと見ていても飽きません。冷静なのにひどくポンコツです。そこが可愛い」
「ノアはローラの専属を外すといいわ」
「え〜っ!!ロージィ様!自分だけドン引き発言しておいて、それは無いです!別にローラ嬢を恋愛対象で見ている訳でも、公爵様から奪おうとも思ってないですから!」
「でもローラがお前を好きになったらどうする?!」
「それもないと思いますよ?近頃では私の事を“女の敵”であるかのように見てきますから」
「そうかそれは正しい判断だな。だがローラは確かに、とても可愛いからな」
「そうね。キャパを越えた時に故障するポンコツな様が、かなり可愛いわね」
「母上、私はまた女性が家門を継げる法案を、皇太子殿下に出そうと思います」
「それは良いアイデアよ。そしたら我が家も女系になっても安心だわ」
「ええ我が友人達も安堵すると思います。そしてローラの実家の伯爵家も」
「皇家もよ。皇太子殿下の兄妹も妹殿下だけだし、皇太子殿下の産まれたばかりのお子さんも皇女殿下だから」
公爵家に移り住んで五ヶ月が経つ頃
「そうだローラ、次の学園の休みの日、一緒に皇城に行ってもらえないか?」
「はい。構いませんが、何か私が必要なご用件が?」
「ああ。私の上司がぜひ君に会いたいって言っていてね」
「ブランドン様の上司…」
「うん上司。私の従兄弟でもあるんだけど」
やっぱり皇太子殿下ー!!
「ロージィ様もご一緒されますか?」
「えっ?何で母が?」
あ〜そうか職場では、マザーの出番は無いんでしたわね。
「いえっ承知致しましたわ。でもロージィ様にはご報告しておきます。お茶会の予定があったかもしれませんので」
「そうか…でもこっちを優先してくれよ」
そりゃあ、お相手は皇太子殿下ですから!!
「ええっ?次のお休みは、午前はあなたのドレスを作って、午後は付き合いのある貴族を呼んでお茶会にしようと思ったのに」
やはり、そう仰ってましたわよね〜。
でもこっちのお約束は皇太子殿下なのです。
「全く、あの子はこっちの都合を考えないんだから!でもあの仕事人間が、毎日、帰って来て屋敷で夕飯を食べて、朝はあなたと通勤するようになったのは驚きだわ」
そう言ってマザーが笑うのだけど、私、頼んでないですけど!
でもここに来てから結構経ったけど、マザーと公爵様、互いの溺愛ぶりを、最近はあんまり見ていないわね?
でも油断は禁物だわ。
「じゃあローラ、勉強頑張って」
「はい。ブランドン様もお仕事頑張って下さいませ」
「ああ。そうだローラ、今日は刺繍の提出期限だろう?大丈夫か?」
「もうそれは期限前に提出しましたわ」
「そうか、でも明日は詩の朗読だろう?」
早く仕事行けっ!
なんだか公爵様の私への過保護が始まってきた気がするわ。
なんで私の宿題や期限まで知ってるの?
だけどその後、学園では、公爵様と上手くやっているように見える、私に対する高位貴族の令嬢達の嫌がらせのようなものが始まったの。
歩いていると足を引っ掛けられたり、食堂で水をかけられたり、わざと廊下でぶつかられたり…。さすがに物を取られたりは無いけど。
「ローラ、持ち物に名前を書くのはいいと思うけど…それは無いと思うわ」
「でもコレのお陰で盗まれたりしていないと思うのよ」
「確かにそれは一理あるわね」
ローラは教科書など全ての持ち物に“公爵家からの支給品です。定位置から無くなれば騎士団が出ます”と書いている。
さすがにペンや小さい物は無理だが。
脳内、低容量でもそんな低レベルの嫌がらせは、低フィルターにも引っかかる。それに運動服や制服、布系の物には公爵家の紋章を全て見える所に縫い付けた。つまりそれらを捨てたり故意に汚したら公爵家にケンカを売ったことになる。
だからせいぜい嫌がらせも水をかけられるくらいだわ。
水なら乾いたら跡が残らないしね。あとはわざと聞こえるような悪口もある。
「弱小伯爵家のクセに、もう公爵夫人気取りね」
「多産系しかウリがないから必死よね」
「そうよ。しかも意味のない女系よ?あんな子を選ばなくても良いのにねぇ」
あなたも、その意味のない女に生まれているわよ?と言ってあげたい。
でもそんな事よりも!
「ねぇっあなた方!だったら私と婚約者を代わって下さらない?私、三日後にとうとう皇太子殿下に紹介されてしまうのよ。そしたらもう交代出来ないでしょ?!」
私は真剣な提案だったのに、令嬢方は驚きの形相で逃げて行ってしまったわ。
その後も悪口が聞こえたら、提案してみたのだけど皆、逃げて行ってしまったの。
彼女達は一体、何がしたかったのかしら?




