Ep.8 不思議な生物
リュウガ
「『六天魔族』…!?
何だそれ…?」
ソラ
「…前に噂で耳にしたことがある。
魔王軍の中でも最強格の6人の魔族だって。」
リュウガ
「なんでそんな奴がここに…!?」
エリアス
「ッ、来るよ!!」
エリアスは2人にそう言う。
その直後、グリューエンは手から炎の波を繰り出した。
すぐさま横に避け、体勢を整える。
リュウガ
「お前が…俺の村を滅ぼした…!!」
リュウガは炎にも負けじと突き進む。
拳を引き、グリューエンのほうに目掛けて勢いよく突き出した。
グリューエン
「この俺に歯向かってくんのか?」
彼はリュウガの姿を嘲笑うようにそう呟く。
リュウガ
「はあぁぁッッ!!!」
思いっきり拳をグリューエンの身体に打ち付けた。
グリューエン
「…おいおい。
今のが本気か?」
彼は平然と佇んだまま、目の前のリュウガにそう話し掛ける。
リュウガ
「…は?
無…傷…?」
グリューエンはゆっくりと剣を構えた。
2人の様子を見ていたソラが、彼のその動きに気付いた。
ソラ
「…!!
リュウガ、逃げてッ!!」
リュウガはその声に我に返った。
すぐにその場を離れる。
その直後、彼の眼前を凄まじい炎の斬撃が掠めていた。
グリューエン
「外したか…
ったく、ここで死んで欲しかったんだけどな。」
グリューエンはまた剣を下ろした。
リュウガ
「クソが…舐めやがって!!」
彼はまたグリューエンの方に向かっていく。
ソラ
「リュウガ!!ダメだって!!
早く逃げよう!?」
しかし、そう言うソラとエリアスの周りにも魔族が集まり始めている。
ソラ
「エリアスさん!
どうすんの!?
前みたいに戦ってよ!!」
エリアスは何も答えない。
ソラ
「なんで!?」
エリアス
「……」
魔族
「へへ…こいつがあれば…」
その魔族はゆっくりと白い生物に腕を伸ばす。
その手が触れようとした、その時だった。
エリアスの手が、突如としてソラの目を遮った。
ソラ
「!?
何っ!?」
その直後、眩い閃光が森の中に走った。
魔族達は光を真に受け、目を押さえながら呻く。
魔族
「うぁ゙…ッ…
何だ…この光は…!!」
グリューエン
「チィ…何が起こった…!!」
エリアスはソラの手を引き、そしてリュウガの方にこう言う。
エリアス
「リュウガ!!逃げるよ!!」
リュウガ
「はぁ!?でもこいつらは…」
エリアス
「いいから!!
この子が作ってくれた隙なんだよ!!」
エリアスはソラの腕に抱えられた、例の小さな生物を指差しながら言った。
リュウガ
「っ……仕方ねぇ…」
リュウガはエリアス達の方に戻り、そのまま三人は森の外へと走っていった。
─────
ホーリッドまで戻った三人は、息を切らしながら立ち止まった。
エリアス
「何とか…逃げ切れたね…」
ソラ
「にしても…さっきの光は…?」
リュウガ
「そいつが作ってくれた…って言ってたが、」
エリアスは二人の言葉を聞き、こう答えた。
エリアス
「あれね。
この子がどうやら助けてくれたみたいなんだ。」
そう言って、彼は白い生物を見る。
先程のあの光を放ったからなのか、ソラの腕の中で眠っている。
リュウガ
「そういう事だったのか。
ありがとよ。」
ソラ
「とりあえず…この子はどうする?
あの魔族達に追われてたよね…?」
エリアス
「難しい所だね…
…まぁ、とりあえず元の飼い主が分かるまでは僕らが預かっておけばいいんじゃない?」
リュウガ
「おいおい…そんなんでいいのかよ。」
ソラ
「大丈夫だよ多分。
この子、私達に懐いてくれてるみたいだし。」
そう言って、彼女は白い生物の頭を撫でる。
エリアス
「この子の呼び方考えない?
一旦僕らが付けた名前ってことで。」
ソラ
「なるほどね!いいんじゃない?」
リュウガ
「ウサギみてぇな見た目だ。
それに因んだ名前を付けてみてもいいかもな。」
ソラ
「でも急に言われたって思いつかないなぁ。」
各々が頭を悩ませる。
3人がそうしていると、不思議な生物が目を覚ました。
周りを見て、少し安心したような仕草を見せる。
ソラ
「あれ、起きたんだ。
大丈夫だよ。
さっきは助けてくれてありがと。」
リュウガ
「こいつ俺らの言ってること分かってんのか…?」
不思議な生物はソラの腕を離れた。
笑って少し飛び跳ねている。
ソラ
「分かってるみたい。」
リュウガ
「本当かー?」
2人はそう話していた。
その時、エリアスが少し呟く。
エリアス
「…『エリーゼ』。
どう?良くない?」
ソラとリュウガは感心したような表情を見せた。
不思議な生物も目を輝かせている。
エリアス
「決まりだね。
エリーゼ。
それが今日からの君の名前だよ。
それじゃ、よろしくね。エリーゼ。」
その名を聞いた不思議な生物───
エリーゼは飛び跳ねて、喜ぶような仕草を見せた。




