メール
待ち合わせ時間の30分前、俺は既に待ち合わせ場所に到着していた。
早く着きすぎたな…なんて思いながら、自販機で微糖の缶コーヒーを買って飲みながらタバコに火を点ける。
しばらくすると、アリサの姿が見えた。
時刻は11:45分、待ち合わせの15分前だ。
「あっ、叶海さん!待たせてごめんなさい」
アリサは分が悪そうに謝罪の言葉を入れてくる。
「いや、大して待ってないよ。予定までちょっと時間があるね」
「そうですね…予約の時間にはまだ早いですし…」
アリサのその言葉に、店の予約までしてたのかと感心する。
彼女は俺が好きだと言った、その言葉は偽りではないのか?
アリサを見るといつもそう考えてしまう、告白すると相手の意識下に潜り込めるというのは本当のようだ。
少しの沈黙の後、俺のスマホのバイブが鳴る。
メールを受信、送信者は場末だ。
「失礼」
そう告げてスマホを見る。
『よーっす叶海、俺の意識が戻ったぜ。斬咲から聞いたがお前も怪我したんだってな?平気か?』
と、俺を労わるメールだった。
『平気ですよ、場末さんこそ長い間気絶してたみたいですけど大丈夫ですか?』
と返してスマホを閉じる。
「メールですか?」
アリサが尋ねてくる。
「うん、場末さんから。意識戻ったってさ」
「よかった…今日は休みなので場末さんにはゆっくり休んで貰いたいですね」
「そうだな」
そしてまた少しの沈黙が訪れる。
「「あの(さ)」」
俺とアリサが同時に声を出す。
「あ、なんでしょうか?」
アリサが一歩譲って質問してくる。
「いや、なんでもないよ、呼んだだけ」
俺は確かに何も要件はなかった、ただ沈黙の時間がもどかしかっただけである。
「そうですか、偶然ですね、私もです」
アリサが少し微笑んで答える。
「そっか、そろそろ時間だな、店に行こうか」
「はい!お店はそこの交差点を曲がってすぐです」
「わかった、じゃあ行こう」
そして俺たちは昼食に向かった。




