バイクの上
「まぁ、とりあえず行こっか」
「はい!」
アリサが持ってきたフルフェイスのヘルメットを被る。
ヘルメットなんて被るのは高校時代にバイク好きな連れと2ケツした時ぶりだ。
「それじゃ、行きます」
アリサがセルを捻りエンジンを掛ける。
バイクは「いかにも!」な音を立ててマフラーから煙を吐く。
「叶海さん、私の声聞こえてます?」
「聞こえてるよ、大丈夫」
「あ、叶海さんは大声で話してくださいね、後ろからの声は中々聞こえないので」
疾走するバイクのエンジン音でやや聞き取り辛くはあるが、アリサと会話する。
「叶海さんって不思議な方ですね」
「なんで?」
「初めて会った時から感じてたんです、前にもどこかでお会いした様な不思議な感じ…国籍も違って初めて会うはずなのに」
漫画やドラマの世界でよくある展開に俺は驚く。
現実にこんな事を言ってくる相手がいるとは…。
まだまだリアルも捨てたものじゃないな。
なんて考えてると、更に驚きのセリフが出てくる。
「叶海さん、私と付き合ってみませんか?」
「え?付き合うって…?」
「そのままの意味ですよ」
なん…だと?
この俺に告白?
こんな美人が俺に…しかし…
「…嬉しいよ、でも俺たち知り合って間もないし、そういう事は考えられないかな」
率直な感想を言葉にする。
「ですよね、振られるのはわかってました」
「じゃあ、なんで?」
「秘密です、でも一回振られたくらいで諦める私じゃありませんから」
アリサはそう言うと、バイクのスロットルを強く捻りスピードを上げる。
これはライダー流の照れ隠しなのか…?
速度規制にギリギリ引っかからないくらいの速度で疾走する中、エンジン音に混じってアリサの声が聞こえた。
「叶海さん、好きです」




