Ep.6 炎の魔族
リュウガ
「最近、この周辺の地方に現れては人里を燃やしていく恐ろしい魔族だよ。
エリアスはあいつを追ってるのか。」
エリアス
「これ以上被害を出さない為に…って思ってたんだけどね。」
エリアスの声が暗くなる。
リュウガ
「…仕方ねぇよ。
起きちまった事は後悔しても遅い。
とりあえず、同じ奴を追うなら協力しねぇか?
立ち話も何だし、ホーリッドの方に行こうぜ。」
エリアスは彼の言葉に頷き、ソラと共にホーリッドへと戻った。
─────
宿屋。
リュウガ
「…かなり調べてたみてぇだな、お前。」
リュウガは机の上に広げられたメモ達を見ながらそう言う。
リュウガ
「まとめるとこうだ。
その姿を実際に見た者はおらず、
神出鬼没に現れては、
魔法を使って爆炎を操る。
…やっぱ、魔族で間違いなさそうだ。」
エリアス
「…これからどう探すかだね。
火事に紛れて行方を眩まされた。」
ソラ
「…それなら、」
ずっと二人の会話を聞いていたソラが口を開いた。
ソラ
「あの村に入った時、何か恐ろしい気配がした。
なんか、禍々しい魔力って言うか…
多分、その魔族はまだあの森に居ると思う。」
リュウガ
「へぇ、魔力に敏感なのは流石は魔法使いだな。
じゃあ、ソラの言う通りあの森をまた探すとするか。
つっても今日は遅いし、明日にでも行こうぜ。 俺は野宿でもするよ。」
そう言ってリュウガは宿屋の扉を開き、夜の町に消えていった。
エリアス
「僕らも明日に備えて寝よう。」
ソラ
「分かった。」
─────
次の日。
森の入口付近で三人は集合した。
エリアス
「ソラ。昨日感じたって言ってた魔族の気配はする?」
ソラ
「ここからはあんまり分かんないけど…
でもやっぱり、不穏な空気感を感じるって言うか…」
ソラは少しばかり気分の悪そうな顔をする。
エリアス
「大丈夫?気分悪そうだけど…
全然宿屋で待っといてもいいよ?」
ソラ
「ううん、私も行きたい。
一人で待っとくのも嫌だしね。」
顔を上げ、ソラは笑顔を見せた。
リュウガ
「無理はすんなよ。
それじゃ、行こうぜ。」
リュウガが先行し、三人は森の中に入った。
─────
前日の村の跡地に来た。
やはり人の気配はせず、少し重苦しい空気が辺りに広がっている。
リュウガ
「さて…着いたはいいが、どうやって例の炎の魔族を探すか。」
リュウガは辺りを見回し、木々の奥を見るように目を凝らしてみる。
エリアス
「…流石に目視では見えないよね……」
エリアスは苦笑してそう呟いた。
ソラ
「魔力の痕跡でもあればそこから辿れるんだけどね…」
リュウガ
「魔力の痕跡ねぇ…
焦げた木に残ってたりとかは?」
ソラ
「ううん、もう時間も経っちゃってるから…」
リュウガ
「どうしたもんかねぇ…
…あいつらの仇討ちも、こんな調子じゃ出来ねぇよ。」
彼は右手を強く握り締める。
その時だった。
リュウガ
「…ソラ、後ろだ。」
ソラ
「ん…?」
ソラはその言葉を聞き、ゆっくりと後ろを向く。
と同時に、後方から何かが近付く気配がした。
ソラ
「え…何…?」
物音と共に、何かの影が飛び出してきた。
ソラ
「また魔物…!?」
ソラはその場から離れ、エリアス達の所に寄る。
エリアス
「…魔物ではなさそうだ。」
見れば、それは白いウサギのような生物だった。
しかし、垂れた両の耳の先に黄色の模様が付いており、また背中には青い宝石のような物があった。
リュウガ
「ウサギ…?
でも見たことねぇ種類だ…」
ソラ
「可愛い…!
けど、なんか不思議な子…
それに…
怯えてる…?」
そう言いかけた直後。
森の奥の方から、衝撃波にも似た突風が吹いてきた。
同時に轟音が鳴り響く。
三人は無言で驚いたような顔をする。
互いの顔を見合った直後、轟音の方向を見る。
その方向には、炎の波が上がっていた。
リュウガ
「!!!
行くぞ二人とも!!」
エリアス
「『炎の魔族』…!
また被害が出る前に!!」
ソラ
「待って!!二人とも!!」
ソラは駆け出そうとする二人を引き留めた。
リュウガ
「なんだ!どうした!?」
ソラ
「この子…どうすればいいかな?」
白い生き物は先程の轟音に怯えてしまったのか、ソラの腕の中で丸くなっていた。
エリアス
「怯えてるか…
だったら、住処に戻してあげるまではしばらく僕らが見よう。
その子も連れていく。」
ソラ
「じゃあ私が抱えとく。」
エリアスとリュウガは彼女の言葉に頷く。
そしてその直後、三人はすぐにその方へと駆け出した。
─────
炎は前日のものよりも格段に燃え盛っていた。
黒い煙と灰の匂いが鼻を刺す。
エリアス
「…酷い有様だな。
さっさと例の魔族を見つけないと。」
炎の間を縫うように進み、その中心へと歩いていく。
汗が首筋を伝う。
肌が焼け付くように暑い。
リュウガ
「恐らくこの辺だが…」
辺りは炎で包まれており、やはり何も見えない。
エリアス
「魔力を隠してるかもしれない。ソラは特に注意してて。」
ソラ
「そうは言っても…」
ソラはそう言って辺りを見回す。
炎が生きているかのように蠢き、火花を散らしている。
ソラ
「不気味な感じがする…早く見つけないと。」
炎は留まる所を知らず燃え広がり続ける。
その場でじっとしていれば火だるまになってしまうだろう。
死との隣り合わせに恐怖を感じながらも、ソラ達は魔族を探し続けるのだった。




