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Gestalt 〜魂のカタチ〜  作者: どこぞの暇人
Chapter.1 《記憶》のカタチ
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Ep.5 焼け焦げた森

ソラはその後、一日中消火活動に参加し続けた。

夕方前には火はほぼ消えたものの、鬱蒼と茂っていた森の木々は今や見る影も無い。


結局、夜になってもエリアスの姿は見当たらなかった。


やっぱり、あの森から出てきた人が言っていたのはエリアスだったのだろうか。



そして、次の日。


ソラは居なくなったエリアスを探しに森へと向かった。

まだ所々で黒い煙が立ち込めており、地面には灰と化した木の枝や幹が落ちている、


ソラ

(エリアスさん…まだ森の中にいるのかな。)


そんな事を考えながら、ソラはしばらく歩き続けた。

森の中央くらいまで来ただろうか。


彼女は少し開けた場所に出た。


同時に、焦げ臭い匂いが強くなったのを感じる。

どうやら火元へと近付いてきているようだ。


少し進むと地面が坂になっていた。



そしてその坂の先には、多くの屋根の無い焼け焦げた石の建物があった。


ソラ

「何だろう、これ…

遺跡でもなさそうだし、村か何かなのかな?」


ソラは坂を下り、建物へと近付こうとした。

その直後、彼女の前に出した片足が止まる。


空気が突然変わった。

肌に刺さるような不快感と、悍ましい程の悪寒が走る。


魔力。


魔力の気配に人一倍敏感なのは、魔法学院生時代の時からだ。

半ば本能にも近いその感覚が、必死に身体の中で警鐘を鳴らしている。


"この先は危険だ"と。


今まで感じた事の無い程の絶大な魔力。

人間が遠く敵わない、『格上の種族』のもの。



『…バーンドロウの近くでも魔族の動きが活発化してきたらしいな。』



町の人が話していた内容が脳裏によぎる。


この先には行けない。

怖い。


ソラが立ち竦んでいた、その時だった。



「あれ、ソラじゃん。」


どこかから声がした。

穏やかで陽気なあの声だ。


周りを見回す。

そして、彼女は後ろに立つ人を確認した。


その人物は、エリアスだった。


ソラ

「エリアスさん!!」


エリアス

「ごめんごめん、思ったより私用が長引いちゃって。」


彼はそう言って申し訳無さそうに頭を軽く下げる。


ソラ

「凄い火事があったけど…大丈夫だったの?」


エリアス

「え、あぁ、昨日のね。

大丈夫だよ。森の奥はあんまり燃え広がってなかったから。」


彼はそう言って身なりを見せる。

煤も焦げも付いておらず、どうやら火事には遭ってはいないようだ。


ソラ

「よかった…

でもずっと心配だったんだよ…?」


エリアス

「ごめんって。

まぁ無事な訳だしさ、いいじゃん。」  


彼は笑ってそう言った。


エリアス

「とりあえず、ソラは町の方に戻っといてよ。

僕はもう少し調べたい事があるからさ。」


ソラ

「え、ちょっと待って…

さっきから、この先の方に嫌な感じの気配がしてるの。


…エリアスさんも一緒に戻ろうよ。」


ソラは目を伏せながらそう言う。


エリアス

「え?そうなの?

僕ソラみたいに魔法使いじゃないから分からんなぁ…


まぁ、夜前には戻るよきっと。」


そう言って、エリアスは森の奥へと歩き出そうとする。


ソラ

「あ、ちょっと、」



しかし、その時だった。



「誰だ?俺らの村に土足で踏み入る奴は。」


どこかから声がした。


エリアスは足を止め、辺りを見回す。


ソラ

「え…?誰…?」


「…人かよ。ったく、魔族かと思ったぜ。」


その声は瓦礫の陰から飛んできているようだ。


エリアス

「…そっちこそ誰だい?」



すると、エリアスの目線の先に人影が揺れる。


継ぎ接ぎの服。

赤い眼に、指先には鋭い爪がある。


ソラ

「え…

ま…魔族…?」


その姿は、昔本で見た魔族の姿そのものだった。


「はぁ?俺を魔族呼ばわりかよ…

災難続きだぜ、全く。」


ソラは震える手で、彼に杖を向けた。

しかしそれをエリアスが制止する。


エリアス

「敵意は無い。大丈夫そうだよ。


…僕も話が聞きたい。まずはお互いに自己紹介といかないか?」


エリアスは軽い口調でそう持ち掛けた。


エリアス

「僕はエリアス・アーシェン。

訳あってここら辺で調べ事をしてるんだ。」


「じゃあ、俺も名乗り出るとするかね…

『緋本 龍牙(リュウガ)』。


ここの村に住んでる。」


リュウガはそう言って辺りを見回す。


リュウガ

「…今は村と呼べるかすら分からねぇ状態になっちまったが。」


エリアス

「…災難だったね。」


声のトーンを低くして彼は応える。


リュウガ

「んじゃあ最初の質問に戻らせてもらうが…


お前はここで調べ事をしてるんだな?」


エリアス

「あぁ。

彼女は…まぁ僕の連れ人みたいなものだよ。」


そう言ってソラの方を向く。


ソラ

「あ、えーと…

明星 ソラって言います。」


リュウガ

「ふーん。

…怪しい奴ではあるが、まぁ魔族じゃなさそうだな。」


彼は二人を訝しげに見ながらそう呟いた。


エリアス

「魔族って事は…


リュウガ。昨日魔族を見た?」


エリアスはそう問いかける。


リュウガ

「見たっつーか…

まぁその感じなら知ってそうだな。


見たよ。例の『炎の魔族』。」



ソラ

「『炎の魔族』…?」

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