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幻影の少女
深夜まではまだ早い。
「電話して」と言い残しておいたのでもう一眠りする事にした。
ーーお兄ちゃん
声が聞こえる、しかし誰の声だろう。彩香の声では無い。
暗き道の先に見えるのは銀髪の少女、その他は完全に真っ暗闇だ。
直後、黒い霧が俺と少女を分断する。
手を伸ばすが、届かない。
何かとてつもなく胸が痛んだ。
気が付くと俺の部屋の天井を眺めていた。
どうやら夢を見ていたらしい。
意味深な夢をーー。
夢の余韻に浸る事すら許されず、ケータイが鳴る。恐らくアリサだろう。
「もしもし」
『あ、そろそろ時間なので…大丈夫ですか?』
「あぁ、大丈夫だよ。下で待ってるね」
マンションの正面玄関の前に立ってると、アリサが階段を降りてきた。
「こんばんは、叶海さん」
「よっす、バイクで送ってくれるの?」
「はい、叶海さんがバス通勤なのは知ってましたから。夜中だとバスも無いでしょうし、私が足になりますよ」
「そうか、それは助かる」
人の厚意には素直に甘えるのが得策だ。
「それに、叶海さんともっとお話したくて」
アリサがはにかんだようにほほ笑む。
DTの俺にはそれだけでも破壊力は抜群だった。




