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47.どうしてこうなった






「…え、誰?」

 見知った第二の自室にて。

 黒髪黒眼の日本人的な容姿の女児がそこにいた。

 女児と言っても、私よりも少し年下かなって程度。

 何より驚くべきは、私と瓜二つのその顔。

「…?」

 向こうも困惑しているらしい。

 …どうしてこうなった?




*****




 14歳です、こんにちは。

 2つ年を重ねたとは言え、別に変わったことはない。

 背は伸びたし胸もでかくなった。でもその程度。

 頭はまあ、若干良くなったかな?って感じ。

 そして、2年経っても夏休みに実習期間があるのは変わらない。けっ。


 で、この実習期間、ほとんど一人暮らしのようなもの。

 たまにセレンが来はするものの、友達がたまに来るみたいな感覚。

 何年も一人暮らしをしたことはあるけど、(セーレ)の精神が成熟しているわけではない。

 つまり、寂しいのだよ。


 2年前、魔法創作の有用性に気づいてからはすれ違う人を片っ端から鑑定しまくって、使える魔法を吟味していた。

 そしてこの前、『分身魔法』なるものが使える人を見つけたのだ。

 分身魔法。分身の術。

 うん、わくわくする。

 寂しさが紛れるかどうかは分からないけど、面白そうとなったらやるしかない。

 一人で過ごせるこの実習期間を待ち望んでいたのだよ!


「分身」


 私の一部が切り離される感覚。

 と、目に私の少し幼いばんみたいな子が映る。

 うわぁ、おもしろ。

 どうやら、分身の感覚も把握できるらしく、私が私を分身を介して見るのもできるっぽい。

 同時に動かすのは頑張ればできるけど、やったら頭がこんがらがる。


「分身解除」


 と言ったら、分身が消える。

 切り離されていた部分が戻ってきたようだ。

 え、何これおもろ。

 分身を何個も作るみたいなのが出来ないのが欠点って感じかな。

 もう一度分身。

 思った通りに動いているのを見て興奮。

 

 こんな感じで過ごしていると、ふと、分身と私が遮断されたような感覚がした。

 考えてもないのに分身が俯く。

 この時点で、なんだかまずい予感がした。

 分身解除を連呼しても分身(それ)の姿は変わらない。


 しばらくして、私と全く同じだったはずの髪色が黒に染まっていき、髪が長くなっていく。

 え、何これ。こわいこわいこわい。

 そして、分身だったものが顔を上げる。

 私の顔で、何が何だかよく分からない、みたいな表情をする。

「…え、誰?」

 冒頭に戻る。


 分身魔法を使ったのが全ての始まりだとして、その分身が人格を持つみたいなのは聞いたことがない。

 とりあえず鑑定。

 フシルス、産業と闇を司る神…と。

 へー、神ね。うんうん。



「は?」



 いや、え、神、だって?

 フシルスなんて私知らないのだけど。

 ていうか、闇属性?なにそれ。

 新しい神だとして、そんなのが生まれたら世間を揺るがす大ニュースだ。


「…シラ、ル?」


 警戒心が跳ね上がる。

「…その人とお前はどういう関係なんだ?」

 なぜ(シラル)だと気付いた。

 神だからか?

 いや、そもそも私はセーレだ。

 つまり、こいつは私の前世を知っている。


「…ぅあ…」

 途端にフシルスとかいう神の顔色が悪くなった。

 …嫌な予感。

 空間を凝固させて大きめの器を作る。

 その器に、できるならキラキラさせたかったものが注がれる。

 なんで突然吐くねんこいつ。


「…ぁ……あ、ありがとう……」

 神様も吐くことがあるんだね、なんて。

 鑑定で見たけど、こいつとシラルの関係を聞いたとき、罪悪感を感じていた。

 つまり、罪悪感に押し潰されて気持ち悪くなったと。

 ユリーナ、お前、そんなにメンタル弱かったんだな。

 あるいは精神が見た目相応になっているとか。


「で、(シラル)に何か言うことは?」

「…っ!」

「言うことは?」

「ご…ごめ、なさい」

「うん?聞こえないな」

「ごめんなさい、ごめん、なっさい!ほんとに、本当に、っ殺して…ごめんな、さい…」

 …ユリーナのくせに、可哀想になってきた。


「…まあ、殺したのは半分カタリナだから」

 だから許すとか言う訳ではないけど。

「あ、あの、で、なんで私はここに…?」

「え、そんなん知らないんだけど」

「…私も、何も分からない」

「…え?」


 どういうことだ?

 なんか、あれか?

 分身に魔力をめっちゃ入れてみたら、神の器みたいな認識をされてこいつが飛んできた、みたいな?

「大体それで正しいわね。そこの女神は分かっていないようだけれど」

 いつもちょうどよく現れる精霊、その名もセレン。


「…神になる条件みたいなのってあるの?」

 セレンはいつも神をろくでなしみたいに言っていたけど、世間一般では神はとんでもなく強い人類の味方みたいな、心優しい存在みたいな感じのはずだ。

 間接的とは言え人の生死に関わり、性格がいいとは言えないユリーナが神になるってのはよくわからない。

 

「誰よりも人間らしいことじゃないかしら?」

「どういうこと?」

「あなたが過ごした時代では、ある宗教で"七大罪"が定められてたわよね」

「あー、漫画とかでよく使われるあれね」

「七大罪に含まれるものは人間の欲求であるものがほとんどよ。生殖の欲求しかり、闘争の欲求しかり。それらをある程度持った者が神になれるの」

「…セレンがいつもろくでなしって言ってる理由がわかった気がする」

 セレンの説明はよく分からんけどね。


 とりあえず、神様は性格が悪いってことで。





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